【教科書に載らない経済と犯罪の危ない話】(19) 武器・麻薬よりも莫大なシノギ…暴力団と石油の“数奇な出会い”

“人の行く裏に道あり、花の山”――。相場の格言として有名な言葉である。筆者にとって憧れと憎しみの対象である“兜町の風雲児”こと加藤暠も好んで使っていた。相場に限らず、日本の暴力団は絶えず、この言葉を実践してきた。同じビジネスでも裏の道こそ、花の山に最も近い。暴力団ほど情報力と行動力、そして資金力に優れた集団は無いだろう。そんな日本の暴力団が一気に海外進出を強めたのは、“第2次金融ビッグバン”と呼ばれる2002年である。2002年と言えば、ユーロ通貨の流通というマーケットにとって重大な出来事があった。個人的には、多摩川にアザラシのタマちゃんが登場したことが一番の思い出である。当時、タマちゃん見たさに多摩川土手へ通ったものだ。金融ビッグバン以前にも、バブル時代に投資先を求めて海外へ進出した暴力団は存在した。犯罪収益の移転も、バブル時代には始まっ ていた。ところが、金融ビッグバンは、その手法や資金調達の新しいスキームを暴力団に提供した。資本の移動も国際金融取引も、それまでとは比べものにならないほど多様化して自由になった。日本から海外へ資本移動を行い、現地法人を設立して日本市場へ再投資する“還流”という方法も、この頃から流行り出したと思う。国内での株や先物取引は勿論、海外の銀行と証券会社を使って金融取引を行う暴力団も増え始めていた。原油先物取引も、国内よりレバレッジの高い海外口座が人気で、今では狂気としか思えないハイレバで取引していたものだ。他国の犯罪組織(マフィアやテロリスト)のビジネスを学んだことも、日本の暴力団にドラスティックな展開を齎した。それまでにも、武器や麻薬の取引・マネーロンダリング等、規模こそ違えど、似たようなことはしていた。

だが、マフィアのビジネスで何といっても新しく魅力的に映ったのは石油取引だった。“人の行く裏に道あり、花の山”。筆者にとっての花の山は、海外に眠るオイルマネーだったのだ。武器や麻薬取引は、市場規模と地政学的な違いが大き過ぎて、日本の暴力団が海外の組織に対抗し得る手段は無い。ところが、石油取引は巨額の利益を生み、しかも合法である。この魅力的な“シノギ”を我々が放っておく筈はなかった。こうして、暴力団は石油を求め、世界各地に存在する産油国へ飛び出して行く。筆者が最初に目をつけたのはマレーシアだった。マレーシアは、東南アジアで第2の産油国である。そして、国営石油会社の『ペトロナス』に偶然知り合いがいたことも、この国を選んだ理由の1つだった。筆者は早速、マレーシアの首都・クアラルンプールへ飛んだ。『クアラルンプール国際空港(KLIA)』は、想像と違い、巨大で近代的な空港だった。黒川紀章がデザインして、日本のゼネコンが建設しているのだから、当然かもしれない。飛行機を降りて、イミグレーションに向かう途中から、独特な消毒薬のような臭いが鼻についたが、不思議と嫌悪感は無かった。この臭いは、「“ハラル”という不浄なものを取り除く」という概念に基づいた消毒によるものである。空港から高速道路に乗り、少し走ると遥か遠く、漆黒の世界に光り輝く2本の高層ビルが見えてきた。あれこそが、筆者の目指す『ペトロナスツインタワー』だ。高さ450mを誇るそのビルは、遠くからでもイスラム様式の尖塔がはっきりと見えた。車のウインドウを開けると、熱気を孕んだ空気が頬を撫でる。軈て、ペトロナスツインタワーの真下へ着いたが、巨大過ぎて全体を見るのが難しい。こうして、筆者と産油国との戦いが始まった。 (http://twitter.com/nekokumicho


キャプチャ  2016年10月11日・18日号掲載
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