【霞が関2016秋】(09) 東電“債務超過”発言の波紋、経産省は警戒

『東京電力ホールディングス』の広瀬直己社長が今月5日、自社の債務超過のリスクに言及した。東電HDの株価は一時、前日終値に比べ8%安の水準まで急落。この想定外の発言で波紋が広がったのは、株式市場だけではなかった。経済産業省にとっても寝耳に水で、東電による安易な公的支援の要請を警戒する声が上がった。広瀬社長が債務超過リスクに触れたのは、経産省内で開かれた『東京電力改革・1F問題委員会』の初会合の席上。今は総額が見えない福島第1原子力発電所の廃炉費用が合理的に見積もれるようになると、巨額の費用を貸借対照表上の負債に一括計上せざるを得なくなる可能性が生じることを説明。実際に計上した場合は「債務超過になり、東電が倒れてしまうリスクがある」と述べた。そのリスクを回避する為、経産省側に“制度的措置”という言葉で支援を要請した。広瀬社長がこの発言をしたのは、外部に非公開の部分だったが、終了後の昼過ぎに、会合の中で債務超過のリスクに触れたと報道陣に説明。この発言が市場に伝わり、東電HDの株価はあっという間に急落した。広瀬社長は同日、要請する制度的措置の中身には深入りしなかった。ただ、発言内容を聞いたある経産省幹部は、「東電HDは廃炉費用の電気料金への上乗せを想定している」と受け止めた。

「仮に、電気料金の一部として安定的に利用者から廃炉費用を回収できるようになれば、会計ルールに照らしても債務超過を回避できる」との見方が有力だからだ。広瀬社長は同時に、「(廃炉費用は)私たちが払っていかないといけない」とも明言していたが、この経産省幹部は「真意は別にあるのでは?」と訝った。勿論、東電側にも言い分はある。福島の復興を最優先で進める上で、同社の経営安定は欠かせない。「債務超過リスクの回避は東電だけの利益に留まらない」という考え方が底流にある。こうした問題が生じる背景には、東電の経営改革と国の支援を巡る両者の立ち位置のズレがある。経産省は、「東電ができる限りの再編やリストラをした上で、制度的措置が必要なら検討する」というのが基本姿勢だ。制度的措置の検討が先に来て、東電の改革姿勢が緩むのを強く警戒する。東電も、これまでより踏み込んだ“非連続”の経営改革が必要とする点では、経産省と足並みを揃える。ただ、自社の解体に繋がりかねない再編の検討には、社内でも抵抗が根強い。経産省は、外部の有識者に踏み込んだ経営改革の議論を進めてもらい、年内に提言の原案を纏める予定だ。議論が今後、具体策に踏み込んでいくにつれ、経産省と東電の改革を巡る綱引きは更に激しくなる。 (中野貴司)


⦿日本経済新聞電子版 2016年10月8日付掲載⦿
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