【男の子育て日記】(24) 6月16日

ドキュメンタリー映画監督の松江哲明さん御家族とお会いした。元々、数年前から映画館やマスコミ試写会で挨拶はしていた。ネトウヨが幅を利かせるツイッターの世界で、松江さんのアカウントを見つけてからというもの、氏の真っ当且つ率直な物言いに感激し、フォローさせてもらっていた。うちの一文は去年の12月に生まれたけど、松江さんもその2ヵ月ぐらい前にお子さんが誕生していた。それを知って益々親近感が増して、DMでお互いの赤ん坊の写メを送り合ったり、「母乳飲んでます?」「ワクチンは何を打ちました?」等と相談したりして、すっかりパパ友になっていた。この連載の6回目にも書いたように、松江さんの奥様はドイツ人で、しかも美人。お2人の赤ちゃんは写メを見る限り、それはそれは可愛い。奥様は、赤ちゃんを連れて歩いていると皆が絶賛してくれるので、「学校で一番人気の男子に告白された気分!」と仰っていたそうだ。これまで写メを見せていたので、妻も会えるのが楽しみのようだ。「でも、俺はあの子を目の当たりにしても、可愛いなんて言わんぞ。松江さんは言われ慣れているからな。ここは心を鬼にして、封印する」。「それにはどういう意味が…?」と妻呆れ。で、東京都内のお蕎麦屋さんで初対面。松江さんに一文を抱っこしてもらって写メを撮っているところに、奥様と赤ちゃんがいらっしゃった。

見た瞬間、息が止まるかと思った。圧倒的に頭が小さい。フォルムが違う。赤ん坊なのにプロポーションが良過ぎ。駄目だ、我慢しようとしても出てしまう。「か、かわい…塾、夏期講習はお早めに…」。両さんが真夏に「俺は何があっても“暑い”って言わないぞ」と誓った直後に、麗子から熱湯をかけられて、「あつっ…み二郎」と言い逃れしたコマが脳裏を過った。○○君を抱っこして写メを撮りまくる。駄目だー。この世のものとは思えない。前にも書いたけど、自分の子供だから可愛い訳じゃないですか。本当はブサイクだとしても。でも、これは「レェェェベェェルルゥが違うんだよ!」(※外道オマージュ)。いやぁ、参った。「松江さん、完敗です」「勝ち負けじゃないですよ」。松江さんは笑っていたけど、俺は見逃さなかったね。松江さんの目には勝者の余裕があった。いやしかし、この日は心から楽しかった。子供がいる人と、しかも歳が近い子を持つ親とのお喋りって超楽しい。あるあるネタで盛り上がる(でも冷静な自分もいる。じゃあ子供がいない人とは仲良くなれないの? 壁を作ってしまわないか?と)。すっかり心を奪われてしまい、「○○君、うちの子にならない?」とスカウトした。ソッポを向かれたけど。奥様が言う。「でも、子供のうちに可愛いって言われても、将来はアテにならないですからね」。そうだそうだ。かず君、先は長いぞ。自分以外の赤ちゃんを褒められてひねていると思うけど、君にも逆転の可能性はあるからな!


樋口毅宏(ひぐち・たけひろ) 作家。1971年、東京都生まれ。帝京大学文学部卒業後、『コアマガジン』に入社。『ニャン2倶楽部Z』『BUBKA』編集部を経て、『白夜書房』に移籍。『コリアムービー』『みうらじゅんマガジン』の編集長を務める。2009年に作家に転身。著書に『日本のセックス』(双葉文庫)・『ルック・バック・イン・アンガー』(祥伝社文庫)・『さよなら小沢健二』(扶桑社)等。


キャプチャ  2016年10月27日号掲載
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