「ドゥテルテ! Fuck off!」――フィリピンアウトローの覚醒剤パーティーに決死の潜入撮!

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ルソン島北部の中心都市・バギオ。コルディリェラ山系、標高1500mの高地にある常春の避暑地で、例年3月から5月にかけて大統領府等政府機関が移転してきて、首都機能を担う。今年6月30日に就任したロドリゴ・ドゥテルテ新大統領も、来春はこの地に滞在することになるだろう。ドゥテルテは、7期に亘るダバオ市長任期中に、東南アジア最悪と言われたミンダナオ島にある国内第3の大都市・ダバオの治安を、彼曰く“東南アジアで最も安全な都市”へと劇的に改善。経済発展を齎した功績と圧倒的実行力で国民に支持され、第16代フィリピン大統領の座を手にした。しかし、その手腕には毀誉褒貶がある。ドゥテルテがダバオを“鎮圧”した方法というのが実に荒っぽいもので、彼自身が私設軍隊(パラミリタリー)である『ダバオデススクワッド(DDS=ダバオ死の部隊)』を組織し、麻薬組織等の犯罪勢力を“私刑”による大量殺人で次々と壊滅させるという超法規的なものだった。ドゥテルテは、ダバオで成功した豪腕を全国的に振るい、展開していく方針だという。麻薬問題には積極的に厳しく当たる決意で、特に国家警察には、麻薬犯罪者に対する射殺を報奨金付きで奨励している。この公約は効果覿面で、大統領就任前から麻薬犯の自首・投降が相次いでいるという。「ドゥテルテ! Fuck off(消え失せろ)!」。バキオのギャングは依然として、ドゥテルテへの敵意を露わにしていた。筆者は彼らとの接触に成功し、7月某日、市内の廃工場をスクワッドしたアジトにおけるパーティーの取材を許された。麻薬犯罪に対する理不尽な強権発動に対する彼らの意志を明らかにする為であった。ドゥテルテが憎悪する“アイス”で気勢を上げ、彼の宣戦布告に応えようという訳である。

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地元の青ギャングで麻薬密売人の大物・アロワンが家を警察に急襲され、銃撃戦を演じた揚げ句に逮捕される等、バギオにおいてもドゥテルテの就任直前から、既に国家警察は新政権の意向に沿う動きを活発化させていた。フィリピン全土の麻薬業界には緊張が漲り、淡々と戦争準備が進んでいる。現在、フィリピンにおいて最もポピュラーな麻薬は、メタンフェタミンを主成分としたアッパー系ドラッグである“アイス”、要は覚醒剤(シャブ)である。日本からの外来語である“SHABU”と呼称されることも多い。1985年頃から本格的に出回り始め、若年労働者層を中心に爆発的に浸透していった。2009年現在、薬物常用者の62%が覚醒剤を使用しているという。アイスを摂取するフィリピーノの流儀は、専ら“炙り”である。アルミホイルの上に置いたブツを熱し、気化させて吸引するのである。当地の労働者階級にとって、アイスは決して安いものではない。何しろ、1g当たりの末端価格が4000ペソ(約1万円)もするのだ。それは、彼らの月給に相当する。因みに、日本における末端価格の約3分の1だ。フィリピンのユーザーは、500ペソ(約1000円)で入手できる約1回分相当を、その都度手に入れるのがデフォである。“炙り”と一言で言っても、成分を少しでも無駄にしないよう、フィリピンなりの独特な技術を用いるという。100円ライターを細工して火力を弱め、磨いたアルミホイル2枚の上のブツをじっくり熱して、液化したブツをアルミホイル上で滑落させつつ、気化させて吸引するのだ。「あんな脅しぐらいでアイスを止められるか! ノーアイス、ノーライフだ!」。ドゥテルテは、「“キツネの奸知とライオンの獰猛”の実行力で、若年層に熱狂的支持がある」と表面上は報じられているが、少なくとも闇社会では全く見解が違う。恐れを知らぬ地下の若者たちの雄叫びは、恰もアウトローの独裁者が導く祖国・フィリピンの前途多難に対する異議申し立てのようである――。 (取材・文・写真/写真家 釣崎清隆)


キャプチャ  2016年10月号掲載
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