【教科書に載らない経済と犯罪の危ない話】(18) 武器や麻薬並みに儲かる! 暴力団と石油の“蜜月関係”

若し、無人島に本を持っていくとしたら、迷わずダニエル・ヤーギン著『石油の世紀』を選ぶ。19世紀半ばから、人類は石油と共に近代文明を築いてきた。石油の為に戦争し、経済も翻弄され続けてきた。20世紀はまさに石油の世紀であり、それは今も続いている。ロックフェラー、ロスチャイルド、ノーベル兄弟も、石油によって富と権力を手に入れたのだ。一発大逆転を狙えるビジネスも、石油に勝るものはないだろう。ペトロダラー(ドル建てオイルマネー)は想像を絶する巨大さで、テロリストからマフィアまで、あらゆる者を世界中から惹き付ける。アメリカの経済誌『フォーチュン』が『犯罪組織の推定収益額トップ5』というタイトルで、『山口組』を世界一とした。だが、海外のマフィア組織と山口組を同列で語るのは間違っている。日本のヤクザ組織は完全に中央集権化されていて、組織の全体像・活動拠点・構成員に至るまで把握し易い。それに比べて、海外マフィアは構成員の把握はおろか、活動拠点さえ判然としない。マフィア組織で一番の収益を上げているのは、間違いなくロシアンマフィアだ。香港やシンガポールのプライベートバンクに行けば、ヨーロッパからの桁違いな資金移動を画策しているロシア人に出くわすことが多い。資金調達や投資の情報を交換するファイナンスフォーラムでも、巨額案件の殆どがロシア人で、次が中国人だ。筆者がドバイの銀行で出会ったロシア人は、5000億円のBD(バンクドラフト)を持ち込み、不審がられて別室へ連れて行かれていた。

ロシアンマフィアが莫大な収益を上げられるのは、政治的・地政学的な要因が大きい。ソビエト連邦崩壊の混乱に乗じ、国有財産や利権を手に入れた彼らは、旧連邦国家で確固たる経済基盤を築いてきた。その影響力は政府にまで及ぶ。彼らの収益源で大きいのは、武器や麻薬の海外取引だけではない。石油もまた大きなウェイトを占める。特に国内で産出される原油と、それから作られる重油等、石油製品の販売による収益は凄まじい。石油(原油)取引で動く金額について、わかり易い例を挙げよう。2008年の日本で、1日に消費された原油が約450万バレル。価格が1バレル=130ドル、為替レートが1ドル=103円として、これで約600億円になる。この数字は、飽く迄も日本が1日で消費した原油だけのものだ。2008年を参考例にしたのは、この7月に1バレル=117ドルという最高値を付けたからだ。実を言うと、原油価格の高騰は、2004年の前半から誰でも予測できた。中国の経済成長に伴う需要増に加え、中国政府による戦略的原油備蓄量達成目標引き上げも大きな要因だった。勢い、日本国内の燃料消費が大きい企業(航空・輸送)は、燃料調達費の高騰をリスクへッジする為、相次いでスワップ取引(固定価格での取引)を増加させていった。こうした背景から、原油価格の上昇は明らかであり、筆者も含めて多くの暴力団員が原油の先物取引を始める事になった経緯がある。原油先物取引やスワップ取引が暴力団の間で流行りだしたのは、“第2次金融ビッグバン”と呼ばれる2002年の後半からだったと思う。金融取引のあらゆる規制が緩和され、海外での資金調達や資本移動が一気にやり易くなったのだ。当時は暴排条例も無く、証券取引も銀行取引も自由にできた。予測通りの原油価格の上昇は続き、為替も安定していた。こうして、原油という商品の魅力を知った暴力団は、軈て「現物の原油を扱おう」と考えるようになる。如何にして、暴力団は原油の現物取引に進出していったか。次回は、その詳細を明かしていきたい。 (http://twitter.com/nekokumicho


キャプチャ  2016年10月4日号掲載
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テーマ : 国際問題
ジャンル : 政治・経済

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