舛添は悪くない、悪いのは法律だ! 無駄遣いが次々と発覚する『政治資金規正法』の闇

舛添要一前都知事の公私混同疑惑で注目を集めた“政治資金”を巡る諸問題。しかし、辞職によって有耶無耶にされてしまい、最早、誰も政治資金のことを問題にしようとしない。税金の私物化を許す“ザル法”、政治資金規正法の正体を検証した。

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参院選真っ最中だが、2週間後、今度は都知事選が公示される。舛添要一前都知事による政治資金の公私混同に非難を浴びせ、顔を真っ赤にして袋叩きにした世間の人たちにとっても注目の選挙となるだろう。尤も、肝心の政治資金の私的流用問題は、未だ何ひとつ解決していない。確かに、舛添前知事の公私混同ぶりは非常にタチが悪く、しかも呆れるほどのセコさだった。公用車を使った湯河原の別荘通いに始まり、家族で自宅近くの天ぷら屋やイタリア料理店で食事した際の飲食代も、全て政治資金として計上。更に、掛け軸・版画・美術関連の書籍・シルクの中国服等、こうした趣味への支出は計900万円以上に達し、これらも全て“政治活動”と言い張った。特に酷かったのが、2013年と2014年の正月に家族で訪れた『竜宮城スパホテル三日月』の宿泊費、計37万円を“会議費”名目で政治資金に計上していたことだ。単なる家族旅行の費用まで税金が原資となっている政治資金で賄っていたのだから、納税者の都民が怒るのも無理はないだろう。しかし、舛添前知事を叩いて喜んでいる人たちは、重要なことを見落としている。それは、「政治資金の私的流用をしているのは舛添前知事だけではない」ということだ。はっきり言って、この程度の公私混同など、政治家ならほぼ全員がやっていることなのだ。ある与党議員の秘書によれば、「政治活動と関係なく高級クラブや有名レストランに行き、飲み食いした代金を“会合費”・“渉外費”等の名目で計上するのは、大半の政治家がやっている」という。“海外視察”と言いながら、実は愛人同伴のゴルフ旅行だったり、全く更新していない公式ホームページの“管理費用”の名目で、親族の会社に毎月数十万円を支払っている政治家さえ存在する。中には、支援者の息子の名前を借りて公設秘書に仕立て、その給料を丸ごと懐に入れている政治家もいるというのだ。こうなると、公私混同というより最早、詐欺である。

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実際、新聞や週刊誌が報じたものだけを見ても、与野党には政治資金を私的流用している疑いが濃厚な政治家がゴロゴロいる。例えば、2013年の収支報告書を見ると、安倍政権の重要閣僚で自民党副総裁でもある財務省・麻生太郎大臣の資金管理団体は、飲み食い代で年間約1970万円も支出。高級クラブ等を6軒はしごして、1日に約98万円使ったこともある。賄賂疑惑で更迭された甘利明議員の資金管理団体は、“会合費”名目で高級レストランの飲み食い代を170件、計約750万円も支出。その後任の石原伸晃大臣も、“渉外費”名目で高級料亭等でバカみたいに飲み食いしている。飲食代は1店につき10万から15万円と高額で、渉外費だけで年間726万円以上。しかも、“渉外”の中身は単なるどんちゃん騒ぎだったという。更に、“六本木の赤ひげ先生”として知られた自民党の赤枝恒雄議員は、銀座の高級クラブへの支払い等、年間230万円の飲食代を“供養差研究費”・“研修会費”の名目で計上。野党では、2010年に民主党政権で消費者担当大臣を務めた荒井聡議員が、政治資金で少女漫画や女性用のキャミソールを購入していたことが発覚。“キャミソール大臣”と呼ばれて大騒ぎとなった。勿論、公私混同は安倍首相も例外ではない。3年半前には、安倍首相が代表を務める『自民党山口県第4選挙区支部』が、中洲の高級クラブや北九州市のキャバクラ等の飲み代を“交際費”・“渉外費”として計上していたことが発覚。キャバクラ代等の支出が2009年から2011年までの3年間で、少なく見積もって59回、計126万円以上あったというのだ。その後、収支報告書の訂正をする羽目になった。安倍首相の政治資金管理団体『晋和会』も、まさに湯水のように飲み食い代に政治資金を使っていて、“会合費”の名目で2011年に約757万円、2012年は約1407万円(!)、2013年は約469万円を計上している。2012年の会合費が突出して多いのは、この年に自民党総裁選があったからだ。その証拠に、安倍首相は総裁選告示の4日前、高級寿司店・銀座のワインバー・高級フレンチ等、1日で80万円近いカネを飲食代に使っている。権力を手にする為の党内政治に巨額の税金を使ったとすれば、これも公私混同になる筈だ。更に安倍首相は、地元・山口県の水産加工会社から“贈答品費”として、2011年に約14万円、2012年には約75万円も水産物を購入。他にも、“贈答品費”・“慶弔費”の名目で、2011年にパールジュエリーで有名な『ミキモト』で約9万7000円、デンマークの王室御用達の陶磁器メーカー『ロイヤルコペンハーゲン』では、2011年から2013年の3年間で年平均50万円を支出している。舛添前知事の例でわかるように、こうしたジュエリー等の購入を“政治活動”と言っても、それを信じる人など1人もいない筈だ。

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こんな無茶苦茶な政治資金の使い方をしている癖に、どうして国会議員は政治資金規正法違反で刑事責任を問われないのか? 当たり前の話だが、アメリカでは政治資金を家族旅行に使ったり、服やジュエリーを購入する等、私的に流用すれば違法となる。ところが日本では、誰がどう見ても政治資金の私的流用なのに、政治家は一切法的責任を問われない。それは、政治資金規正法という法律そのものに原因がある。この法律は政治腐敗の防止を目的に作られたもので、本来は政治資金の使途を“規制”しなければならないもの。しかし、政治家にすれば、カネの使い方を規制されるのは困る。そこで、「政治家自身が襟を正す」等といって、“規正”という言葉にすり替えたのだ。この為、驚いたことに、政治資金規正法には政治資金の使途を制限する規定がほぼ存在しない。不動産や株式に使うのは禁じられているが、それ以外は事実上、何に使ってもOK。個人的な飲み食いや趣味に使っても、政治家が適当な理由を付けて「政治活動だ」と言い張れば、クロとは認定されないのだ。実際、政治資金規正法違反で刑事責任を問われた例は、過去に一度も無い。政治資金規正法は、抜け穴だらけの“ザル法”という訳だ。舛添前知事が「法的には問題ない」と主張し続けたのは、その為だ。しかも、政治資金規正法では、1万円以下の少額の支出は収支報告書に記載する義務が無く、領収書も選挙管理委員会に提出せず、事務所で保管するだけでOKというルールもある。この“少額領収書”を悪用し、舛添前知事も顔負けのセコい私的流用をしている政治家が沢山いるのだ。『日刊ゲンダイ』が総務省に開示請求をして発覚したものを挙げると、安倍首相はアイスの『ガリガリ君コーンポタージュ』2本(252円)、麻生大臣は漫画『ONE PIECE』の1~25巻セット(6650円)や『マクドナルド』のハンバーガー(390円)、前経済産業大臣の宮沢洋一議員は『天丼 てんや』の天丼(650円)と『せたが屋』のラーメン、元復興担当大臣の竹下亘議員は『餃子の王将』の味噌ラーメンと餃子(851円)等々…。国会議員の平均年収は2300万円を下らないのに、こんなセコいものまで政治資金として支出するのは、「政治家が国民の税金を自分の小遣いとしか考えていない」という証拠だ。その上、政治資金には“組織活動費”・“政策活動費”等の名目で政治家本人に渡り、その後はどう使われたか全然わからない使途不明金が18億円近くもあるという。これが、政治資金規正法というザル法の正体なのである。

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他の先進国と比べて、日本の政治資金規正法が如何にザルで無意味な法律か。それがよくわかるのが、世界中の大金持ちを震撼させている『パナマ文書』だ。世界の大企業や富裕層によるタックスへイブン(租税回避地)の利用実態が詳細に記された同文書には、各国の政治家、それも国家指導者クラスが少なくとも12人出てくる。例えば、イギリスのキャメロン首相は父親がパナマに信託資産を持っていたことで非難を浴び、ロシアのプーチン大統領の側近や中国の習近平国家主席の親族も、タックスへイブンにペーパーカンパニーを設立し、資産を移していたことが判明している。アイスランドの首相は、バージン諸島での資産隠し疑惑が発覚して辞任に追い込まれた。しかし、こうした諸外国とは対照的に、日本の政治家の名前は同文書に全く出てこない。何故か。勿論、日本の政治家がクリーンだという訳ではない。寧ろ逆で、日本の政治家にはタックスへイブンを利用して資産隠し等を行う必要が無いからである。イギリスのキャメロン首相のケースでは、父親の投資資産を受け継ぐ為にタックスへイブンを使ったが、日本では政治団体に寄付をすれば非課税になる。更に、政治家が1つだけ指定できる資産管理団体に寄付すれば、税金の特別控除が受けられる。租税回避地等を利用しなくても、日本の政治家は親族の政治資金を相続税無しで引き継ぐことが可能なのだ。実際、安倍首相は元外務大臣である父親・安倍晋太郎の政治団体を引き継ぎ、非課税で数億円の政治資金を自分のものに。クリーンなイメージの強い小泉進次郎でさえ、2008年の衆院選に出馬した際、父親である小泉純一郎元首相の政治団体から寄付を受け、莫大な政治資金を受け継いでいる。おわかりだろうか。この間、マスコミや世間が必死になって非難していた舛添前知事の疑惑など、小さな問題に過ぎない。私的流用の核心部分は、『政治資金規正法』というブラックボックスにこそあるのだ――。 (写真提供/フリーライター兼カメラマン 小川裕夫)


キャプチャ  第14号掲載

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