【霞が関2016秋】(13) 温暖化対策・航空分野でも後手に回った日本

国連傘下の『国際民間航空機関(ICAO)』は今月6日、モントリオールでの総会で、国際航空分野の温暖化ガス排出規制で合意した。日本は、2020年以降の包括的な温暖化対策『パリ協定』を、来月4日の発効までに批准できない見通しとなったが、航空分野でも影が薄いと言わざるを得ない。「具体的な内容が合意されたのは大きな一歩だ」。国土交通省の石井啓一大臣は今月7日、ICAOの合意をこう評価した。航空機の国際線は、国毎の二酸化炭素(CO2)排出量を測定するのが難しく、『京都議定書』やパリ協定の対象外。この為、国際的なルール作りが長年の課題だった。ICAOが合意した新ルールは、国際線のCO2排出量を2020年のレベルに止める為、排出量取引を導入する。2021~2026年は日米欧等といった自発的に参加を表明した国、2027年以降は小国を除く全ての国が規制対象になる。国際航空は、世界のCO2排出量の約2%を占める。日本は航空輸送量で世界10位の排出大国で、政府は「合意に向けて積極的に取り組んできた」(石井大臣)と言うが、国際社会でのアピールという点では課題が残った。2021年から始まる規制への参加を表明したのが先月20日と、ICAO総会の直前になってしまった為だ。航空輸送量で世界1位と2位の中国とアメリカは、先月3日の習近平国家主席とバラク・オバマ大統領との会談に合わせて参加を表明。

その後、『ヨーロッパ連合(EU)』加盟の28ヵ国と、EU以外のヨーロッパ16ヵ国も連名で参加を表明し、カナダ、シンガポール、インドネシア、メキシコ等も日本より前に参加を決めた。先月下旬に長野県軽井沢町で開いた『G7交通相会合』の共同声明は、ICAOの新ルールについて「強い支持を表明する」と盛り込んだ。しかし、G7で最後まで意思を示さなかった日本が、議長国として幅広い国に参加を呼びかけても迫力に欠ける。国交省は、「日本だけが参加して中国や韓国が参加しないと、日本の航空会社が不利になり、ハブ空港としての地位も危うくなる」と懸念。「中国等、近隣諸国の情勢を見極める必要があった」(同省幹部)という。ただ、ルールが適用されるのは参加表明した国同士の路線。同じ路線を飛ぶ航空会社の間で競争格差は生じない。情勢を見極めている間に参加表明が相次ぎ、アピールの好機を逃した格好だ。日本は、主要国によるパリ協定批准の流れにも乗れず、批准の効力が生じる前に国際的なルール作りの議論が始まってしまう。国際航空分野では今後もルール作りに関与できるが、「官民で温暖化対策に力を入れているのだから、国際舞台でもっと頑張ってほしい」との声が経済界から出ている。世界の航空需要は、今後も拡大し続ける見通しだ。省エネルギーの機材やバイオ燃料が普及しないと、利用者の負担増に繋がる可能性もある。日本は、このまま技術開発等で存在感を示せるのだろうか。 (木原雄士)


⦿日本経済新聞電子版 2016年10月18日付掲載⦿
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