【霞が関2016秋】(14) 消費者物価、早期解散を後押し?

内閣府が、物価指数の動向に頭を悩ませている。足元で広がる消費者の節約志向を受け、物価の上昇幅が大きく鈍化。アベノミクスの最大の成果とする“デフレ状況ではなくなった”とする根拠が揺らいでいる。「“コアコア”を見ると、2013年10月以降、前年比34ヵ月連続のプラスとなっている」。安倍晋三首相は先月29日の参議院本会議で、こう強調した。“コアコア”とは、『消費者物価指数(CPI)』の内、物価変動が大きい生鮮品やエネルギーの価格変動を除いた数値。モノやサービスの需給を的確に反映し易いとされる。安倍首相が、アベノミクスの最大の成果とされる“デフレ状況ではなくなった”と断言する最大の根拠になっている。そのコアコアの変調が鮮明になってきた。2014年に平均で1.8%、昨年も1.0%上昇したのに対して、今年8月は伸びが0.2%まで縮小した。東京都のコアコアは先月、マイナスへ転落した。内閣府幹部は、「(全国平均のコアコアも)遅くとも年明けにはマイナスに転落するのではないか」と指摘。政府内には「実質賃金の上昇は個人消費回復の兆し」と期待する関係者もいるが、「実質賃金の上昇は、物価の伸びが鈍化しているのも大きい」(内閣府幹部)という。個人消費の動向を見ると、実質賃金の上昇が消費者の財布の紐を緩めていると言える状況にはない。

『ユニクロ』は、春物で始めた値下げを秋冬物でも継続する。機能性肌着である『ヒートテック』は、昨年よりも約300円安い価格に設定した。『ニトリホールディングス』の白井俊之社長は先月末、「他社が値下げするなら対抗値下げする」と断言している。コアコアの変調に追い打ちをかけそうなのが、生鮮食料品やエネルギー価格の上昇だ。両者はコアコアには含まれないが、生鮮食料等が値上がりすれば可処分所得が減り、コアコアの対象となるモノやサービスの消費を手控える要因になる。夏場の天候不順を背景に、葱の卸値は昨年に比べて3割高、人参は2.4倍。「生鮮野菜の高騰は年内一杯続く」との見方もある。気温の低下で需要が高まってきた鍋物食材の高騰は、心理的にも消費者に悪影響を与えかねない。『石油輸出国機構(OPEC)』の生産削減の合意を受けた原油価格の上昇で、灯油が値上がりする可能性も高い。コアコアがマイナスになれば、野党が“アベノミクスの失敗”を批判するのは明かだ。経済官庁幹部は、「悪い数値予測はなるべく早く官邸に伝えて、解散後に文句を言われないようにしないといけない」と身構える。安倍首相がデフレからの脱却や経済再生を、衆議院解散後の選挙でアピールしたいのなら、永田町の解散風が示す通り、“早期”のほうが都合が良いかもしれない。 (中村亮)


⦿日本経済新聞電子版 2016年10月25日付掲載⦿
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