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【WATCHERS・専門家の経済講座】(20) スマート化、農業に革命――三輪泰史氏(『日本総合研究所』エクスパート)

20180831 07
「日本の農業は大きな分かれ道にあります。農業産出額が2年連続で伸び、長期低迷から脱する動きがある一方、農家の高齢化が進み、耕作放棄地の増加にも歯止めがかからない。今、デジタル革命による農業の“スマート化”を強力に進めるべきです」。スマート化とは、あらゆるものをインターネットに繋ぐIoTやロボット技術等を駆使し、生産性を高める試みだ。「私は、2018年が“スマート農業元年”になると思っています。技術が出揃ってきて、農家が実際に買って使えるものが出てきました。例えば、IoTに対応した水田用の給排水バルブがあります。このバルブは、スマートフォンで水田の給水弁と排水弁を自動で開け閉めできるものです。水位を設定しておけば自動で調節してくれる。手間が省ける上に、稲の品質管理もし易くなる。1台十数万円程度と価格も手頃で、限定販売された数百台は直ぐに売り切れ。来年のものが予約待ちという状態です。先端技術は農業の生産性を飛躍的に高めます。自動運転のトラクターは3社程が市販を発表していて、同時に複数台を1人で見て操作できる。北海道のある農家では、自動運転トラクターを同時に7台走らせています。1台の場合と比べ、コメ1粒あたりの人件費が7分の1になるわけです。農業におけるコストは人件費の割合が高く、これが減る効果は大きい。AIの活用でも実用的なものが出てきました。自動運転トラクターでは衝突防止の為に既に使われていますし、作物の葉っぱの写真を撮影して解析し、病害虫が付くのを防ぐものもあります。いよいよ、AIが農家を助ける時代がやってきたと感じています」。

「スマート化は農業経営に大きな変革を齎します。先ず、多様な人材を活用するダイバーシティーの促進です」。農家の平均年齢は67歳近くになり、コメの農家は70歳を超える。スマート化は、担い手不足の対策としても期待される。「今、農業には色んな年齢や性別の人、更には障害者の参加が求められています。自動運転のトラクターなら重いステアリングを切る必要がなく、女性でも扱い易い。農業用ドローンを操って農地をモニタリングする作業では、 実際に障害者が活躍している地域もあります。これまで、訓練や教育に時間がかかっていた農業高校や農業大学校を出たばかりの若い人も、即戦力になる。多くの人が活躍できる農業に転換していくことができれば、これから先の日本の農業は一定の競争力を維持していけます。農協の仕事も変わってきます。地域の農協が、スマート化に対応した農機を纏めて購入し、農家から作業を受託するケースが増えるとみています。北海道では、大規模な農業法人が半自動の農機を取り入れて、面積あたりの単価を決めて作業を請け負っている例もある。元々、スマート農機は作業の効率が高いので、家に1台所有するよりシェアリングに非常に向いています。こうした分業体制ができてくれば、兼業農家でも“儲かる農業”が可能になるし、農協の新しい収入源にもなる。民間で、作業を請け負うベンチャー企業が生まれる可能性だってあるでしょう。政府は、こうしたスマート農業が現場に入ることを阻害しないよう、運用に関するガイドラインの整備や規制緩和を急ぐべきです。先端技術の活用に対し、どうしても政府の対応は後追いになる。現在の指針では、自動運転のトラクターやドローンは原則、操作する人の目で見える範囲でしか使うことができません。IoTの可能性を自分で制限している状態です。現状でも、遠隔地からしっかり監視することは可能です。画像解析やAIによる補完等、技術を全て詰め込めば、安全性は十分に担保できると思います。特定の地域に限定して規制を緩めるサンドボックス制度を活用することが一案でしょう。スマート農業をやりたい人が集まり、その地域内であれば自由にやっていいと。その代わり、メリットや問題点をリポートにして出すというやり方です。大胆な試行で先回りしながら、指針を随時、見直していけばいい。農林水産省は農業特区を使って、外国人労働者の活用や農業への新規参入で社会実験を進めていますが、先端技術にまで対象を広げるべきです。スマート農業が定着すれば、農産物だけでなく、その仕組みを丸ごと海外に輸出することもできる。スマート化を農業の再生に繋げることができるか。今、まさに行政の手腕が問われています」。 (聞き手/経済部 武田泰介)


キャプチャ  2018年8月22日付掲載
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テーマ : 経済
ジャンル : 政治・経済

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