【アメリカ大統領選2016・異色の戦い】(下) 「犯罪者」、互いに罵倒

20161018 07
アメリカ大統領選の共和党候補ドナルド・トランプ氏(70)と民主党候補ヒラリー・クリントン氏(68)の中傷合戦は、互いを“犯罪者”呼ばわりする事態に発展している。今月14日、ノースカロライナ州グリーンズボロで開かれた集会は、異様な雰囲気に包まれていた。「クリントンは犯罪者だ。牢屋に閉じ込めなければならない」とダミ声を張り上げたトランプ氏。会場は、熱狂的なトランプ支持者からの「閉じ込めろ(Lock her up)!」の大合唱で包まれた。トランプ氏が槍玉に挙げるのは“メール問題”。クリントン氏が私用サーバーを使って公務に関するメールをやり取りしたことで、国家機密を危険に曝し、議会の調査も妨害した疑いがあるとしている。『連邦捜査局(FBI)』の捜査対象ともなり、「明確な証拠が無い」と刑事訴追は見送られたものの、クリントン氏本人も聴取を受けた。両候補は、もう1つの“メール問題”を巡っても応酬を繰り広げている。クリントン陣営の最高幹部であるジョン・ポデスタ氏のメールがハッキングされ、今月7日以降、内部告発サイト『ウィキリークス』を通じて、大量の内部文書が次々と流出している問題だ。アメリカの当局者は、「背後にロシア政府の関与がある」との見方を強めている。ホワイトハウスのアーネスト報道官は今月12日の定例記者会見で、「こうした暴露は、ロシアが指揮する活動と(傾向が)一致する」と述べた。

クリントン陣営の内幕が露見して得をするのはトランプ氏だ。ポデスタ氏は、流出を受けた声明で「ロシアの仕業であることは明白。外国勢力によるこれほどの介入は、トランプを後押しする目的でしかあり得ない」と、トラ ンプ氏の繋がりを強く仄めかした。“犯罪”に絡む攻撃は、互いの“財団”にも及ぶ。トランプ氏は、ビル・クリントン元大統領が設立した慈善団体『クリントン財団』について、ヒラリー氏が国務長官在任中、中東の湾岸諸国政府や外国企業等、財団の大口献金者に便宜を図った疑いを指摘。「特別検察官に捜査させる」と宣言した。一方、トランプ氏の不動産セミナー『トランプ大学』の詐欺疑惑で2013年、慈善団体『トランプ財団』がフロリダ州司法長官に2万5000ドル(約260万円)を獣金し、捜査が見送られていたことが今夏、明らかになった。「違法献金による捜査逃れだ」とクリントン陣営は指摘し、ニューヨーク州司法長官が捜査に乗り出す事態となっている。またトランプ氏は、過去40年間の歴代大統領選候補が慣例的に行ってきた確定申告書の公開も拒んでいる。応酬は既に、これまでの2大政党による選挙戦の枠を超え、互いへの憎しみさえ感じさせる。『ギャラップ』が先月、トランプ、クリントン両氏の支持者に支持の理由を聞いたところ、双方とも3割近くを占めて最多だったのは、「相手候補に入れたくない」だった。トランプ氏は、白人労働者層を中心とした人種や宗教、所得水準や学歴の違いに絡む不満を煽り、“トランプ現象”を巻き起こした。剥き出しの敵意を向けられたエスタブリッシュメント(既存支配層)を代表するクリントン陣営も激しくやり返し、アメリカ社会の分断を益々深めている。異次元とも言える低レベルの今回の選挙戦は、異なる社会集団を隔てる埋め難い溝を更に広げる結果となっている。その禍根は今後、新政権に持ち越される。

               ◇

アメリカ総局 三井誠・尾関航也・黒見周平が担当しました。


⦿読売新聞 2016年10月17日付掲載⦿
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