【霞が関2016秋】(02) 国債利払い費にみる財務省の苦悩

霞が関の各省庁が、来年度の必要経費を積み上げて財務省に提出した概算要求。財務省自身も、国債の利払い費を見積もる際の“積算金利”を要求する立場にあり、この金利を年1.6%と過去最低に設定した。現在の歴史的な超低金利を踏まえれば当然のようにみえるが、国の債務を管理する財務省内では「心許無い」との声もある。積算金利は、足元の金利水準や過去の金利急騰時の上げ幅等を考慮して弾く。1998年の所謂“資金運用部ショック”や、2003年の“VaRショック”の際には、長期金利が1%以上急騰した経験もある。日本の国債発行残高は800兆円を超え、直近の税収の14年分以上に相当するだけに、「大事なことは、将来の金利変動リスクに対して万全を期すこと」。財務省の幹部は、こう強調する。例えば、今年度の概算要求では、昨年度の当初予算の積算金利を0.2ポイント上回る2.0%を要求。最終的に今年度の積算金利は1.6%に落ち着いたが、要求時点では常に高めの数字を投げ続けてきた。しかし、来年度は様相が異なる。要求した1.6%は、今年度当初予算の積算金利と同じ。「日銀と財務省は、色々と密にやらせて頂いている」(財務省の麻生太郎大臣)中で、概算要求で今年度より高い金利を要求すれば、「日銀の今後の金融政策が金利上昇要因になる」と受け止めかねられない。

財務省が導き出した1.6%という数字には、「妙な臆測を呼ぶことは避けたい」(財務省幹部)との思いがある。数字には、もう1つの意味が込められている。これまでの実績を見ると、最終的な積算金利は概算要求を下回って決着している。一方、政界からは歴史的な低金利を受け、歳出拡大を求める声は根強い。今年度は、上半期で2度の補正予算を編成した。赤字国債の発行を避けたい首相官邸の意向を受け、財源とされたのが、低金利で浮いた国債の利払い費だ。ある財務省幹部は、「金利の先行きは常に不透明。浮いた利払い費を年度の前半で使ってしまうと、不測の事態に備えきれなくなる」と溢す。省内では、「万が一にも利払い費が足りない為に補正予算を組むことになれば、日本国債の信認に関わる」と危惧する声が根強い。財務省の関係者は、「低金利はいつまでも続かない。1.6%には、『今年度のように浮いた利払い費を補正財源のあてにできない』というメッセージが垣間見える」と話す。積算金利に神経質になるのは、膨大な国債残高を抱えている為だ。残高が大きいが故に、金利が上昇した際の利払い費の拡大も大きくなる。来年度の積算金利には、遅々として進まない財政再建への苦悩が滲み出ている。 (池田将)


⦿日本経済新聞電子版 2016年9月20日付掲載⦿
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