【男の子育て日記】(19) ○月×日

父親に似て、色白で肌が弱い一文。自分の唾液にヤラれて、頬っぺたはいつも真っ赤に焼けている。ワセリンだけでは効果が薄い為、偶にステロイド(烈火の如く怒る人がいるだろうな)を塗って、漸く少しマシな状態に戻る。オムツを替える度に、こちらとしては丁寧に拭いているつもりだが、どうやら痒いようで、ちんこをいじり出す。それがまたハードな指捌きで、早くも大器の片鱗が見える。妻が楳図かずおのマンガの登場人物のような顔で叫ぶ。「かずふみがヤリチンになったらどうしよう!」。母親に似たら仕方ないだろ。“気が早い親あるある”だが、妻に男子の性欲をレクチャーしましたよ。段階として、セクースより先にオナニーがある。男は少年期に、オナニーに命を賭けるから。オナニーの為に生きていると言っても過言ではない時期がある。一文もあと10年もしたら、「どうやら、これはおしっこをする以外に使い道がある」と気付くし、更にその2年後ぐらいからは必ず毎日やる。これでもかってぐらいやる。男は、高校生ぐらいになるとオナニー話で盛り上がる。「姉ちゃんのマニキュアを指に塗って、正座して挟むと手が痺れていいぞ。自分の手じゃないみたいで」「いや、通は人肌のうどんだろ」。そしたら別のヤツが、「お前ら変わっているな。普通こうだろ」と腹這いになって、股間を軸にして逆時計回りに回転したことがあった。僕たちが「それは間違ってるよ」と言うと、「俺のほうが実戦に近い」って開き直っていたなぁ。

友だちのK君が部屋で全裸、仁王立ちで「どこにでも飛んでいいように」と机にティッシュを広げてシコっていたら、母親にいきなり襖を開けられた。ギンギンにいきり立ったチンポを離した手を、ティッシュにやって一言。「…お掃除」。こんな悲喜こもごもを書いていたら、『パンツの穴』を思い出したよ。知らない人は検索して下さい。どんどん思い出してきた。昔、『とんねるず』がファンファン大佐こと岡田眞澄に初めて会った時、「男っていつまでセンズリこきますか?」って訊いた話は有名だよね。古舘伊知郎がテレビ朝日研修中に、自宅の部屋でお母さんに見られたエピソードとか大好き。「え~、私は息子のそんなの絶対見たくない」。かまととぶりやがって、トドメを刺してやるか。「これは男あるあるなんだけど、上物のエロ本を入手して『今日は本格的に抜こう』と思った日に限って、母親が早く帰っていて殺意を抱くとか。いつかふさも、かずに思われる日がくるぞ。『俺のオナニーの邪魔をしやがってクソババア!』って」「イヤぁ~ん!」。けっ、ざまあみろってんだ。オナニー上等。開高健も名著『風に訊け』で仰っていたじゃないか。「自慰とは、代用食にして主食」。かずふみー、気にせずやれよー。パパも未だに週2で抜いているよー! 今回、子育てと全然関係ないじゃん。東京のおふくろも妻のお母さんも毎週、この連載読んでいるじゃん。偶には、こういう回もいいじゃん。


樋口毅宏(ひぐち・たけひろ) 作家。1971年、東京都生まれ。帝京大学文学部卒業後、『コアマガジン』に入社。『ニャン2倶楽部Z』『BUBKA』編集部を経て、『白夜書房』に移籍。『コリアムービー』『みうらじゅんマガジン』の編集長を務める。2009年に作家に転身。著書に『日本のセックス』(双葉文庫)・『ルック・バック・イン・アンガー』(祥伝社文庫)・『さよなら小沢健二』(扶桑社)等。


キャプチャ  2016年9月22日号掲載
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