芸能記事を巡る裁判で週刊文春がまさかの“情報源公開”

“取材源の秘匿”という重大原則を揺るがしかねない事態が起きている。舞台は『週刊文春』の抱える名誉毀損裁判。女性芸能人と所属事務所のトラブルについて、事務所側を批判した2015年の記事で、文春側が損害賠償等を求められていた。先月19日の判決では、文春側に合計660万円の支払いが命じられたが、このこと自体は、メディア側が名誉毀損訴訟で勝ち難い日本の司法制度の病理を表した事例に過ぎない。しかし、これを受けて文春がホームページに掲載したコメントで、問題の記事が女性芸能人本人の告発を元にしたものであると、情報源を公開したのだ。当該記事では、女性芸能人が文春側の取材を拒否するシーンが記載されている。つまり「本人は記事への協力をしていないかのように描かれているのだ。にも拘わらず、今回は記事で伏せられていた情報源を公にしたのだが、文春は裁判の過程でも女性芸能人本人の告発であることを明らかにしている。これについて、「いくら裁判に勝ちたいからといって、情報源を明かすというタブーを犯していいのか」(司法担当記者)との批判が出ている。しかも、「『文春は女性芸能人側の了承をきちんと取っていないのでは?』という指摘もある」(芸能記者)のだ(※文春に質問を送付したところ、「取材及び裁判の過程についてはお答えしておりません」と回答)。告発者の身を守らないのであれば、メディアに対する不信感にも結びつく。文春の信義則違反は、1社だけでなく、雑誌業界全体にも悪影響を与えかねない。

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