「山に親しむ機会を得て山の恩恵に感謝する」とか意味不明! 利権塗れの新たな祝日『山の日』と山に登る意識高い系バカが大迷惑な理由

今年から、新たな祝日『山の日』が施行される。メディアが“山に行こうキャンペーン”等を行い、それに乗せられるバカが増えるのは確実だ。正直、山の日も山に登る人間も、山そのものと社会にとって迷惑な存在でしかない。その理由を説明しよう。

今年から、8月11日は『山の日』になったらしい。あまりにも唐突で、「1月22日はカレーの日」「9月6日は松崎しげるの日」ぐらいピンとこないが、これでもれっきとした“国民の祝日”だ。先ず、“国民の祝日”自体がピンとこない。『国民の祝日に関する法律(祝日法)』の第1条には、こうある。「自由と平和を求めてやまない日本国民は、美しい風習を育てつつ、より豊かな生活を築きあげるために、ここに国民こぞって祝い、感謝し、又は記念する日を定め、これを“国民の祝日”と名づける」。ポエミーで支離滅裂な内容に1つずつツッコミを入れたいところだが、その辺りは一先ず置いといて、取り敢えず8月11日には挙って祝い、感謝しなければいけないようだ。法で定められているので、コレ強制。で、『山の日』って何? 再び、祝日法の第2条によれば、「山に親しむ機会を得て、 山の恩恵に感謝する」ことを趣旨としているのだとか。山岳信仰の山の民みたいな口ぶりが、妙に押し付けがましくてイラッとさせる。所詮、諸外国からの「日本は働き過ぎ」という言いがかりに対し、「労働こそ日本人の美徳だ」と言い返せず、無理矢理祝日を増やしているだけでしょうが。兎も角、日本の年間祝日数は16となった。先進国の中では断トツの多さだ。これで働き過ぎ? ゆとりか! 7月第3月曜日の『海の日』に対抗したのか、『日本山岳会』を始めとする“山業界”が『山の日』の制定を求めたのが事の始まり。“恩恵”だ何だのと綺麗事を並べているが、庶民の財布を半ば強引に抉じ開け、一部の業界にカネを落とさせるのが実際の趣旨。当然、祝日が1日捻じ込まれれば、製造や流通等社会全体の生産性は大きくダウンする。「登山客が増え、関連商品も売上アップ間違い無し!」とエゴ丸出しの山業界は、そうした代償までわかっているのだろうか? 当初は盆休みと連動させ易い8月12日を『山の日』とする案が採用されたが、1985年に発生した『日航ジャンボ機墜落事故』と同日だった為、「この日にお祝いをするのは違和感を覚える」と群馬県選出議員の小渕優子らが反対。群馬県知事も日付の見直しを求めたことを受け、「じゃ、前倒しにしましょーか?」と8月11日に大決定。いやいや小渕さん、論点ズレているでしょ! 強制的に休みを取らせ、消費活動を促すのが本来の目的であって、“祝う”つもりなんて端から無い筈。祝日の翌日に1日出勤して、その翌日からお盆休みとか、労働意欲も物理的生産性も一番落ちるヤツですから! 因みに、元々8月11日は、1936年のベルリンオリンピック女子200m平泳ぎで前畑秀子が優勝したことと、実況を務めたNHKの河西三省アナウンサーが「前畑ガンバレ!」と連呼したことから、『ガンバレの日』に定められている。美辞麗句を並べる『山の日』なんかより、よっぽど好感が持てる。前畑、もっとガンバレ!

20160831 01
カネという恩恵を信仰する山業界と、その口車に乗せられた議員たちの目論見通り、既に“山の日商戦”は始まっている。『阪神電鉄』ら鉄道グループ会社2社は、『山の日キャンペーン』と題した各種施策を実施。また、老舗登山雑誌『山と渓谷』を出版する『山と渓谷社』では、期間限定で電子書籍と雑誌の半額販売を行う。来たる8月11日に向け、山絡みの企画や特集を組む便乗企業や扇動メディアは、今後も出てくるだろう。こうした空騒ぎにまんまと踊らされるのが、愚かなほどお人好しな(一部の)ニッポン国民たち。「今、山がキテる!」「カレとカノジョの山デート」「山の空気が、心を浄化してくれる」「お山のお陰で夜尿症が治った!」等々、根拠の無い煽り文句にホイホイと乗せられる。『ブルータス』やら『オズマガジン』やら、トレンド系雑誌の表層的な特集記事を読んで、「あ、何か素敵かも」と週末の山登りを急遽決定。彼らみたいな“踊らされ層”全体に共通しているのが、よく言えば行動的、有り体に言えば腰も考えも軽いという点だ。碌な装備も揃えず山に入り、最低限のマナーすら守れない。抑々、マナーを守れるような品性があるなら、一部業界の要望で作られた祝日なんかに乗せられはしないのだから、まぁ当然の帰結だ。2013年にユネスコの世界文化遺産に登録された富士山や、“世界一登山客が多い山”としてミシュランガイドに掲載された高尾山も、年々登山客を増やす一方で、遭難やトラブルの数まで“過去最高”を塗り替えている。冗談のような話だが、革靴やハイヒールを履き、背広やスカートを着て、雨具も持たずに入山する人が未だに少なくないのだとか。また、山では「持ち込んだものは持ち帰る」というのが基本ルール。ゴミは勿論、トイレが利用できない状況ならば、携帯用トイレで排泄物も持ち帰るのがマナーだ。にも拘らず、登山道の脇には投げ捨てられたゴミや、「土に帰るから大丈夫」とこっそり落としていった排泄物が散乱している。「山の空気は澄んでいて美味しい」というありがちな台詞も、ゴミとウンコに囲まれた中では不条理なギャグにしか聞こえない。実際、このまま富士山が汚され続ければ世界遺産の取り消しもあり得る話で、ユネスコの諮問機関は入山規制の導入も勧告している。『山の日』は俄かアルピニストを増やし、“美しかった”山の環境を更に悪化させようとしている。近い将来、『誰が山を殺した』なんてドキュメンタリー番組をNHKスペシャル辺りがやってくれそうで、ちょっぴり楽しみだ。どんな分野においても、浮薄な流行に釣られた初心者というのは傍若無人で厄介だ。ただ、俄かアルピニストだけが厄介なのかと言うと、実際はそうでもなさそうである。

兵庫県の六甲山では、立ち入り禁止の札を無視して山に入っていく者が後を絶たない。彼らは言う。「自己責任なので気にせずに」「これぐらいは、いつも登っている。初心者じゃないから大丈夫」と。実は、“厄介”という意味では、初心者よりもガチのアルピニストのほうが勝っていると言っていい。初心者は山の危険性を熟知していない。無知故に、迷惑な行為もしてしまう。しかし、経験を積んだアルピニストたちは、山がどれほど危険かを知り尽くしている。森には熊が出るし、遭難や滑落事故も日常茶飯事。今年のゴールデンウィークには全国各地の山で遭難が相次ぎ、うち8人が死亡している。これだけ人がコロコロと死ぬスポーツやレジャーは他に無い。財団法人『スポーツ安全協会』でも、“スポーツ障害保険”の観点から最も危険度の高いスポーツに“山岳登攀”を挙げている。それを認識しつつ、山に入っているのだ。一度事故が起きれば、地元警察や救助隊が出動することになる。いくら本人が「自己責任だから」と言っても、無視する訳にはいかない。そして、県警ヘリや県防災へリでの救助費用は、基本的に無料(民間は有料)。勝手に危険を犯して遭難したバカの尻拭い代が税金で賄われる理不尽さ。救助活動では、隊員にも危険が及ぶ。2014年、愛媛県の山で遭難した男性3人を救助する際、救助隊員が滑落して死亡する事故が起きた。それだけでもやるせないのに、男性の1人は救助された後に「いろんな発見があって楽しかったよ」「ぜひ一度は行ってみて!!笑」等と『Facebook』に書き込んでいる。こんな人間を、何故命をかけて救わなければならないのか! 登山バカの身勝手ぶりは、マナーにも見て取れる。「ゴミは持ち帰るのが最低限のマナー」と前述したが、山のてっぺんに旗を立てて雄叫びを上げること以外興味が無い彼らには、最低限のモラル意識も存在しない。これは万国共通だ。例えば、これまでに世界最高峰であるエベレストに登頂した者は4400人以上。途中で断念した者を含めれば、ゆうに万を超す。彼らが山で出したゴミ・排泄物・酸素ボンべ等の機材は、ゴミになったその場でポイッ。以後、放置されたままだ。数十年に亘って排泄されてきた便は、雪の中に堆積し、氷河の動きと共に噴出することも。スカトロマニアなら大喜びしそうなウンコの噴水だ。近年では清掃活動を行う市民団体等もあるが、登山者本人がポイ捨てする状況は何ら変わりない。同じように捨てられたままになっているのが、300を超す“死体”だ。エベレストで死んだ者の殆どは、その場に置いていかれる。8000m級の山では遺体は殆ど腐敗しない為、土に還ることも無い。“神の山”エベ レストは、“不法投棄の山”と化している。

20160831 02
「危ないところへは行くな。道端にゴミを捨てるな。野糞をするな。死体を遺棄するな」――幼稚園児でも理解できる躾すら身に付けていないのが、登山家という人種である。躾とは、生きていく上で他人様に迷惑をかけない為の諸注意だ。その注意を認識しながら、ふてぶてしくも守る気が無いのだから、“山に登る人=身勝手な人”とのレッテルを貼って然るべきだろう。近くに「山登りを始めたんですよぉ。最高ですよぉ。今度、ご一緒に如何ですかぁ?」等と気持ちの悪いニヤケ面で近寄ってくる輩がいたら、厄介な迷惑をかけられないよう、そっと距離を取って付き合うことを強くお勧めする。まぁ、新興宗教にハマってしまった知人に対する処し方と同じでいいだろう。こちらが全く関心を示していないことも意に介さず、熱心にしつこく勧誘してくるところも両者はよく似ている。本人は「山と一体になって自然の素晴らしさを知る自分は、何て幸せなんだ。この悦びを知らない人が可哀想!」と、山に登らない人(つまりは正常な人)に隣れみすら抱いているのかもしれないが、人が山に入れば入るほど“素晴らしい自然”は壊されていく。草木は踏み潰され、野生動物は安寧の住処を追い出される。追い出された結果、人里に降りてきて、猟銃で撃ち殺される。それが見えていない。或いは、本当は見えているのに、自己の快感や優越感を守る為に敢えて見えない振りをしている。「山に親しむ機会を得て、山の恩恵に感謝する」――矛盾しまくりの、チャンチャラおかしな話だ。感謝するなら山に入るな! 動植物を踏み殺すな! 「そこに山があるから」。何故山に登るのかを訊かれ、そう答えたのは、イギリス人登山家のジョージ・マロリーだ。この言葉がはっきりと表しているように、彼らには“山”と“自分”以外のものが何ひとつ見えていない。身の危険(救助活動)や金銭的な負担(救助費用)を強いられる周囲の人間への加害は勿論のこと、本来、山を構成するものである“自然”への加害すらも見えていない。“私と山”、それ以外は存在しないも同じなのだ。そうでなければ、登山ウェアなんかを着て街中を歩ける筈がない。熱狂的なプロ野球ファンも、ユニフォームを私服にするような野暮な真似はしない。恥ずかしいからね。とどのつまり、果てしない“自己陶酔”。これが、初心者からベテランまで、山を登る者たち全員が醸している“気持ち悪さ”の正体だ。宗教では念仏・坐禅・荒行等によって、究極の自己陶酔とも言える“無我”に達する。1000日間、只管に山道を歩き続ける比叡山の荒行『千日回峰行』もその1つだ。山に登る人たちも、無我故に、自身の気持ち悪さに気付かないということか…。鳴呼、合掌。


キャプチャ  2016年9月号掲載
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