【教科書に載らない経済と犯罪の危ない話】(62) 覚醒剤の路上売り子復活に見る“ブーム再燃”の懸念

ホテル暮らしを止めて代官山に引っ越した。そのせいで渋谷に行く機会が増えたのだが、そこでふと気付いたことがある。イラン人のプッシャー(売人)が渋谷の街に帰ってきていることだ。彼らはセンター街で客を物色し、次々と声をかけている。覚醒剤・コカイン・マリファナ・LSDと、凡そ違法薬物と呼ばれるものなら何でも扱う。筆者は彼らの姿を見て、何とも言えない既視感を感じた。偽造されたテレホンカードを売るイラン人が上野公園に現れたのは、バブルが弾けて未だ間もない1992年頃のことだ。軈て、彼らは覚醒剤やマリファナ等も売るようになり、イラン人の犯罪ネットワークは全国へと広がっていった。彼らが最も稼いだ場所が、1990年代後半から2007年にかけての渋谷だったのだ。渋谷に進出したイラン人は、そこに集まる若者やクスリ目当てでやって来る薬物中毒者に、片っ端からクスリを売った。日本の若者や主婦に覚醒剤が蔓延したのは、イラン人プッシャーが原因だと言っていい。軈て、覚醒剤の利権を運るイラン人同士のトラブルが頻発。急増する薬物事犯に業を煮やした当局は、2007年に一斉摘発に乗り出した。こうして、渋谷のイラン人プッシャーは消えていったのである。だが、彼らが本国へ帰った訳ではない。イラン人プッシャーは、その後も地方へ進出し、違法薬物をせっせと売って稼いでいたのだ。東京以外で彼らが最も稼いだ都市は、間違いなく名古屋だろう。日本のGDPの約7%を占める愛知県の中心。230万人の大都市、名古屋。この地で長い間、イラン人プッシャーは幾つかのグループに分かれ、違法薬物の密売で大きな収益を上げていたのである。

そのイラン人グループの間で、2015年に抗争事件があった。この事件で5人のイラン人によって殺害されたのは、同じくイラン人のミラードという男だ。報道では薬物の売買を巡るトラブルとされているが、正確には売上金の送金トラブルが原因である。ミラードは、イラン人が日本で稼いだカネを本国へ送金するのが主な役目だった。違法な薬物で得た犯罪収益金は勿論現金で、そのまま銀行間送金は行えない。そこで使われるのが、地下銀行というオーソドックスな手法である。イスラム圏には、独自の地下銀行システムである『ハワラ』があるのだが、ミラードはそれを利用しなかった。送金する額が大き過ぎて、ハワラでは対応できなかったからだ。地下銀行の場合、日本からイランへの送金であれば、同じ額の相対取引がなくては成立しない。つまり、1億円を送金したければ、イランから日本へ1億円の送金をしたい人を探さなくてはならないのだ。この地下銀行の手法は、覚醒剤の取引にも使われる。覚醒剤を売る側は現金確認役の人間を、買う側は覚醒剤の確認役を、其々相手側へ派遣する。双方で間違いの無いことが確認されれば、現金と覚醒剤が同時に違う場所で引き渡されるという仕組みである。イラン人が日本で売る覚醒剤の大半は、北朝鮮製のものだ。北朝鮮にとって、イランはミサイル開発のスポンサーでもあり、武器や覚醒剤の良いお客なのである。送金のトラブルから殺害されたイラン人のミラードだが、彼は年間20億円以上を日本から送金していたらしい。たった1人のイラン人がこれほどの額を送金していたのだから、彼らが日本で稼ぐ犯罪収益は相当な金額になるのだろう。渋谷の街に再び現れたイラン人の売人たち。彼らの出現は、薬物の氾濫を示唆しているのである。 (http://twitter.com/nekokumicho


キャプチャ  2017年11月7日・14日号掲載
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