【狙われたATM】(中) 国境の壁ない組織犯罪…日本警察「外国の協力不可欠」

20161006 05
全国の現金自動預け払い機(ATM)から一斉に現金が引き出された事件から約1ヵ月後の6月下旬、霞が関の警察庁で、日本と南アフリカの警察当局幹部による極秘会議が開かれた。「サイバー攻撃を受けていた」。来日した南アフリカ国家警察の重要犯罪捜査部門『ホークス』の幹部は、同国の『スタンダード銀行』のシステムが事件直前、サイバー攻撃を受けていたことを明らかにした。日本の不正引き出しと、遠く離れた南アで起きたサイバー攻撃は、1つの事件に繋がった。捜査関係者によると、カードを使って現金を引き出す“キャッシング”をする場合、カード発行元のシステムに顧客情報や暗証番号を送信して承認を受ける。ところが、スタンダード銀行のシステムには払い出しを承認した痕跡が無かった。システムの解析の結果、サイバー攻撃によって顧客情報や暗証番号の承認機能が麻痺させられていたことが判明。“1111”等、どんな暗証番号でも引き出せるように、プログラムが改竄されていた。手口から、海外のハッカー組織による攻撃の可能性が高いとみられる。サイバー攻撃があったのは、南アの現地時間で土曜日の夜。その直後、日曜早朝の日本で一斉に現金が引き出された。捜査関係者は、「休日で復旧に時間がかかる盲点を狙ったのではないか」との見方を示す。

英語で“鷹”を意味するホークス。今回の事件を担当しているのは、商業犯罪が専門のアルフレッド・カーナー少将(上段右写真)が率いるチームだ。銀行やサイバー犯罪に詳しい民間専門家3人も加わり、スタンダード銀行へのサイバー攻撃や、顧客情報の流出ルートの捜査を進めている。「非常に深刻に受け止めている。日本と協力して捜査を進めていきたい」。7月下旬、南アの首都・プレトリアにあるホークス本部で読売新聞の取材に応じたカーナー少将は、そう話した。海外のハッカー組織によるサイバー攻撃は、発信元を隠す為に複数の国のサーバーを経由しており、通信記録から追跡するのは至難の業とされる。「重大なサイバー犯罪の捜査経験は無い」(ホークス幹部)という南ア当局にとっては、難しい捜査だ。だが、銀行の本店が南アにある以上、サイバー攻撃の捜査は南ア当局が行う。「捜査機関にはある国境の壁が、犯罪組織には無い。何故、日本に南アの顧客情報が流出したのか、今後の捜査で明らかにしたい」。カーナー少将は、そう強調した。サイバー捜査が難航する中、事件を解明するカギになるのが、ハッカー組織と日本の暴力団を繋いだ組織の存在だ。「暴力団関係者がロシアのハッカーと接触していた」。暴力団の捜査を進めている日本の警察当局には、接点を窺わせる情報も寄せられている。現在、背後関係の捜査が進められているが、警察幹部は「先ず国内の捜査を徹底するが、外国の協力は不可欠だ」と指摘する。社会のグローバル化に伴い、1つの事件に複数の国の組織が関わる“犯罪の多国籍化”が進んでいる。国際捜査網は、どこまで迫ることができるのか。今回の捜査は、その試金石でもある。


⦿読売新聞 2016年10月5日付掲載⦿
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