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【昭和&平成放送禁止大全】(26) いじめられっ子の過激な復讐が物議を醸した『魔太郎がくる!!』

20180313 05
少年漫画の王道といえば藤子不二雄だろう。藤子・F・不二雄(※藤本弘)と藤子不二雄Ⓐ(※安孫子素雄)の初期作品には、少年たちが喜ぶ夢とファンタジーが溢れており、文部省推薦になるような作品も多い。そんな藤子作品の中で例外となるのが『魔太郎がくる!!』だ。1972年から『週刊少年チャンピオン』で連載されたが、安孫子は「このまま子供に読ませられない」と、全133話の内の34話を大幅に描き直した上で、実に25話を“封印”した。アニメ化にも絶対に許可しなかったほどなのだ。「こ・の・う・ら・み・は・ら・さ・で・お・く・べ・き・か」。この決めゼリフで知られる同作は、苛められっ子の中学生・魔太郎が、超魔術“うらみ念法”で復讐するというものだ。「自分が苛められっ子だったこともあり、『やられた相手に大逆襲するような作品なら面白いだろう』と思った」と安孫子が語っているように、現実に苛めに遭っている子供たちにとっては、その鬱憤を晴らしてくれるカタルシスに満ちていた。一方で、凄まじい復讐劇がPTAで問題視されたのも致し方ないだろう。1970年代は、苛めのみならず少年犯罪も凶悪化していた時期。社会情勢の変化も考え、初単行本時は掲載されていたエピソードが文庫版では掲載を見送るな等、封印数も増えていった。

確かに、封印されたエピソードには、“うらみ念法”を使わずに苛めっ子をパワーショベルで引き裂いてコンクリートで埋める、ゴミ袋に詰めた相手を執拗にバットで殴ってそのまま遺体をゴミに出す等、現実的に可能な手段で殺害、又は廃人にまで追い込む内容も多い。しかし、封印された理由には、復讐劇以外にも大きな基準があった。過激な復讐劇を納得させてカタルシスを与えるには、その復讐を引き起こさせるだけの苛めが不可欠となる。恐らく安孫子も、復讐シーン以上に苛めの方法に頭を悩ませた筈で、実に説得力のある苛めの数々を漫画にしてきた。もうおわかりだろう。安孫子が封印したのは寧ろ、過激な苛めシーンのほうなのである。実際、封印したエピソードの苛めはシャレにならないものが多い。例えば、『サングラスをとればただの人!!』(※第7話)では、苛めっ子が魔太郎に対して「横断歩道で信号が赤になった瞬間に駆け抜けろ」と命令し、『おぼれ方教えます!!』(※第9話)では、水泳教室の指導員が「水に慣れさせる」と言って、魔太郎の顔を水の張った洗面器に押し付けている。ここまでやられたから、この後の過激な復讐にも説得力が出るのだが、これらの苛めの方法は簡単に真似できてしまう。そして真似をした場合、事件や事故へと繋がりかねない。既に藤子不二雄は人気漫画家であり、子供たちへの影響力は高かった。その人気作品が苛めのマニュアルになることは、少年漫画の王道を歩んでいた2人にとって許せるものではない。だからこそ、自らの手で封印したのだ。その証拠に安孫子は、復讐劇に関しては“うらみ念法”という超能力を導入。苛められっ子が真似しないようにした。更に、途中から神と悪魔が戦うダークファンタジーへと路線を変更している。アニメ化に反対してきたのも当然であったのだ。少年漫画の王道を歩む藤子不二雄故に封印された『魔太郎がくる!!』は、実に藤子不二雄らしい作品と言えるだろう。 (フリーライター 西本頑司)


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