【大機小機】 改めて賃上げを求める

日本経済は企業部門の好調が続き、ここにきて個人消費も復調する等、景気回復の形が整ってきた。公共投資の力を借りずに、年率1%超の実質成長率を維持している。漸く再起動した感のある経済の好循環を維持する為、供給と需要の両面で目配りをしていく必要がある。供給面についてみれば、国内総生産(GDP)ギャップは既に解消しており、足元では潜在成長率を上回る成長が続いている。この成長を今後も続けていくには、潜在成長率を引き上げ、供給の天井を押し上げる必要がある。そのカギとなるのは、成長戦略を通じた生産性の向上である。問題は、成長戦略によっても企業の期待成長率が上がらないことである。成長戦略が総花的で、生産性向上の為の施策を深掘りできていないことが問題である。“Society5.0”が注目されているが、政策が上滑りしない為には、ターゲット分野を絞り込み、規制改革を徹底し、新陳代謝を促進していく必要がある。好循環を支える上で、需要面も重要である。民需拡大の柱となるのが個人消費だ。継続的な賃金・所得の伸びと将来不安の払拭が、そのカギを握る。雇用情勢がタイトになる中、非正規労働者や中小企業労働者の賃金は既に上昇に転じているが、大企業の賃金の動きは未だ鈍い。企業収益は好調で、内部留保も潤沢である。しかし、昨今の大企業経営者は、株主への配当を増やすことには熱心であるが、未だに賃金の引き上げには慎重である。要求側の組合も弱腰である。結果、労働分配率の低下が続いている。家計の将来不安が強いことが消費の伸びを抑制しているのは事実であり、政府の社会保障改革への更なる踏み込みが必要である。但し、企業収益の回復と共に賃金が増加することも、将来不安を払拭する上で欠かせない要素である。大企業は収益の回復にも拘わらず、ベアを実施することに慎重な姿勢を崩していないが、ベアが嫌なら相対的に生産性の高い社員をより優遇する方向で賃金体系を変えてはどうか? 賃金は消費回復のカギを握ると同時に、その引き上げが、内需回復を通じ、企業収益の回復や生産性上昇にも繋がることを、大企業の経営者はどれだけ理解しているだろうか? (追分)


⦿日本経済新聞 2017年9月12日付掲載⦿
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テーマ : 経済
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