【アメリカ大統領選2016・激戦の現場】(05) オハイオ州…労働者票がカギを握る

20161101 05
シンシナティは、嘗て石炭産業で栄えたオハイオ州を代表する都市だ。郊外の工場地帯の一角にある事務所で今月中旬、元高校教論のエリザベス・ジョーンズさん(65)が、インターネット電話を使って語りかけていた。「騙されないで。トランプ氏のやり方を見れば、労働者の為にならないのははっきりしていますよ」。ジョーンズさんは教員関係の労働組合を手伝う形で、民主党候補であるヒラリー・クリントン氏(68)を支援している。支持を呼びかけた相手は、共和党候補であるドナルド・トランプ氏(70)と、どちらに投票するか決めかねている組合員だった。この労組は、クリントン陣営の“票固め”に向け、電話作戦を連日行っている。有権者の代わりに、投票先を記した期日前投票の用紙を郵送してあげたり、投票所まで車で送り迎えしてあげたりすることもある。民主党にとって、労組は有力な支持基盤だ。予て、最低賃金の引き上げ等、“働き手”に寄り添う政策を重視してきた。「組合員に対する投票前の調査では、クリントン氏支持が20ポイントもリードしている。だからこそ、確実に投票してもらうことが大事」。アメリカ最大の労働組合『アメリカ労働総同盟・産業別組合会議(AFL-CIO)』の同州幹部であるチェリカ・カーターさんは、そう指摘する。

ただ、州全体を見渡すと、トランプ氏も負けてはいない。白人労働者層を中心に支持が広がっている。金属部品会社を経営するジャック・シュロンさんは、「トランプ氏は、優れた実業家として雇用を生み出してきた。民間でやったことは、政府にもできる筈だ」と期待をかける。同州は、経済のグローバル化で衰退した“ラストベルト(錆び付いた工業地帯)”の1つに数えられる。クリーブランドの鉄鋼産業は、安い中国製品に押されて衰退する等、勢いを欠く。中小企業や白人労働者には、民主党のバラク・オバマ政権下で更に進んだ“自由貿易体制”への不満が渦巻いている。アメリカのメディアによると、民主党が地盤とする地域では、前回の大統領選に比べ、クリントン氏が期日前投票で苦戦しているという。「私の公約は“雇用、雇用、雇用”だ」。トランプ氏は今月13日にシンシナティで演説し、「オハイオは“北米自由貿易協定(NAFTA)”によって、製造業の雇用の3分の1を失った」と畳み掛けた。NAFTAは、クリントン氏の夫であるビル・クリントン氏が大統領時代、署名したものだ。トランプ氏の発言には、雇用悪化の原因をクリントン夫妻に結び付ける狙いが滲んだ。「ヒラリーは嘘吐きだ」。トランプ氏の矛先は、クリントン氏が反対姿勢に転じた『環太平洋経済連携協定(TPP)』にも向けられた。オハイオ州は大統領選で、民主党が勝ったり共和党が勝ったり、傾向が定まらない“スイングステート(揺れる州)”としても知られる。しかも1964年以降、オハイオ州で敗れて大統領になった人物はいない。トランプ陣営は梃子入れに懸命だ。ただ、トランプ氏は依然、共和党の指名を共に争った同州のジョン・ケーシック知事から、協力を取り付けられずにいる。 (山本貴徳)


⦿読売新聞 2016年10月25日付掲載⦿
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