【アメリカ大統領選2016・異色の戦い】(中) 「子供に見せられない」

20161018 06
「選挙報道にはチャンネルを合わせない」「ニュースを見る際は、リモコンの消音ボタンを押せるようにしている」――。アメリカでは、教師や親が子供に大統領選をテレビで見るように勧めるのが普通だが、今回は違う。共和党候補ドナルド・トランプ氏(70)が、女性に関する猥褻な発言を繰り返し語る11年前の動画は、全米に衝撃を与えた。「心の底から震え上がった。子供たちに見せる訳にはいかないわ」。ミシェル・オバマ大統領夫人は一昨日、ニューハンプシャー州での演説でこう語り、怒りを露わにした。トランプ氏の発言はあまりに下劣で、動画をスクープした『ワシントンポスト』は、一部の言葉を伏せ字で伝え、“ピー”音を被せて伝えるニュース番組も多かった。それだけでない。メキシコからの不法移民の一部を「婦女暴行犯だ」と罵ったり、イスラム教徒の移民をテロリストと結び付けたりする発言が、子供同士の苛めを引き起こした事例も報告されている。民主党候補ヒラリー・クリントン氏(68)も、こうしたトランプ氏の資質問題を攻撃する。陣営のテレビCMには、下品な言葉を使ったり、身体障害者の真似をしたりするトランプ氏の映像を不安そうに見る様々な人種の子供たちが登場。クリントン氏が「子供や孫が我々の選択を見ている」と語りかけ、トランプ氏が大統領に不適格であると訴える構成だ。

トランプ氏も負けていない。第2回テレビ討論会では、クリントン氏に「(俺が大統領になったら)刑務所送りだ」と暴言を吐き、夫であるビル・クリントン元大統領の女性問題を持ち出した。内部告発サイト『ウィキリークス』が暴露したクリントン陣営のメールも取り上げ、反撃に躍起になっている。エスカレートするばかりの泥仕合。過去の大統領選でも互いの中傷は付き物だったが、今月11日のNBCニュースでは、教育関係者が「今年ほど露骨で下品な選挙戦はない」と嘆いた。“ニューロー(new low)”。アメリカのメディアやインターネット上では、大統領選について“最低記録更新”を意味する言葉を使い、次元の低さを嘆く声が溢れている。公職経験が無く、過去に奔放な言動を繰り返してきたトランプ氏のスキャンダルは、日替わりとも言える登場ぶりだ。「抑々、大統領候補として相応しかったのか?」と根本的な疑義まで出ている中、華麗な政治経歴を誇るクリントン氏がこれに反応してネガティブキャンペーンに力を注ぎ、選挙戦の低劣化に拍車をかけている面がある。クリントン氏は大統領夫人時代、“上から目線”等と批判され、多くの“ヒラリー嫌い”の男性を生んだ。国務長官時代に私用メールを使った問題で当初、正当化する説明を繰り返したことで“嘘吐き”との印象も広まり、トランプ氏に“いんちきヒラリー”と攻撃される羽目に陥った。そんな両候補の好感度は、歴史的な低さだ。ワシントンポスト等の先月の世論調査では、クリントン氏の“非好感度”は55%、トランプ氏は59%と互いに張り合い、1992年のブッシュ大統領(父)の記録53%を塗り替えた。“不適格者”か“いんちき”か――。アメリカ国民は間もなく、“究極の選択”を追られることになる。


⦿読売新聞 2016年10月15日付掲載⦿
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