【霞が関2016秋】(01) 保険手数料開示は序章にすぎず…金融庁vs銀行の第2ラウンドへ

「自動車メーカーが販売店にいくら奨励金を払っているかなんて開示していない。何故、投資商品だけ狙い撃ちするのか」――。銀行が売る運用型生命保険の手数料開示を迫る金融庁に対し、異口同音に不満を漏らしていた銀行界。結果的には、大手行・主要地銀とも相次いで来月から開示に踏み切る。「他行に後れを取る訳にはいかない」「当局に睨まれたくない」等動機は色々あるが、先ずは動き出す。投資商品の販売手数料の開示は、金融庁が最重要課題に掲げる“顧客本位の業務運営”の1丁目1番地。「金融機関が顧客の意に反し、自らの実入りが多い商品を勧めているのではないか?」という長年の疑念に端を発している。商品を売ることで、銀行がどれだけ収入を得るのか明らかにすれば、消費者も商品を選ぶ際の判断基準が増える。金融庁は、「車や家電と違い、形が無い投資商品は、売る側と買う側で情報の偏りが大きい。手数料を含めた適切な情報開示は不可欠」(幹部)と強調する。金融庁は開示を法律等で強制するのではなく、敢えて銀行の自主的な対応に委ねた。現時点では来月からの開示を発表する銀行と、「県内で先行も遅れもしたくない」(関東地方の地銀)と横睨みを続ける銀行に二分された。ただ、タイミングの違いはあれ、今後、ほぼ全ての銀行が保険窓販の手数料を開示する見通しだ。“金融庁vs銀行界”の水面下での戦いは、金融庁の完勝。しかし、これで終わりではない。ある金融庁幹部は、「保険の手数料開示はキックオフに過ぎない」と話す。視線の先にあるのは、①投資商品全般の説明方法②開発から販売に至る金融機関の系列関係に伴う利益相反の問題――である。

説明方法に関しては、例えば複雑な金融技術を組み合わせた仕組み債。一定の条件を満たした場合に満期前に償還となる『期限前償還条項』や、為替相場が一定範囲内に収まった時しか利益が出ない等、少なくとも4つから5つの構成要素が絡み合っている。例えば、25年満期の社債でも、5年で償還される可能性が高い仕組み債について、“5年債”と説明して販売している事例があるという。金融庁は、「金融機関は、リスクを正確に理解できるようなわかり易い説明をしているのか疑わしい」とみている。系列金融機関の利益相反問題については、例えば、ある金融グループの運用会社が、投資信託を系列の銀行窓口で販売するケースがわかり易い。銀行としては、系列運用会社の商品を売ったほうがグループ全体の収益向上に繋がるが、他社の投信のほうが顧客の利益に繋がるケースもある。本来なら顧客の側に立って投資助言すべき立場だが、系列構造がある為に健全な動きが起き難い。運用会社側も、系列銀行での売り易さを最優先に商品開発するという、顧客不在の業務運営に繋がりかねない。手数料開示というわかり矢髄テーマでは取り敢えず、当局の意向に沿って対応してみせた金融機関だが、系列の利益相反を防ぐ枠組み作り等、グループ収益の根幹に関わるテーマに対してはどう反応するのか。来月以降に再開する金融審議会で、第2ラウンドのゴングが鳴る。 (亀井勝司)


⦿日本経済新聞電子版 2016年9月13日付掲載⦿
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