【警察の実力2016】(13) 東京の治安維持に尽力する3人の“縁の下の力持ち”

普段、あまり注目されないものの、“縁の下の力持ち”として東京の治安や安全を守っている人々がいる。そんな3人を紹介する。

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1998年から2015年までの18年間で、東京都内の渋滞を195kmも解消した男が警視庁にいる。交通部交通管制課副主幹の瀧澤和秀だ。実は、瀧澤は警察官ではない。技術職の一般職員で、1985年に入庁し、交通管制課に配属されて以降、交通信号機の高度化や管制システムの開発等、31年間ほぼ信号機一筋でやってきた。瀧澤が先ず取り組んだのは、車両感知器により把握した交通量と、渋滞の長さから信号の青の時間を自動計算する『リアルタイム信号』という信号制御システムだ。その後、更に精度を高める為、交差点の上流に感知器を設置、そのデータを基に交差点に到達する交通量を予測し、青信号を効率よく表示させる『需要予測信号制御システム』も導入し、渋滞の解消に繋げたという。渋滞対策だけではない。交通事故対策として、交差点において車両と歩行者ができるだけ交錯しないよう制御する『歩車分離式信号機』の整備等も進めた。「渋滞・事故共にゼロにできるものではないが、限りなく減らしていきたいと思っている」と語る瀧澤が目下取り組んでいるのは、2020年東京オリンピック対策だ。「選手村に通じる一帯の渋滞を、可能な限り解消していきたい」と意気込んでいる。

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サッカー日本代表がワールドカップ出場を決めた際、サポーターにユーモアを交えた話術でルールを守るよう呼び掛けたことで一躍注目を集めた“DJポリス”。警視庁警備部の機動隊員なのだが、彼らを育てているのが警備部管理官の近藤智和だ。混雑の中でも聞き易い声が出せるよう、ボイストレーニングを行ったり、実際の映像を見ながら観衆を誘導する検定や競技会を実施したりしながら、実力の向上を図っている。「我々は声で行う警備。だから、先ず聞いてもらわなければならない。その為に、ユーモアを交えながら、聞いて“得”する情報を提供するよう努めている」。DJポリスは人気が高く、20~30人に1人しかなれないという狭き門。「今後は、外国語を使える人材を育てていきたい」と近藤は語る。地上ではなく、空から東京の治安維持に尽力しているのは、警視庁航空隊飛行班の布施谷充紀子だ。警視庁にたった2人しかいない女性パイロットの1人で、26年のキャリアを持つべテランだ。4機種の中~小型へリコプターを操り、上空からのパトロールの他、容疑者の搬送や災害救助等の業務に当たっている。多摩川の花火大会で川の中州に花火師が取り残された際には、上空から救助活動を行い、安全な場所へとピストン輸送した他、『伊勢志摩サミット』の際にも上空からの警戒に当たった。「一般の警察官ではできない経験を数多くできる。もっと女性パイロットが増えることを願っている」。こうした人々によって、東京の治安や安全は守られているのだ。 《文中敬称略》

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■皇宮護衛官に水上警察…特殊任務に携わる警察官たち
皇居には、馬に乗った警察官がいる。制服の襟元には、皇室の象徴である“五三桐”をあしらったバッジが光り、肩から下げた拳銃の吊り紐は白ではなく臙脂色だ。その姿は、普段目にする警察官とどこか違う。彼らは、皇室の護衛と皇居の警備を専門とする皇宮護衛官たちだ。警察官と言っても、その入り口から一般の警察官とは大きく異なっている。高校や大学を卒業すると、先ず皇居内にある『皇宮警察学校』に入校。ここでは他の警察官同様、逮捕術や拳銃操作も学ぶ。だが、その目的は犯罪捜査ではなく、飽く迄も“皇室の護衛”だ。卒業後は皇居の他、坂下・吹上・赤坂・京都と、全国に4つある皇室と所縁の深い場所に置かれている護衛署での勤務となる。ここでは、110番・落とし物対応・運転免許更新といった業務とは無縁。その生涯を皇室の護衛に奉げる、特殊な任務を帯びた警察官たちと言えよう。特殊な任務に邁進する警察官は他にもいる。その1つが、警備艇を駆って海上での犯罪捜査を行う水上警察だ。現在、水上警察署は橫浜市・大阪市・神戸市の3ヵ所に設置されている。組織は陸上部と海上部に分かれており、海上部では港湾内での密輸取り締まり・遺体捜索・海上でのパトロール・海浜での救難救出活動を任務とする。他には、駅や電車内でスリ・置引・痴漢等を取り締まる『鉄道警察隊』もある。彼らは鉄道警察隊の腕章を巻き、“R”と“P”の文字に挟まれたレールを模ったバッジを着けている。これら“異色警察”の活躍を目にする機会はあまり無い。だが、人知れず任務に邁進する彼らの活躍があるからこそ、日本の治安は保たれているのだ。

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■可視化が進む取り調べも捜査の本腰は“立証”にあり
“取り調べ”という言葉から、どのような情景を思い浮かべるだろうか。多くの人は、無機質な部屋で強面の刑事が容疑者に自白を迫るべく、声を荒らげて机を叩いたり、将又カツ井や煙草を勧めたり…といった光景が浮かぶ筈だ。だが、これは飽く迄もテレビドラマの世界。完全なフィクションだ。先に挙げた取調官の言動は、現実には不当な圧力や利益誘導に当たり、禁止事項だ。たとえ、“引き当たり(実況見分)”の途中に、容疑者の母親の墓があり、「命日だから」と墓に立ち寄り、手を合わせさせるといった善意の行動であっても処分対象だ。実際の取り調べは2009年度より、捜査部門から独立した取り調べを管理する部門が、外部から監督する(取調監督官制度)。また、今年 5月に成立した『改正刑事訴訟法』も、3年以内に義務化される取り調べの録音・録画(可視化)によって、暴力や不当な圧力による自白の強要を防止することに力点が置かれている。傍から見れば、「悪人を取り調べるのに制約ばかりでは、本当の自白を得られないのでは?」という素朴な疑間も浮かぶだろう。だが、「取り調べを取り巻く環境が如何に変わろうとも、その枠内で取り調べは行われるし、またそうでなくてはならない」と言うのは、数々の難事件を解決した元捜査1課刑事だ。「昔から、誰が取り調べても落ちない者は落ちない。自自が無ければ立件できない捜査は、抑々失敗。自白に沿って“立証”しようとすれば、それを見越して供述する者もいる」。捜査は、取り調べや自白の裏付けだけでなく、立証を柱とする。立証の目的は、裁判における事実認定の基本となる“自白以外の証拠”を集め、証明力を高めることだ。「所謂、事件の謎解きに当たり、これこそが捜査の本懐」(同)なのだ。


キャプチャ  2016年7月30日号掲載

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