【ヘンな食べ物】(08) 最高に美味い巨大魚・ピラルク

先日、東北を旅していた時、旅館でテレビをつけたら、いきなり南米アマゾンの巨大魚・ピラルクが現れてビックリした。途中から見たので詳しい事情はわからないが、地元の水族館で2mくらいありそうな個体を捌いてフライにし、お客さんが恐る恐る試食している。何て初体ない…。ピラルクは並みの魚じゃないのだ。鱗のある淡水魚としては世界最大とされている。恐竜時代から生きている古代魚で、そして何より世界で最も美味い魚のひとつと言っていい。私は25年前、アマゾンを旅した時に何度か食べたが、白身だが噛むとキュッという締まった歯応えがあり、地鶏にも似た味がする。ピラルクのフライと、キンキンに冷えたアマゾンのビール『アンタルクティカ(南極)』を飲むのが最高の楽しみだった。しかし、ピラルクはその美味故に乱獲の対象となり、数が激減していることを聞いた。現地でもかなり貴重な魚なのだ。その“有難み”をわかって食べてほしい。更に、私が一番気になったのは“頭”の行方。私はアマゾンのジャングルを移動している時、偶々、漁師が銛でピラルクを仕留めて、バレーボールくらいの頭部を焚き火の上に直に載せて、焼いて食べている現場に遭遇したことがある。兜焼きだ。他の部位は市場に売るが、「頭は一番美味いから自分たちで食う」とのことだった。つまり、本場でも頭は漁師しか食べられないのだ。この兜焼きが、もう最高に美味い。香ばしい湯気を顔に浴びながら、くつくつ煮える肉に直接スプーンを突っ込む。新鮮な脂が舌の上でとろとろとろける。でも、水族館で焚き火なんてできないだろうし、きっと捨ててしまうんだろうなぁ…。「ピラルクの兜焼きと東北の辛口吟醸酒を合わせたら、世界最高峰級の贅沢なのに」と、他人事ながら心底残念に思ったのだった。


高野秀行(たかの・ひでゆき) ノンフィクション作家。1966年、東京都生まれ。早稲田大学第1文学部仏文科卒。『幻獣ムベンベを追え』(集英社文庫)・『アジア未知動物紀行』(講談社文庫)・『世界のシワに夢を見ろ!』(小学館文庫)等著書多数。


キャプチャ  2016年10月13日号掲載
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