【小池流の行方】(01) 「根回しはいらない」

東京都・小池百合子知事の就任から2ヵ月が経った。猛スピードで課題に切り込む小池流の行方を探った。

20161025 07
「就任後100日間は、怒涛であれ何であれ、色んな課題を種蒔きし、おかしいものはストップする」――。就任1ヵ月後の先月2日の定例会見で、東京都知事の小池百合子(64)はこう宣言した。既定路線の事業でも、不透明な部分があればトップダウンで“待った”をかける小池流改革。第1弾は、その2日前に発表した『築地市場』(東京都中央区)の『豊洲市場』(同江東区)への移転延期だった。「安全性に懸念がある」。来年1月に地下水モニタリングの最終調査結果が出るのに、来月7日の移転を決めた経緯に納得がいかなかった。「根回しはいらない」。移転延期は、従来のように都幹部や都議会主要会派への事前相談は無く、小池の周辺のみで決まった。総事業費約5800億円を投じたビッグプロジェクト。都議会自民党や市場関係者は、「直前になって何故。説明責任をきっちり果たしてもらう」と猛反発した。だが10日後、施設の地下に都の専門家会議が土壌汚染対策として提言した盛り土をしていなかったことが発覚し、様相は一変した。盛り土問題は小池の“追い風”となり、怒りの矛先は都の事務方に向けられた。都幹部は、「延期の反発は大きく、『知事の勢いは半年も持たない』と思っていたが、庁内の空気が一気に変わった」と話す。都の顧問に任命した外部有識者が、都の事業を徹底的に洗い出し、外から改革圧力をかけるのも小池流のひとつだ。

支えるのは、青山学院大学教授の小島敏郎(67)や慶應義塾大学教授の上山信一(58)らブレーンの他、弁護士・公認会計士・経営コンサルタント。ある顧問が「厳しくやりますよ」と許可を求めると、小池は「どんどんやって下さい」と応じた。改革の第2弾は、2020年東京オリンピック事業の見直しだった。都政改革本部の先月29日の会合で、外部有識者らの調査チームは、3つの競技会場の建設中止を含む抜本的見直しの改革案を示し、小池は「しっかり受け止めたい」と評価した。しかしその後、オリンピック事業の現状等を報告した都幹部に対しては、小池は「ノーアンサーに近い」と叱責し、苛立ちを露わにした。外部有識者を重用する政治手法に、ある都幹部は「業務報告をしても知事の反応が無い。資料を持っていっても『見ておきます』だけで、何も求められない」と戸惑いの表情を浮かべる。知事選後、手薬煉引いて待っていた都議会も、勢い付く小池との全面対立回避に動いた。「都議会・知事・職員が馴れ合いで事を丸く収めるのではない」。小池は先月28日の所信表明で、都議会自民党等を刺激的な言葉で改めて牽制した。だが、野次は聞こえず、演説終了後、自民党の若手都議からは拍手も湧いた。議会関係者は、「今は知事のオウンゴール待ち。来夏の都議選を控え、ここで喧嘩をしたら知事の思う壷になる」と話す。小池の情報発信力は突出し、注目度は高い。都政の問題は連日、テレビの情報番組でも取り上げられ、劇場化している。外部有識者を活用し、トップダウンで改革を進める政治手法は、大阪府知事や大阪市長を務めた橋下徹(47)にも通じる。都民の高い支持をバックに、豊洲市場問題やオリンピック問題で先手を打ち、都議会に対しても序盤の主導権を握った。国会議員時代から小池を知る閣僚経験者は、「『知事になったらこうしたい』と準備していたのだろう。相当飛ばしている」と舌を巻く。だが、何れの問題も「今は落としどころが見いだせない」(都幹部)。オリンピック問題は開催スケジュールがあるだけに、国内外への影響は大きく、大会組織委員会等の反発も強い。「立ち止まって考える」。小池がよく口にする言葉だが、いつまでも立ち止まっている訳にはいかず、トップの決断が求められる。 《敬称略》


⦿日本経済新聞 2016年10月5日付掲載⦿
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