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【日本郵政民営化の焦点】(02) ゆうちょ“180兆円ファンド”

20190531 04
先月8日、『日本郵政グループ』の社員に電子メールが一斉に届いた。「他の金融機関からの預貯金の預け替え勧奨は慎むよう適切な営業活動をお願いします」。末尾には、日本郵政と傘下の『日本郵便』・『ゆうちょ銀行』の3社長の名が並んでいた。貯金の預け入れ限度額が4月1日から2600万円へと倍増されるのを前に、長年の営業慣行を変える一歩を踏み出した。郵便局の貯金獲得競争は、金融業界が長年批判を続けてきた。約7000万ともされる稼働口座。ゆうちょ銀行は、民営化されたとはいえ、未だ公の信用が強い過渡期にある。その信用をバックに貯金集めをすることは、他の金融機関との公平な競争にならない。金融庁は、貯金獲得に報奨金を与える仕組みに、とりわけ厳しい目を注いできた。日本郵政は、報奨金制度の完全撤廃も、労働組合側と話し合いを進める方針だ。「貯金獲得で競争する時代は1990年代で終わった」。限度額の議論で行司役を務めた政府の郵政民営化委員長・岩田一政(72)は、新たなビジネスモデルの構築を期待する。ゆうちょ銀行の貯金残高は180兆円超。『三菱UFJ銀行』の預金残高の1.5倍だ。だが、他の銀行と異なり、規制によって一部を除き、企業や個人への融資業務ができない。利益の大半は債券や株式への投資で得ており、実態は“巨大投資ファンド”とも言える。

現在の資金運用の基礎を作ったのは佐護勝紀(51)。『ゴールドマンサックス証券』副会長等を歴任、2015年にゆうちょ銀行副社長に転じた。現在、200人体制の運用チームの内、約40人は佐護の就任によって集まった“佐護人脈”とされる。佐護は。「潜在力は高い。最先端の運用をやるべきだ」と感じていた。「幹部同士が電子メールで重要案件をやり取りする光景は、それまではなかった」。市場統括部長の中尾英樹(48)は、仕事のスピード感が変わったと語る。国営や公社の時代は役所の流儀。幹部が話し合うには、紙を作って、部下が日程を調整する。資金運用を高度化する為には、仕事のスピードを速めるのが不可欠だが、未だ役所の流儀を引きずっていた。「どこかにその情報はあると思います」。佐護が着任早々、運用リスクの説明を求めた際の回答だ。2015年3月末、ゆうちょ銀行の運用資産は、安全とされる国債が約5割。よりリスクを取る運用へと改革し、2018年3月末に3割にまで縮小した。佐護は6月、『ソフトバンクグループ』の副社長へと転じた。金融庁は今、巨額資金の運用リスクに目を光らせる。比較的リスクが高いとされる“外国証券等”の保有額が3割弱、約60兆円まで増えていることを重くみる。日本郵政は2018年3月期、連結決算で4606億円の最終利益を計上した。この内、ゆうちょ銀行は3527億円で稼ぎ頭だ。「郵便局網を支える為に稼がなければならないというプレッシャーがある。だから、リスク性の高い商品で運用している」。金融庁は監視を一段と強めようとしている。 《敬称略》


キャプチャ  2019年4月25日付掲載
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テーマ : 経済ニュース
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