【アメリカ大統領選2016・激戦の現場】(03) アリゾナ州…共和の牙城、広がる亀裂

20161027 04
「共和党支持者が全員、お前に投票すると思うなよ!」――。アリゾナ州プレスコットバレーで今月4日に開かれた、共和党候補であるドナルド・トランプ氏(70)の集会。民主党候補のヒラリー・クリントン氏(68)を罵り続けるトランプ氏に対し、男性3人が呆れ気味にこう叫ぶと、トランプ氏の指示で屈強な警備員に摘み出された。建国の精神を維持する東部の白人が多く移り住んだアリゾナ州は、共和党の牙城だ。だが、今回は共和党支持者が分裂し、世論調査の支持率でトランプ、クリントン両氏が拮抗した“激戦州”になっている。「伝統には縛られない。不適格な男を大統領にしないことが大事だ」。同州の有力保守紙『アリゾナリパブリック』のフィル・ボアス論説委員長(57)は、そう言い切った。創刊から126年間、共和党支持を貫いてきた同紙は先月末、「クリントン氏を支持する」と表明し、全米を驚かせた。その社説を書いたのがボアス氏だ。「移民政策で混乱を極め、外交に無知で品の無い彼を支えられないと判断した」と語る。

メキシコ国境の不法移民の摘発件数は減少傾向にあり、移民は工場や農場にとって貴重な労働力だ。同紙等の8月の世論調査では、過半数がトランプ氏が主張する国境の“壁”を不要と考え、不法移民の強制送還への反対は約7割に達した。保守系有権者の“トランプ離れ”という願ってもないチャンスに、同州のクリントン陣営幹部であるエンリケ・グチエレスさん(30)は、「民主党への風を感じる」と明るい表情で語った。カギを握るのは、ヒスパニック(中南米)系移民の投票行動だ。過去20年で、人口が州全体の6分の1から約3分の1にほぼ倍増した。最新の世論調査では66%がクリントン氏を支持し、トランプ氏の21%を大きく引き離している。陣営や反トランプ氏の市民団体は、こうしたヒスパニックの支持を票に繋げる為、戸別訪問で発掘した支持者に有権者登録を促す活動に力を入れている。州内拠点や電話ボランティアの数も増やした他、今月中旬以降、娘のチェルシー氏、ミシェル・オバマ大統領夫人、指名候補を争ったバーニー・サンダース上院議員もアリゾナ入りした。クリントン氏本人も検討しているという。共和党の強力な支持基盤の1つであるモルモン教(『末日聖徒イエス・キリスト教会』)の教徒も、“自主投票”の動きを見せている。独特の信仰スタイルが異端視されて迫害を受けた歴史があり、教徒のポール・バードさん(26)は「我々を脅かす可能性のあるトランプ氏を支持できない」と強調する。ただ、トランプ氏を離れた有権者の全てが、クリントン氏支持に流れる訳ではなさそうだ。選挙情勢に詳しい同州元司法長官のグラント・ウッズさん(62)は、「ヒスパニック系は、人口が増えても選挙への関心が低く、有権者登録数が比例して増えてはいかない」と指摘。モルモン教徒には、妊娠中絶を容認するクリントン氏を支持しない人も多く、「共和党の反トランプ票は、“リバタリアン党”等の第3党にも多く流れるのではないか」と分析する。 (田原徳容)


⦿読売新聞 2016年10月22日付掲載⦿
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