【経済の現場2016・動乱再び】(05) 中国資本、衰えぬ勢い

アテネ中心部に近いギリシャ最大の港、ピレウス港。先月8日、この港を運営する国営会社の売却が正式に決まった。財政再建に向けて首相のチプラスが頼ったのが“チャイナマネー”だった。買収する中国国有の海運会社『中国遠洋運輸』による投資の総額は15億ユーロ(約1800億円)。チプラスは中国首相の李克強から招待を受けて、6月に訪中することを明かし、蜜月関係をアピールした。中国は、アジアとヨーロッパを陸海のシルクロードで結ぶ経済圈構想『一帯一路』を掲げ、ピレウス港をその要衝と位置付ける。年明けから、市場動乱の震源地となったとは思えないほど潤沢なチャイナマネーの威力を世界に見せつけた。「先行きが明るいのはインフラ投資。先進国にも新興国にも巨大な需要がある」――。3月19日。北京でのフォーラムで、国務院副秘書長を務めた『中国投資有限責任公司(CIC)』会長の丁学東が、インフラ分野への投資を強化する考えを示した。国の外貨準備を運用する為に創設された政府系ファンドとして、一帯一路構想を支援する意図が滲む。2014年末の総資産は7467億ドル(約81兆円)。トルコの国内総生産(GDP)に匹敵する資金の行方は、世界の金融関係者が注目する。CICは、空港・高速道路・発電所に投資実績を持つ。神奈川県川崎市等、日本国内に延べ床面積が1件数万㎡に及ぶ物流拠点の持ち主でもある。

20160531 01
2011年にはシンガポール系企業の『グローバルロジスティックプロパティーズ(GLP)』と合弁会社を設立し、15ヵ所を約16億ドルで買った。通販会社等に貸し出し、賃料を得る。同社社長の帖佐義之は、「契約が長期で、安定性のある物流拠点に目をつけたのではないか」と言う。信託銀行の担当者は2014年秋、北京を訪れていた。企業が公表する大株主の名義人は、個人や企業だけではない。顧客の資産を管理する金融機関を示す“SSBT01…”といった記号が並ぶことも多い。資金の出し手である本当の株主は、簡単にはわからない。この時は、書類に記されていた住所がヒントになった。「思った通りだ」。お目当てのオフィスビルには、政府系ファンドのものと見られる事務所が入っていた。『三井住友信託銀行』が株主名簿を管理する約1500社の内、ある中国の政府系ファンドが株主と推測される企業は約550社(昨年9月)と、2年前の約5倍に増えた。爆買いは、国有企業や政府系ファンドに留まらない。スキー場やゴルフコースを備える北海道の『星野リゾートトマム』(左写真)。中国の投資会社『復星集団グループ』が昨年11月、183億円で買収すると発表した。上海の名門である復旦大学出身者が創業した復星は、世界の企業を次々と買収して名を上げた。一方、中国からの投資が、この2年で3倍に増えたオーストラリア。先月、中国企業が牧畜最大手の企業を買収する案は、オーストラリア政府が認めなかった。国土の1%に当たる土地が外資に渡ることが問題視された。席巻するチャイナマネー。摩擦を生むことがあるものの、勢いは尚も続き、世界市場を揺さぶっている。 《敬称略》


⦿読売新聞 2016年5月16日付掲載⦿
スポンサーサイト

テーマ : 経済・社会
ジャンル : ニュース

轮廓

George Clooney

Author:George Clooney

最新文章
档案
分类
计数器
排名

FC2Blog Ranking

广告
搜索
RSS链接
链接
QR码
QR