【狙われたATM】(上) 偽造カードで予行演習…1ヵ月前から3度使用

約18億6000万円の現金が、僅か2時間半で不正に引き出された今回の事件。その背後には、暴力団等の犯罪組織の影が浮かび上がる。グローバルな手口や捜査の行方を探る。

20161004 07
4月7日、木曜日の日中、東京都港区にある『セブン銀行』の現金自動預け払い機(ATM)に現れた男は、数枚のカードを1枚ずつ機械に挿入した。男は慌てることもなくボタンを操作したが、現金は出ず、カードだけが吐き出された。数分後、何事も無かったかのように立ち去った。男が持っていたのは“白カード”と呼ばれる偽造カードで、磁気部分には、日本から約1万4000km離れた南アフリカ共和国に本店を置く『スタンダード銀行』のクレジットカード情報が記憶されていた。4月30日と5月4日にも、都内の別のATMで同じ偽造カードが挿入されていた。17都府県のコンビニATM約1700台から18億円超の巨額の現金が実際に引き出されたのは、5月15日。使われたのは、同じ偽造カードだった。警視庁は、「4月にATMを操作した男は、不正引き出しグループの一員だった」とみている。「現金を引き出すのが目的ではなく、本番に向けたテストだったのではないか」。捜査幹部は、3度に亘る偽造カードの使用が“予行演習”だったとの見方を示す。過去に振り込め詐欺の出し子として逮捕された人物・覚醒剤の常習者・元暴力団組員…。警察当局が事件後、回収した全国約1700台のATMの防犯カメラ映像には、100人を超える“出し子”と呼ばれる引き出し役が映っていた。女の姿も確認されたという。

各地の警察は出し子を次々と逮捕したが、その多くは「『いいバイトがある』と誘われた」と供述。報酬は数万円程度だった。警察当局の捜査は現在、背後で不正引き出しを指示していた暴力団に伸びている。「カードを使ってATMからカネを引き出す。実行は土日だ。出し子を集めろ」。事件の1ヵ月以上前の今春の時点で、関東地方の暴力団関係者は、知人の男にそう持ちかけていた。暴力団やその周辺では“物凄い儲け話”として、綿密に準備が進められていたとみられる。これまでの捜査で、『山口組』・『神戸山口組』・『道仁会』系等、少なくとも指定暴力団6組織が指示役として事件に関与していたことが確認され、傘下組織の幹部や組員計11人が逮捕された。幹部や組員は出し子にカードを配り、引き出した現金から報酬を引いた額を回収。出し子が持ち逃げしないよう、組員がコンビニの駐車場に待機していたケースもあった。不正に引き出された18億円超の取り分は、末端の出し子が引き出し額の数%、出し子の取り纏め役が10%程度で、「大部分は暴力団の組織に上納された可能性が高い」(捜査幹部)。引き出し直前にスタンダード銀行のシステムにサイバー攻撃をした海外のハッカー組織にも、多額の報酬が渡ったとみられる。「海外のハッカーと連携してカード情報を入手し、引き出しのタイミングを指示した組織が事件を主導したのだろう。ATMを狙った不正引き出しは、暴力団の新たなシノギ(資金稼ぎ)になっている恐れもある」。警察当局は、暴力団上層部の関与も視野に捜査を進めている。


⦿読売新聞 2016年10月3日付掲載⦿
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