【アメリカ大統領選2016・激戦の現場】(02) ペンシルベニア州…鉱山の街、民主へ失望

20161026 13
「昔は郡内だけで70~80ヵ所の石炭鉱山があり、ミリオネア(金持ち)で溢れ返っていた。今は見る影も無い。皆が疲れ切って、変化を求めている」――。ペンシルベニア州南西部のファイエット郡。鉱山の安全管理会社に勤めるビル・コズロビッチさん(63)は、こう嘆いた。高校を卒業して、地元の石炭・製鉄会社を渡り歩いた。長年の民主党支持だったが、今回は共和党候補のドナルド・トランプ氏(70)に投票するつもりだ。グローバル化による製造業の海外流出等で、同州の石炭・製鉄業は衰退した。同郡の8月の失業率は、州全体の5.7%を大幅に上回る8.5%。2014年の世帯年収の中央値は、州全体の約7割の約3万8000ドルがに留まる。“ブルーカラー”と呼ばれる労働者に、住宅ローン返済・教育費・企業年金の先行き不安等が重くのしかかる。「鉱山の1つの仕事が10の仕事を生む」がコズロビッチさんらの信念だった。それなのに、再生エネルギー推進を唱える民主党候補のヒラリー・クリントン氏(68)は、地域の基幹産業だった石炭会社について「これから多くを倒産させる」と発言。それを聞き、「この街を何としても守らなければ」と決意した。

クリントン氏に疑念を持った有権者を、トランプ氏は見逃さない。同郡に近いピッツバーグで先月、「政府の温暖化対策はごみ箱行きだ。石炭利用等の規制を鍵和する」と声を上げ、温暖化対策の国際枠組み『パリ協定』の脱退も訴えた。アメリカの政治情報サイト『リアルクリアポリティクス(RCP)』によると、同州の平均支持率で9ポイント以上リードしていたクリントン氏は、先月には一時、トランプ氏に2ポイント差まで詰め寄られた。同郡の民主党幹部であるジム・デービスさん(65)は、「有権者のレーダーに映るのは雇用と最低賃金だけ。『政府や党に見捨てられた』という不信感や将来への不安に乗じ、トランプ氏が支持を広げている」とみる。同州では、労働者層の他に、郊外の女性票もカギを握るとみられている。「夏から戸別訪問やボランティア集めを徹底した。ここで大差を付ける」。最大都市であるフィラデルフィアから車で約30分。デラウェア郡の民主党幹部であるデヴィッド・ランドーさん(63)は、女性をターゲットにした攻勢を強めていた。一方のトランプ陣営も、長女のイバンカさんの出番を増やし、女性票獲得に必死だ。だが、象徴的だったのは、地元で人気のチーズステーキ店だ。来店した有名人の写真を所狭しと飾る店内に、先月訪れたトランプ氏の写真は無かった。「撮影はしたが、嫌がる女性客もいるだろう」(男性店員)というのが理由だ。トランプ氏の女性に関する猥褻発言・疑惑問題は、“敵失”とはいえ、クリントン陣営への追い風となっている。フランクリン&マーシャル大学のテリー・マドンナ教授は、「フィラデルラィア近郊は、選挙毎に支持政党を変える有権者が多い」と分析。地元メディアによると、同州では今年、民主党から共和党に約10万人、共和党から民主党に約4万人が移動したという。現在、クリントン氏が盛り返して支持率6.8ポイント差。取られては取り返す戦いは、最終ラウンドを迎えている。 (有光裕)


⦿読売新聞 2016年10月20日付掲載⦿
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