アルファ碁に自動運転車でいよいよ世界征服?――『Google』が国家を超えて“神”になる日

検索エンジンの最大手として、誰もが知る存在となった『グーグル』。しかし、この会社の真の目的は世界征服だった!? 今も尚成長し続けるグーグルの真の狙いは何なのか、その全てを解き明かす! (取材・文/フリーライター 西本頑司)

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一体、何を企んでいるのか…。このところ、グーグルの動きが怪しさを増している。グーグルと言えば、“ググれカス”が慣用句になった検索エンジン最大手。年間売り上げは約6兆円という巨大企業である。とはいえ、『Apple』の9兆円には及ばず、『YouTube』や『twitter』等のIT企業をダボハゼのように買収してデカくなっただけの“張りぼて二流企業”という評価も少なくない。果たしてそうなのか。今年3月、グーグルは人工知能ソフト『アルファ碁』を発表した。世界最強棋士と名高かった韓国人棋士と対戦し、コテンパンに叩きのめした。とはいえ、所詮は囲基。どんな価値があったのか、人工知能に詳しいIT評論家が解説する。「例えば、将棋やチェスなら局面毎に駒の配置で有利不利がはっきりと出ます。だから、対策ソフト(人工知能)は有利となる配置を“有意”と考え、ポイント(得点)を付け、それを繰り返すことで人間より強くなっていきました。ところが、囲碁は駒の配置で有意差が殆ど出ず、実力差が近い場合、最終局面までどっちが勝っているのかわからないんです。その為、対策ソフトは、このアルファ碁が登場するまで新人プロ程度の実力が精々で、『今世紀中、人間のトップに勝つのは無理』と言われていました」。それをグーグルは、「1000年かかるなら、1000台分を同時に開発すれば1年で終わる」という何ともマッチョな方法で解決してしまう。事実、アルファ碁は1日100万回を超す内部対戦を行い、僅か1年で有意差を見つけ出し、“神の一手”を生み出した。「ここがグーグルの凄さ。検索エンジンだって、全てのサイトに入って、全ての単語にタグを付けて記憶して、検索ワードに対して使用頻度の高い順に提示する。誰でも思いつくけど、いざやろうとすれば、膨大な数のコンピューター・メモリー・それを動かす電力・その巨大なシステムの場所や管理方法をどうするのか…という問題が立ちはだかる。しかも、インターネットサービスは基本的に無料。直ぐには利益が出ず、莫大な赤字を抱え込んでしまう。それでも力業で突き進んで、誰も参入しないうちに市場を押さえた。アルファ基にせよ、『今のうちに人工知能ビジネスを独占しよう』と大赤字覚悟で参入してきたのでしょう」(同)。つまり、グーグルは近い将来、到来する“AI革命”のトップランナーを狙っているというのだ。その為の準備も着々と進んでいる。それが『セルフドライビングカー』である。

2012年、グーグルは突如として自動運転システムのプロジェクトを開始。自動車産業に参入して世界を驚かせた。元々、自動運転システムは、イラク戦争でアメリカ軍輸送部隊がゲリラに襲撃されて多数の死傷者を出した結果、アメリカの兵器開発を担当する『DARPA(国防高等研究計画局)』が開発を主導することになったもの。DARPAは『自動運転コンテスト』を開催し、その大会で優勝したスタンフォード大学のチームをグーグルが丸ごと買い取り、ネバダ州の政治家を金で誑し込んで“公道実験”にこぎ着けた。それが参入の経緯となる。 実は、自動車の自律運転自体、日本のメーカーは既に開発し終わっているという。「今の自動車は、飛行機でいうフライバイワイヤで、ハンドルやアクセル等を機械的に操作しているのでなく、電気信号でコントロールしています。その証拠に、身体障害者向けの自動車はゲームのコントローラーで運転できます。つまり、画像センサーを付けておけば、レーシングゲームのようにコンピューターで操作できるんで、技術自体はそれほど難しくないんです。事実、日本のメーカーも、既に衝突防止用のブレーキや回避システムを市販しているじゃないですか」(技術情報誌編集者)。では、何が問題なのか。最大の課題は運転システムではなく、マッピング(地図)なのだという。「一般道を自動運転する為には、常に最新の道路事情を把握する必要があるのです。道路工事・交通事故・信号・違法駐車・警察の検問等、予期しない変化にどう対応するのか。自動車に取り付けたセンサーでは、人の目と同じく前方や周囲の状況しか把握できません。日本の自動車メーカーはカーナビからの情報を共有させていますが、これだって渋滞情報が精々。どうやってリアルタイムの道路事情を把握させるのか、ここがネックになって自動運転システムは頓挫している訳です」(同)。そこで、グーグルの出番である。検索サービス開始直後から、グーグルは一般の地図のみならず、航空写真・ストリートビュー・グーグルアースに至るまで、異常とも言える情熱とコストをかけて地図サービスを展開してきた。「その理由こそ自動運転サービスなのです」と、技術情報誌編集者は断言する。「2013年、グーグルは眼鏡型デバイスの“グーグルグラス”を発表しました。『勝手に撮影したり録音したりできる』という懸念で、発売は見合わせられていますが、何れは解禁になる。その場合、スマホやタブレットの端末にカーナビアプリを実装して、眼鏡上に進行方向を表示する新型のカーナビシステムを行い、グーグルグラスをドライバーの必須アイテムにしようという計画を立てています。そうなれば、グーグルストリートビューカーと一緒となる訳で、グーグルグラスの端末から、いくらでも最新の道路情報を集めることができる。そうして自動運転システムに切り替えていこうとしているのです」。

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広域地図にも抜かりは無い。昨年1月、「グーグルはアメリカの民間打ち上げ企業“スペースX”に1000億円の出資を行い、買収まで視野に入れている」という情報が駆け巡った。スペースXは、電気自動車の『テスラモーターズ』を経営する『イーロンマスク』が設立したロケットベンチャーだが、2012年には『ISS(国際宇宙ステーション)』とのドッキングに成功。今後、打ち上げビジネス最大手になると予想されている。グーグルは、このスペースXを使って自前の通信衛星とスパイ衛星を持とうとしているらしい。「グーグルにすれば、スペースXはお買い得だと思いますよ。現在、衛星の打ち上げコストは、日本のロケットだと1g当たり5000円、安くなっても2500円程度、最も安いロシアのプロトン(ICBM再利用)が1g当たり500円。スペースXが開発中の“ファルコン9”は、打ち上げたロケットをそのまま帰還させて発射台まで戻そうとしています。使い捨てをせずに再利用することで、1g当たり100円まで下げようというのです」(同)。今の衛星は、打ち上げコストの関係から、どうしても長期間に亘って使わざるを得ず、その為に大型化する。結果、衛星自体が高額になり、打ち上げ経費が余計にかかるという悪循環に陥っている。ところが、打ち上げコストがドカンと下がれば“マイクロサテライト”でよくなる。スマホを改造した使い捨てタイプの超小型衛星だが、半年か1年で使用不能となる反面、性能自体は何十億円する通信・光学衛星と変わらないレベルになっている。つまり、打ち上げコストの下がったスペースXを使えば、マイクロサテライトを軌道上にばら撒き続けることが可能となるのだ。当然、地球規模での衛星を使ったデータ通信だけでなく、リアルタイムに近い映像が取れるようになる。現在のグーグルアースは1年から2年更新。それが時間単位で最新画像に切り替えられるのだ。しかも、コストも遥かに安い。

この構想が実現すれば、グーグルグラスを付けた自動車と歩行者からは、ありとあらゆる最新の道路情報を、そして軌道上に網の目で張り巡らせた数千個のマイクロ衛星からは、ほぼ全世界の上空映像を集めて、リアルタイムでのマッピングが可能となる。 もうおわかりだろう。グーグルは、自動運転システムの“王手”をかけているのだ。自動運転が主流となれば、天下の『トヨタ自動車』と雖もグーグルに逆らえなくなる。全ての自動車メーカーは、グーグルの下請けとなるしかなくなるのだ。とはいえ、この構想を実現するには、「集めた莫大な情報をどうやって処理するのか?」という新たな技術的課題が出てくる。実際、冷戦時代から膨大な数のスパイ衛星を運用してきたアメリカ軍では、集まった画像を分析する専門家を万単位で雇い、結局は人の手で“画像の意味”を読み解いてきた。いくらグーグルが膨大な画像データを集めたところで、“有意”に処理するのは難しく、また、カネがかかり過ぎる。儲けが出ない以上、ビジネスとしては破綻するというのだ。これを“ビッグデータのジレンマ”と言う。インターネット社会となり、色んなデータが簡単に集まるようになったが、だからといってそれを有効に使うには、膨大な時間とマンパワーが必要となる。結果、データは揃っていても、意味のある使い方ができないという“ジレンマ”に陥る訳だ。確かに、インターネットで検索すれば、大抵の情報は簡単に集まる。しかし、本当に知りたい情報に辿り着くのは中々骨が折れる。特に、似たような情報から比較検討して有意な情報を更新するには、結局、人の手でやるしかないのが実情だろう。しかし勿論、グーグルに抜かりは無い。それが『アルファ碁』である。アルファ碁の最大の特徴は、過去の棋譜全てを読み込み、更に1日100万回という内部対戦を繰り返すことで“ビッグデータ”を作り、そこから無理矢理“有意差”を導き出して、勝ち筋という“答え”を出した。要するに、アルファ碁はビッグデータの処理をする人工知能なのである。グーグルは、これまで有意に使えなかった、ありとあらゆるビッグデータを処理する為にアルファ碁を作った――。そう考えるべきなのだ。漸く、グーグルの狙いが見えてきた。先ずは1990年代末、逸早く検索エンジンを普及させて、インターネット情報の出口を押さえる。次に2000年代半ば、マップ情報のサービスをお題目に地図情報をかき集める。2010年以降は、自動運転システムと情報収集システムの構築に向けて動き出す。そして昨年、その膨大な“ビッグデータ”を処理するAIを開発する。今後、どう展開していくのか。その予想は、それほど難しくない。「ヒト・モノ・カネ、全ての物流を支配する」。これが“答え”であろう。

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自動運転システム構築の最大のメリットは、言うまでもなく“物流”である。車自体が端末となって、何を目的に、どこに向かっているのか、全てリアルタイムで把握できるのだ。当然、物流の効率が格段に上がる。世界規模で“物流革命”が起きるのは間違いあるまい。因みにグーグルは、“世界一”の2足歩行型ロボットを開発した東京大学のベンチャー企業『シャフト』を2013年に買収した。シャフトのロボットは、災害救助のロボットコンテストで異次元の高性能を発揮した自律型ロボットである。『即日宅配 グーグル挑む』(日本経済新聞・2015年1月20日付)。グーグルが『ウォルマート』等小売り40社以上と提携し、即日配送する事業を主要都市で本格的に始めたという記事だ。インターネットショッピングの普及で宅配サービスが急増しているが、グーグルは、このシャフト製のロボットを“宅配のスタッフ”にするつもりなのだろう。注文されてから製造して、それを即日、自動運転と宅配ロボットで本人までお届けする。それを国内のみならず、世界規模で展開する。まさに究極の“ジャストインタイム”である。今後は“トヨタシステム”ではなく、“グーグルシステム”と呼ばれることになろう。従来のインターネットを通じた情報サービスに加えて、実際の物流・小売りまで支配しようとしているのだ。その先に待っているのは、決済用の“通貨”。恐らく、グーグルの最終目標は、“グーグルマネー”をドルに代わる基軸通貨にすることではないか。これも決して大袈裟な話ではない。通貨の価値は、とどのつまり、「何が買えるか?」だ。「週刊少年ジャンプが読めるのはグーグルマネーだけ」となれば、ジャンプのファンは円を売ってグーグルマネーを買うのだから。通貨発行機能を持てば、“カネ”は打ち出の小槌の如く、幾らでも沸いてくる。何れ、ライバル企業等の買収もやりたい放題となる筈だ。余談だが、「グーグルはDARPAの依頼で“PC音響爆弾”を開発した」という噂があった。PC等の端末から人間が発狂する不快な音を発生させ、敵国を制圧する兵器である。兵器開発は噂だとしても、グーグルがスペースXを使い、端末衛星を網の目で配置可能なことは事実だ。「(不審船の発見に)グーグルアースか何かで見れば…」といったどこかのバカ議員(※原口一博)の発言も、嘘ではなくなる。このままグーグルが物流と情報端末を牛耳れば、たとえアメリカ軍と雖も手を出せなくなる可能性はかなり高い。グーグルによる“世界支配”は目前に迫っており、世界で今一番、恐ろしい企業になりつつあるのだ――。


キャプチャ  第14号掲載

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