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【地方銀行のリアル】(23) 川崎信用金庫(神奈川県)――超リスク運用で抱えた“爆弾”





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超金融緩和の長期化による運用難が続く中、行き場を失ったマネーが群がる市場がある。その一つが私募REIT(※不動産投資信託)と呼ばれる投資商品だ。2010年11月に『野村不動産』系の資産運用会社が1号ファンドを組成したのを皮切りに、『三菱地所』や『三井不動産』等の大手不動産グループを中心に新規参入が続出。昨年9月末の資産総額は2兆8468億円に達した。『日本銀行』によるマイナス金利政策導入前の2015年12月末時点では1兆4062億円だったから、僅か3年足らずの間に2倍超にまで膨らんだことになる。その私募REIT市場で「飛び切りの存在感を示し、且つ異彩を放っている」(機関投資家筋)とされるのが、神奈川県川崎市に本店を置く“かわしん”こと『川崎信用金庫』だ。何しろ、投資残高は昨年三3月末で推計500億円。企業年金等の資産管理を担う『JTCホールディングス』傘下の『日本トラスティサービス信託銀行』や、『日本マスタートラスト信託銀行』といった資産管理専門信託を除けば、約670億円の残高を抱える『農林中央金庫』に次いで堂々の2位。地方銀行で残高トップの『静岡銀行』(※約200億円)の2.5倍に当たり、信金業界では『城北信用金庫』(東京都)の約75億円を大きく引き離して、断トツの首位を直走る。川崎信金の保有有価証券は昨年3月末で4391億円。償還までの期間の長い国債や地方債・社債等を中心に、2017年3月末の4725億円から334億円圧縮した。しかし、私募REITを含む“その他の証券”は710億円と、同698億円から僅かながら残高を拡大。有価証券運用の一割強を私募REITに振り向けていることにもなる。

私募REITは、株価に連動し易い上場REITに比べ、安定的に比較的高い利回りが見込めるとされている。価格が変動するのは、年2~4回の不動産鑑定時に限られる為だ。利回りは足元で年3~4%とされ、金利ゼロ圏に凍り付いたままの国債を大きく凌駕。運用難に四苦八苦する地域金融機関にとっては、確かに「魅力的」(大手地銀関係者)だ。配当金は資金利益に計上され、期間収益を押し上げる。実際、川崎信金の昨年3月期の実質業務純益は22億2400万円と、私募REITからの利息配当金に支えられて前期比約5%増加。2014年3月期以来、ジリ貧が続いていた純利益は、同約9%増の17億2200万円と4年ぶりに増益に転じた。貸倒引当金の繰り入れが縮小することもあって、2019年3月期も25億1500万円と、2期連続最終増益を記録する見通しだ。とはいえ所詮、私募は私募である。上場REITや国債等と違って、流動性はこの上なく乏しい。無論、投資家からの請求があれば、一定の投資口数を上限に払い戻しや解約ができる仕組みは一応、設定されてはいる。だが、ファンドが投資対象としているのは、オフィスビルや商業・物流施設といった不動産だ。その不動産の買い手を見つけられなければ、直ぐに換金できる筈もない。「今のように不動産市況が堅調なうちは兎も角、一度市況が悪化すれば地獄。そんな代物に多額の投資を振り向けるなど、狂気の沙汰だ」。2008年秋からの世界金融危機時には、不動産関連ファンドへの投資で全損する投資家が相次いだこと等を挙げ、メガバンク幹部の一人はこう断じる。川崎信金の自己資本額は昨年9月末時点で1557億円。仮に全損するようなことになれば、その3分の1近くが吹き飛び、財務基盤は忽ち劣化する。“信金業界のスルガ銀行”――。金融関係者らの間で、私募REITと並ぶかわしんのもう1つの地雷原と専らの噂なのが、アパートやマンションローン等の投資用不動産向け融資だ。2015年以降、急速に残高を伸ばし、昨年3月末には3657億円と、総貸出金残高(※1兆1026億円)の33%強を占めるまでに膨らんだ。膨張は昨春、『スルガ銀行』事件が火を噴いても止まらない。昨年9月末時点では3807億円へと増大。この間、貸出金全体の伸び率が1.5%に留まる中で4%強増え、構成比率も34%超に高まった。不動産業向け融資4382億円の実に9割近くが投資用不動産向けだ。地盤の川崎市は都心への交通アクセスが至便で、人口増加が続く。この為、同金庫の草壁悟朗理事長は「融資対象のアパートの入居率は平均で90%以上。他の地域金融機関で起きているような過熱融資等の問題はなく、融資先も(サブリース業者ではなく)昔からアパート経営をしている大地主等、優良顧客が多い」として、融資内容の健全性をアピールするが、スルガ銀行が足を掬われる形となったシェアハウス等の融資対象物件も、実は大半が首都圏だった。予断を許さない。業界関係者の中には、相対的に貸出利回りが良いアパート&マンションローンの比率が高水準に達しているにも拘わらず、利鞘の改善が進んでいないことを訝しむ声も少なくない。昨年3月期の総資金利鞘は-0.04%。前期より若干上向いたものの、依然、逆鞘が続く。「2018年1月に勘定系システムを全面更新したことで、償却費を始めとした物件費が嵩んだこともあろうが、それにしても良くない。金利競争の激しい住宅ローンや一般事業法人向け融資で、余程の低採算案件を抱えているのか」。信金中央金庫関係者の一人は首を傾げる。

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川崎信金は、関東大震災に見舞われた大正12(1923)年に『川崎信用組合』として誕生。昭和20(1945)年に『中原信用組合』や『高津信用組合』と合併して『川崎市信用組合』となった後、1951年に信金化。1999年には経営破綻した『神奈川商工信用組合』の営業を譲り受け、預金・貸出金とも現在、県内8信金中トップの地位を誇る。川崎を始め、横浜や藤沢等県内12市1町、東京都内8区7市を営業エリアとして定めているが、店舗の広域展開は行なわず、JR南武線沿線を中心としたドミナント戦略が特徴。全56店中、都内には大田区内に2店を配置しているだけだ。“進取の気風”に富んだ信金として知られ、ATMの年中無休に踏み切ったのは1995年で、当時、日本のリテール市場に進出していた『シティバンク』に次いで国内2番目。24時間稼働は全国信金初の快挙だった。コスト増やインターネットバンキングの普及等で横並びに追い込まれた昨年9月末までは、窓口の営業時間も他の金融機関より1時間長い午後4時まで。「午後3時のティータイムをゆっくりとって駆けつけても未だ間に合う」として、川崎市内の高齢利用者には好評だったらしい。してみると、私募REIT投資への異様なほどののめり込みようも、「約4割が焦げ付けば一気に屋台骨を揺るがしかねない」(金融筋)投資用不動産向け融資への急傾斜も、こうした先進性のなせる業か。だが、叩くことなく石橋を渡ったツケは、近い将来、かわしんに重く圧し掛かってくるかもしれない。


キャプチャ  2019年2月号掲載
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