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【火曜特集】(38) 藤井厳喜の戦争論(前編)…令和時代の日本人必読! 我々の日常に潜む戦争の影





20190521 06
平和(※peace)について考えるには、戦争(※war)についても考えなければいけません。war、或いは堅苦しい言葉ではwarfareという言葉も使いますけれども、どんな種類があるのかということを考えておくことは大事だと思いますので、簡単な説明をしておきたいと思います。それから大事なことですが、戦争は国際社会における違法行為では決してないということです。元はと言えば、国が自分の国を守る為に、或いは時には相手国を侵略する為にでも、正々堂々と宣戦布告をして戦争をする、そして自分の国の領土を増やす。このこと自体は、今の国際法では違法行為ということにはなりません。このことをよく覚えておいて頂きたい。それから、ゲリラやスパイは現場で処刑しても構いません。ゲリラやスパイというのは戦時国際法違反ですから、捕まえたらその場で現場処刑をしてもいいのです。これもよく覚えておいたほうがいいと思います。扨て、戦争の種類の一つである総力戦。第2次世界大戦等は総力戦でありました。トータルウォー、国のトータルの力を全部発揮するという戦争であります。じゃあ、それ以前はトータルウォーじゃなかったのかというと、そうなんですね。第2次世界大戦が典型的なトータルウォー、総力戦だったわけでありますけれども、これは国の経済力・生産力・工業生産力までを含めた戦いになってしまうわけです。太平洋で日本がどんなにアメリカの戦艦を沈めても、アメリカの飛行機を落としても、アメリカは絶大な工業力を持ち、自然資源もあります。工業力もあります。

ですから、どんどん戦艦を造る、航空母艦を造る、戦闘機を造る、爆撃機を造る。いくら日本が一生懸命戦っても、アメリカと日本の当時の工業力の差というのは膨大です。これは相鋼生産量でいうと、当時の生産量で比べると、日本が1に対してアメリカは10です。アメリカは10倍です。単純に言えば、10倍の工業力があったと言ってもいいでしょう。それはイコール国防産業の生産力でもあったと思いますから、たとえ日本がパールハーバーをやって、アメリカの太平洋艦隊の軍艦を1回全部沈めましたと言ってみても、直ぐ造っちゃうんですよね。ですから、これはもう戦争が長くなってくると敵いません。そういう工業力、国の生産力まで含めた戦争、トータルウォーというのは、人類が第2次世界大敗で初めて経験したと言ってもよいでしょう。第1次世界大戦までは、必ずしもそうではなかったということになります。第1次世界大戦ですと、今あるだけの軍術、これを潰してしまえば、次にそれをどんどんどんどん作るって、戦争を更に続けていくというところまでは、第1次世界大戦は行なっていません。或いは第1次世界大戦ですと、前線と銃後という区別があった。前線がある、戦争をしている。でも一般市民、ノンコンバッタントと言いますけれども、非戦闘員は戦線の後ろにして、通常の国民の生活ができる、市民生活ができる。そして基本的には、一般市民や非戦闘員を相手に殺戮行為はしない。殺戮行為や戦闘行為というのは、制服を着た軍人さん同士がやるものです。ところが第2次世界大戦では、このルールが総力戦の故に前れてしまいます。何故なら、相手の戦闘力を支えているのは、まさに工業生産力そのものであるということになります。なので、アメリカはB29で何をやったかと言いますと、例えば東京の下町大空襲をやりました。これは要するに、下町の工業生産力、これが大手の軍事産業の下請けをやっているのは京浜、そして東京の下町地域にある中小の工場なんですね。こういった中小零細企業が国の生産力の基盤を支えているとなれば、その工業力そのものを潰すということが一つの目標になります。そして更に、そこで働いている人間そのもの、これは一般の人、非戦闘員であります。しかし、総力戦という考え方からすると、一般の非戦闘員であっても工業生産に従事する。そうしたら、それは国の戦闘力を強めるんだから、それを特別扱いして、今までの国際法の考え方のように、戦闘員は戦闘員、非戦闘員は非戦闘員と分けるほうが、これは現代の戦争を戦う戦い方ではないんだという考え方も、これはもうアメリカ軍の中に芽生えているわけです。日本の車事力を叩くというのは、今ある戦艦を潰すとかそれだけじゃなくて、日本の戦艦を造る能力を潰す。となると、非戦闘員が働いている工業地帯まで攻撃をする。非戦闘員を殺してしまうという、今までで言えば国際法違反の行為も平気でやるようになるわけであります。総力戦というものが非常に人類の戦争を残虐なものにしたというのは、これは確かでありましょう。

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それからリミテッドウォー、限定戦争という言い方があります。これはまさに総力戦と対を成す考え方でありますけれども、典型的に言えば朝鮮戦争、或いはベトナム戦争、現代でも色々叩かれておりますけれども、これが戦争とか、それからアメリカのイラク、アフガン戦争、こういうのはリミテッドウォー、限定戦争という言葉で捉える事ができます。というのは、目的も、相手の国を完全に潰して、第2次世界大戦のドイツや日本みたいに、相手の国を完全に叩き潰して降参させるということじゃなくて、極めて限られた目標の為に戦うということであります。リミテッドウォー、限定戦争、目的も限られております。その手段も限られています。例えば、ベトナム戦争や朝鮮戦争で、アメリカは持っている原爆を使いませんでした。原爆を落とせば勝つのは簡単なんですね。しかし、ある政治目的の為に戦っておりますから、原爆を使うということによって、アメリカ自身の信用力とか影響力が落ちてしまえば、これは意味がないということで、敵が原爆を使わない限り、アメリカとしても原爆は使えないという状況があったわけですね。朝鮮戦争やベトナム戦争は、ああいう形で終わりました。朝鮮戦争は引き分けのままが続いておりますし、ベトナム戦争は北ベトナムが完全にアメリカをベトナムから叩き出して勝利したという形になっております。限定戦争、目的も手段も限られているということですね。朝鮮戦争の時も、ダグラス・マッカーサーなんか「何で原爆を使わないんだ? 原爆をチャイナに落とせば一発で片付くじゃないか」と言ったんですけれども、次の大統領であるハリー・トルーマンは、それを許可しなかったわけであります。

やはりそういう戦争が起きていても、敵が若し原爆を使ってきたら、アメリカも原爆を使ったでしょう。しかし、敵が使わない時にアメリカが使うということになると、一方的に世界の非難を受けます。アメリカの影響力自体に、アメリカの権力自体に大きな陰りが生じてしまいます。戦争自体に勝っても、それによってアメリカという国が力を失ってしまうという、世界の非難を受けるという場合も考えられるということにおいて、原爆の使用には踏み切れなかったわけであります。それから現代の、例えばオサマ・ビンラディン、『アルカイダ』、テロ組織、それから『イスラミックステート(IS)』、これもテロ組織でしょう。こういうところとアメリカが戦うという時に、非対称戦争、アシンメトリックウォーという言葉を使います。要するに、若しアメリカとソ連が戦うなら対称的な戦争ということですね。お互いに大国である、強大な軍事力を持っている、陸海空軍を持っている、核戦力も持っているということで、アシンメトリックウォーで、対称的な戦争なんですけど。一方は国土も持たないテロ組織である。もう一方は軍事大国である。まさに非対称的ですね。で、非対称戦争、シンメトリーは対称ということですから、アシンメトリックウォーといったら非対称戦争。これは現代における戦争でよく使われる言葉・概念であります。それから最後の言葉、これは非常に怖い言葉です。これはチャイナの軍人が作った言葉なんですね。超限戦、限定を超えた戦争ということで、英語では“Unrestricted Warfare”という、ちょっと堅苦しい言い方をしますが、“restrict”というのは“制限する”ということですから、これは無制限戦争と訳してもいいと思います。無制限戦争というのは、鉄砲を撃つのがエスカレートして核爆弾を使うという意味ではなくて、人間のあらゆる活動分野が全て戦場になる、これは大変恐ろしい考え方なんですね。即ち経済封鎖、これも戦争の一種なんだというのは、これは昔から使われていること、言われていることなんですけれども。現代で言えば金融関係、コンピューターの中のサイバーウォーですね。コンピューター・電脳空間の中において、相手国の電脳空間を麻痺させてしまう。そういったことも戦争であるし、経済においては金融投機、相手の国の通貨の価値をなくしてしまう。そういうようなこと、これもまた戦争の手段であります。或いは、貿易や経済だけではなくて、個人的な信用関係、そして都市ゲリラの手法、これはオサマ・ビンラディンがやっているようなゲリラ的手法、例えば9.11みたいなもの、それからジョージ・ソロスがやっている金融投機、この2つを組み合わせてやるのが現代の最も進んだ戦争なのであるということを言っているのが、これはチャイナで出た、中国人民解放軍の空軍の大佐が2人で書いた『超限戦』という本で、世界中では「中国というのはここまで恐ろしいことを考えているのか」と、 要するに国際法を一切無視した何でもありの戦争ということなんですね。

20190521 09
それは、“ABC兵器”のAは核兵器ですけど、Bのバイオロジカルウェポン・生物兵器や、Cのケミカルウェポンも使う、平気で使う。特に生物兵器の場合というのは、これは病気が、伝染病が流行っているのか、生物兵器が使われているのか、区別がつかないんですね。ケミカルウェポンの場合は、これは何者かが意図的に使ったということがわかります。毒ガスですね、ガスは自然に発生しません。しかし、病気というのは自然に発生することがあるわけです。ですから、そういったものまで含めて「何でもありの戦争をやる気ですよ」と中国共産党が言っているというのが、この超限戦という言葉によく表れております。非常に怖い言葉で、我々も既にその中に巻き込まれています。古い言葉で言えば、間接侵略という言葉があります。今、北海道の土地がチャイナの企業によって買い占められている。どうも、自衛隊の傍の土地が買い占められているようだ。おかしいじゃないか――。これが間接侵略ですね。日本の大事なノウハウを持ったような企業が、実はダミーのダミーを使ったチャイナの企業ということは、元々中国共産党が買っている。日本の大事な産業分野が将来麻痺してしまうんじゃないか。日本の非常に貴重な工業資源、或いはノウハウ・特許、そういったものが向こうに流出して軍事的に使われてしまう。そういう可能性というか、もう既にそういうことが起きているわけであります。これは全て戦争であるという考え方なんですね。

これは、『孫氏の兵法』という古い本がチャイナの古典にありますけど、孫子の兵法の現代における応用と言ってもいいと思います。超限戦、国際法を一切無視して人間のあらゆる活動分野を戦場にする。勝つ為には何でもやる、何でもありという恐ろしい戦略思想です。ここら辺にチャイナの本音がよく出ていると私は思います。超限戦という言葉を覚えておいて下さい。私の本でも、このことを扱った本はございます。因みに、米中関係のことであれば、この米中戦、それから一般的な地政学のこと。地政学は、このシリーズの第1巻で皆さんに既にお届けしておりますけれども、最終兵器としての地敗学、今回の事業と併せてお読み頂けるとありがたいと思います。それから、覚えておいてほしい言葉に、現代では戦争と戦争でない状態、戦争と平和、戦争状態と非戦争状態の区別がつかなくなっているということなんですね。要するに、昔の戦争みたいに、ここまでが前線、ここから先は銃後で、普通の非戦闘員が普通の市民生活を営む場です。ここから先は前線です。戦場です。戦場と戦場でない世界の区別がつかなくなっている。これはもう典型的な非対称戦中、ゲリラ戦争等において表れている現状です。これは、テロリストの側から言えば、まさに戦場と非戦場の区別をつけさせない。そして、あらゆる場所、都市空間、国の一見安全だと思われるところまでもテロの対象となる。戦場にすると、まさに国民に対して恐怖心、テロを恐れる、テロというのは恐怖ということですね。恐怖心を植え付ける、それが彼らのやり方です。それは、チャイナ風に言えば超限戦ということである。 要するに、ソフトターゲットに対するテロということが言われます。例えば警察機構、或いは軍事基地、軍隊の基地に向かっては攻撃しない。そうじゃなくて、皆が集まるコンサートでテロをやる。皆が集まるサッカーのスタジアムで、野球のスタジアムでテロをやる。非常にやり易いです。無辜の民、罪のない人たちを殺す。そして、国民に恐怖感を植え付ける。いつどこで何が起きるかわからない。それこそが彼らの目的であります。テロリストが狙っているソフトターゲットというのは、まさに戦場と非戦場の区別をなくしてしまうことなんですね。こういった状況を英語では、最近のアメリカ軍の言葉では“コンテンポラリーオペレーショナルエンバイラメント(COE)”、現代的な作戦環境という風に呼んでおります。要するに、戦争と戦争でない状態の区別がつかなくなってしまう。戦場と非戦場の区別がつかなくなってしまうような環境、そういう状況、これをCOEと呼んでおります。古い言い方では“アザーザンウォー(OTW)”という言い方もありました。戦争のようで戦争でない、戦争でないようで実は戦争である。要するに、戦争と平和の中間的なグレーゾーン、これをOTWと言いますが、現代ではCOE、現代的な作戦環境とアメリカ軍では呼んでおります。戦争に関して、このぐらいの言葉を覚えておいて頂くと、国際関係を見晴らすのに役に立つのではないかと思います。

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更に引き続いて、戦争と平和について考えてみたいと思います。国際関係論とか国際関係学というのは、実際は殆ど戦争について考えるということになってしまいます。これは勿論、平和を如何に構築するかということが、こういう学問の一つの大きな眼目なのは確かです。世界は戦争や粉争に溢れ、人類の歴史の殆どは戦争の歴史であったということが言えると思います。第2次世界大戦という大変大きな戦争がありました。ラテンアメリカは、この戦争に殆ど関与しておりませんけれども、第2次世界大戦が終わった後の今日に至るまで、この2017・2018年に至るまで、地球の上から戦争がなくなった日はありません。戦争という言い方が大袈裟ならば、軍事紛争と言ったらいいでしょうか。それがなくなった日はないということなのです。人間の生活というのはよく考えてみると、競争というのは至る所にあるわけです。競争がエスカレートすると紛争になり、これがエスカレートすると軍事的になり、その軍事紛争が多くは国と国がぶつかるか、或いは国が分裂して戦い始めるというようなことになった時に、これは内戦と言いますけれども、戦争、warという英語が使われますが、戦争ということになります。そうすると、大本は「戦争をなくしましょう」。大変結構なことです。「戦争がいいですか、平和がいいですか?」と言ったらば、誰に聞いても「平和がいい」と答えます。しかし、では戦争の大本の原因は何か? これは民族と民族、集団と集団、最終的には個人と個人の競争なのです。


藤井厳喜(ふじい・げんき) 本名は藤井昇。国際政治学者・シンクタンク『株式会社ケンブリッジフォーキャストグループオブジャパン』代表取締役。1952年、東京都生まれ。早稲田大学政治経済学部政治学科卒。クレアモント大学大学院で政治学修士を取得。ハーバード大学在学中にユダヤ人ネットワークを基にしたシンクタンクを設立。『太平洋戦争の大嘘 47年騙され続けた元米大統領の告発』(ダイレクト出版)・『国境ある経済の復活 世界貿易戦争で敗北する中国とドイツ』(徳間書店)等著書多数。


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