【霞が関2016秋】(11) 予算、補正で大盤振る舞い…緩む財政のタガ

事業規模28.1兆円の経済対策の裏付けとなる今年度第2次補正予算が、参議院で成立した。一般会計で4.5兆円を追加支出する為に、4年ぶりに公共事業等に使途を限定する建設国債を2.7兆円追加発行した。来年度予算編成が本格化する霞が関では、社会保障費の自然増を年5000億円に抑制する目標を順守できるかに注目が集まっているが、当初の予算を引き締めて、補正予算で大盤振る舞いするという財政運営は持続可能なのか。政権の財政運営の在り方が問われている。「塩梅が難しい。収入があっても(余ったお金で)借金を返すと、インフレ期待を消してしまうことに繋がる」。安倍晋三首相は今月6日の参議院予算委員会の質疑で、2次補正の意義についてこう強調した。脱デフレを最優先課題と位置付ける政権として積極的な財政運営を目指す考えを示したものだが、同時に答弁した「2020年の基礎的財政収支(プライマリーバランス)に向けて全力を挙げていきたい」とのフレーズは説得力を欠いた。安倍政権は、2014年に消費増税を延期した際、マクロ財政運営の基本方針として財政健全化計画を策定した。2020年の基礎収支黒字化を目標に据え、具体的な道筋として、2016年度~2018年度の社会保障費の歳出増を1.5兆円、一般歳出の増額を1.6兆円とする“目安”を設定した。計画初年度の今年度予算は、社会保障費の伸びを5000億円に抑えることに成功し、2年目となる来年度予算案でも、厚生労働省が6400億円と見積もった自然増を1400億円圧縮する計画だ。医療・介護分野で高齢者や高所得者に応分の負担を求めることについて、与党や業界団体を巻き込んだ鞘当てが始まっている。ところが、4.5兆円の2次補正は、その財政計画の抜け道を露呈してしまった。「財政健全化計画の“目安”は、当初予算の規模しか縛らない」(財務省幹部)という点だ。2.7兆円の国債追加発行額は、来年度予算案で社会保障費を圧縮しようとしている1400億円の約20倍。政府が黒字化を目指す基礎収支目標は、補正予算等も含めた全ての予算の執行分を示す国民経済計算(SNA)で計算するルールとなっているが、予算編成上は別会計に当たり、許容されるという。

こうした抜け道は、財政健全化計画を策定した昨年度から、関係者の間で指摘されてきた。仮に抜け道を悪用すれば、当初の予算で仮に社会保障費を圧縮できなくても、5000億円を上回った額を補正予算に付け替えれば済む。実際、2次補正では、来年度予算で重点課題となっている子育てや介護等の1億総活躍の関連施策に7137億円を投じた。財政計画を機能させるには、規律ある運用が大前提となっているという。ただ、2020年度の基礎収支目標は、補正予算等も含めた執行分を示すSNAが基準。当初の予算をいくら低く抑えても、補正予算で大盤振る舞いすれば、基礎収支はその分悪化して、目標の達成は困難だ。安倍政権は2012年末の発足以来、補正予算を毎年編成しているが、『第一生命経済研究所』エコノミストの星野卓也氏は、「補正予算は短期的な経済活性化策に使われ、中長期的な成長底上げには寄与し難い。当初の予算をどう効率化するかに重点を置くべきだ」と警鐘を鳴らす。より深刻なのは、こうした財政の箍の緩みが、政府・与党の要所へ伝播しつつあることだ。「加速する高齢化等を踏まえた改革の工程表の見直しは必要だ」。先月17日の公明党大会。井上義久幹事長は公式な見解として、「社会保障の充実や抑制策を盛り込んだ財政計画を見直すべきだ」と発言した。これを受け、党重鎮は「工程表は一時凍結すべきだ」と社会保障費の抑制に慎重な姿勢を鮮明にしており、社保改革へ暗雲が垂れ込めつつある。内閣府には、増税延期に伴い、国内総生産(GDP)比で1%程度(約6兆円)に抑制するとした2018年度の中間目標の見直し論が燻る。消費増税が2019年10月に延期され、2018年度目標の達成は絶望的となった為、中間目標の基準を緩和しようとの動きだ。財務省は、今月7日の自民党の財政再建に関する特命委員会(委員長は茂木敏充政調会長)で、「2018年度目標は堅持」との方針を確認してもらう等、火消しに追われた。消費増税延期を機に策定した財政計画は、昨年始まったばかり。だが、今日の国会で審議を終えた予算委員会で、歳出改革が主要なテーマに上がることは遂に無かった。 (重田俊介)


⦿日本経済新聞電子版 2016年10月11日付掲載⦿
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