【教科書に載らない経済と犯罪の危ない話】(04) 『パナマ文書』を“調査報道”するICIJの不透明な立ち位置

日本時間の今月10日深夜、『国際調査報道ジャーナリスト連合(ICIJ)』が『パナマ文書』について新しい情報を公表した。“史上最大の発表”という前宣伝とは裏腹に、中身は夥しい数の法人名と個人名があるばかりで、何が史上最大なのかよくわからない。日本企業と日本人の名前も含まれてはいるが、タックスへイブンでの具体的な活動内容や違法性を示すものは何も無い。しかし、日本のマスコミは、パナマ文書に名前があるだけで違法な行為を行っているかのような報道を続けている。繰り返しになるが、グローバル経済の現代、タックスへイブンを使った金融取引は普通のことだ。抑々、租税回避が目的なら、直ぐに関連会社と判明するような法人名にはしない。それに、日本はタックスへイブン対策税制(CFC)が機能しており、税率20%を下回る外国に子会社を設立した場合、その会社が得た利益は株式の保有割合に応じて親会社に課税される。マスコミは租税回避や課税逃れと騒ぐ前に、このような税制も理解した上で正確な報道を努めるのが職務ではないか。ICIJが新しい情報を公表した翌日、パナマ文書の流出元となった『モサックフォンセカ法律事務所』は、「ICIJを提訴する」という声明を出した。当然のことだと思う。データが不正に抜き取られたことと、報道の自由は別の問題だからだ。また、流出したデータはオリジナルか、リライトされていないかもわからない。南ドイツ新聞へ情報提供した人物も“ジョン・ドゥ”(名無しの権兵衛)とされていて、命を賭して告発したエドワード・スノーデンやジュリアン・アサンジとは様相が大分異なる。このように、パナマ文書は流出の意図や経路に不審な点が多々ある。

抑々、ICIJという組織は、然も信頼に足る報道機関のように喧伝されているが、その実態は、CPIなるアメリカの非営利調査報道団体が構成した1つのプロジェクトに過ぎない。そして、その運営資金は『フォード財団』『ロックフェラー家基金』『カーネギー基金』等から出ており、アメリカの干渉を受けずに活動できるのかも疑問だ。ともあれ、パナマ文書に日本企業と日本人のデータがあったのは事実。その中で筆者が注目したのは、『ユニクロ』を運営する『ファーストリテイリング』代表取締役会長兼社長・柳井正の名前だった。柳井と言えば、個人資産1兆8000億円の世界長者番付日本一を誇るビジネスリーダーである。彼の名前をタックスへイブン絡みで目にするのは2度目だった。1度目は2011年10月、所有する自社株531万株(議決権ベース5.2%)を、オランダの『TTYマネジメントBV』という柳井が代表を務める資産管理会社に譲渡したというニュースでだった。オランダには“資本参加免税制度”が存在するのだが、これは発行株式の5%以上を継続保有していれば、その株から得られる配当売却益が非課税になり、更に相続関係にある親子が5年以上海外に居住すれば贈与税もかからない。これにより、昨年度の配当金約18億6000万円は無税となり、本来、徴収される筈であった日本での課税は免れたことになる。この株式譲渡についてファーストリテイリングは、IRで次のように説明している。「当社の株式を継続的に保有することにより得られる配当金を原資として社会貢献活動を永続的にかつ幅広くグローバルに実施すること」。タックスへイブンに資産を移して課税を免れるより、納税に努めたほうが社会貢献になるのは、誰にでもわかるだろう。これこそ、“課税逃れ”と責められるべき行為である。日本一の資産家が行うべきことではないが、違法性が無いのもまた事実である。 (http://twitter.com/nekokumicho


キャプチャ  2016年5月31日号掲載
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