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【改革開放40年】第2部・科技強国(04) ドローン企業急成長

20180605 05
空中に浮かぶドローンの前に立った女性が、さっと手の平を翳す。手を下ろしていくと、その動きに合わせてドローンも高度を下げ、ゆっくりと着地。SF映画のような光景に、見物客から感嘆の声が漏れた。広東省深圳の商業施設内にあるドローン企業『DJI』の展示販売所では、従業員による実演が人気だ。高性能センサーを内蔵した最新機種は、手の動きで操縦できる。障害物を避け、自動で飛ぶことも可能だ。値段は約5000元(※約8万6000円)と安くはないが、従業員の女性は「世界中で飛ぶように売れていますよ」と笑った。日本や欧米の企業は2000年前後からドローンの商品化を始めたが、玩具のようなもので殆ど売れなかった。2006年創業のDJIは、一帯が“世界の携帯電話工場”という地の利を生かし、小型カメラや電池を使って2013年に空撮用ドローンを発売。今や世界市場の7割を占めると言われるまでになった。ドローンに詳しい東京大学の鈴木真二教授(64)は、「日本や欧米企業は技術そのものではなく、商品としての付加価値作りやブランド戦略で負けた」と話す。中国企業は従来、外国の技術や製品を真似て安く作ることで成長してきた。鈴木教授は、「独自に市場を作り出したDJIは、全く新しいタイプの中国企業だ」と指摘する。

新しい技術や、大学での研究成果を使って、ビジネスを創出しようという動きは各地にある。大学と研究機関が300以上あるという江蘇省は2013年、南京市内に『産業技術研究院』を開設した。新興企業が格安の値段でオフィスや実験室を使うことができる施設もある。この施設に3億元(※約50億円)を出資した大手製薬企業の幹部は、「未だ赤字だが、新興企業は数年で価値が100倍になることもある。これからが楽しみだ」と余裕の表情を見せる。政府支援の下、新興企業が目覚ましい成長を遂げている分野がAIだ。「AIチップ(※半導体)の開発で大切なのは、最終的にサービスを受ける人のニーズを知ることです」。3月に上海で開かれたAI関連の会議で一際注目を集めたのは、パーカーにジーンズ姿の若者、新興企業『深鑑科技』の姚頌CEO(25)だ。姚氏は2015年に清華大学を卒業し、翌年、仲間と共に北京で起業した。AIが自ら学ぶディープラーニング用のチップ開発を手がける。昨年、韓国の『サムスングループ』の投資機関等から計4000万ドル(※約44億円)の出資を受け、一躍時の人になった。北京や上海ではここ数年、大手IT企業やトップ大学が人材の供給源となり、AI関連ベンチャーが次々と誕生。そこに国内外から大量の資金が流れ込み、技術開発やビジネス展開が更に進むという好循環ができている。背景には、個人の権利意識が低い為、ビッグデータを得易いことや、当局と企業が元々緊密に協力していること等、中国特有の事情もある。AIによる顔認証システムを開発した新興企業関係者は、「各地の公安当局と連携し、2000人以上の容疑者確保に役立った」と明かす。中国政府は昨年、「AI産業の市場規模を2030年までに1兆元(※約17兆円)にし、技術面でも世界をリードする」と発表した。AIがあらゆる分野に活用される時代を見据え、政府と新興企業が二人三脚で覇権を目指す。


キャプチャ  2018年5月4日付掲載
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