【文在寅研究・政権100日】(下) 大衆迎合、高支持率

20170915 03
「安全な韓国への大転換だ」――。文在寅大統領は6月19日、釜山の老朽化した『古里原子力発電所』1号機の運転停止宣言式で、風力等自然エネルギーによる発電を増やし、“脱原発”を目指す方針を唐突に発表した。文大統領は、2011年の東日本大震災による『東京電力』福島第1原子力発電所事故で、1368人が死亡したという根拠不明の数字を挙げた上で、「原発が安全でもなく、安価でもなく、環境に配慮してもいないことを示した」と断言した。韓国国内で稼働中の原発は24基で、総発電量の31%(※2016年)を占める。文大統領はこの日、新古里原発5・6号機の建設中断で「社会的合意を導き出す」と述べた。5・6号機は既に3割の工事が進んでおり、1兆5700億ウォン(約1500億円)が投入された。建設中断を議論する為に、首相直轄の『公論化委員会』を設置。左派の元裁判官をトップに据えたが、メンバーに原子力の専門家はいない。世論調査を行い、回答者から選ぶ『市民参与団』の500人による議論で、10月下旬に結論を出す。委員会の在り方については、「事実上、世論調査業者を通じて建設中断を判断するもの」(中央日報社説)といった批判が強い。国の重要政策を専門家の意見も聞かずに決めることへの疑問が噴出したが、文大統領は一昨日の記者会見で、「社会的合意に従うもので、適切な過程だ」と正当化した。古里原発周辺には釜山や蔚山という大都市があり、30㎞圏内に約380万人が暮らす。文大統領の地元・釜山の政界関係者によれば、「『何故南部に原発が集中しているのか?』という不満があり、釜山で脱原発の主張は受け易い」という。

文大統領は脱原発以外にも、“ポピュリズム(大衆迎合主義)”が色濃い政策を次々と打ち出している。若年層の失業率が10%近い中で、文氏は大統領選で雇用拡大を最優先の公約に掲げた。先月19日に発表した国政運営計画には、公約通り、5年間で17万4000人の公務員増員を打ち出した。福祉面では、健康保険の適用範囲を大幅に拡大する他、高齢者の貧困を解消する為、年金保険料を納めていなくても65歳以上の低所得の高齢者に支給される基礎年金を、現行の月額20万ウォン(約1万9000円)から30万ウォンに引き上げることも決めた。朝鮮日報によると、文政権が打ち出した政策に必要な財源は、国家予算の約4分の1にあたる100兆ウォン(約9兆6000億円)に追る。同紙社説は、「まるで空からカネを落としているようだ」と批判する。財源の手当ては、法人税と高所得者への所得税引き上げだ。朴槿恵前大統領の友人による国政介入事件で明らかになった“政経癒着”で、国民の憎悪の対象となった大企業と富裕層にバラマキのツケを回す狙いのようだ。しかし、それによって確保できる財源は、年間5兆5000億ウォンに過ぎない。「法人税引き上げで、韓国企業の海外進出が進む」との懸念もある。文大統領の支持率は、就任100日が経過しても8割前後を維持している。『韓国ギャラップ』が今月16・17日に行った世論調査での支持率は78%。回答者の政治傾向別では、進歩(左派)の95%は素より、中道で81%、保守でも57%と幅広い支持を得ている。朴前大統領は、在任中に国民との意思疎通の不足を指摘された上に、国政介入事件で半年以上に亘る“国政空白”を招いたまま、3月に罷免された。文大統領は国民との“意思疎通”を重視し、視察先で市民との記念撮影に気軽に応じる「友だちみたいな大統領」(文大統領)を自ら演出している。社会コンサルタント会社『オピニオンライブ』世論分析センター長の尹煕雄氏は、「権威的だった朴前大統領との対比効果」と分析する。

               ◇

ソウル支局 中島健太郎が担当しました。


⦿読売新聞 2017年8月19日付掲載⦿
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