【もんじゅ・見果てぬ夢】(02) 民間なら倒産だ

20161102 05
「ファン、ファン、ファン」。昨年11月19日未明、『もんじゅ』の中央制御室で、核燃料プールの異常を知らせる警報が鳴り響いた。担当者が制御盤のボタンを押すと止んだが、異常は約半年間も続いた。『原子力規制委員会』は今年8月、運営を担う『日本原子力研究開発機構』が保安規定に違反していると認定した。委員長の田中俊一(71・左画像)は、原子力機構の体質を「想像を絶する」と切り捨てた。もんじゅは廃炉――。その流れが決まったのは、警報が鳴る半月ほど前に遡る。昨年11月2日の規制委の臨時会合。「安全文化ができていない」。田中は、原子力機構理事長の児玉敏雄(65)を問い詰めた。『三菱重工業』出身の児玉は「メーカーや電力会社の協力で対応していく」と立て直しを誓ったが、「民間なら倒産だ」「世界最高水準のチームでなければ駄目だ」と規制委委員の更田豊志(59)や伴信彦(53)も突き放した。

5人の委員は、遂に“伝家の宝刀”を抜く。2日後、「原子力機構に任せるべきではない」との見解で纏まり、規制委ができてから初めての勧告が20分ほどで決まった。もんじゅの運営体制を半年を目途に見直すよう、文部科学大臣に求めた。「コメントするのも嫌だ」。田中は、原子力機構の杜撰な体質が許せなかった。1995年、もんじゅを冷やすナトリウムが漏れた火災事故で、当時の『動力炉・核燃料開発事業団(動燃)』は現場を撮った映像の一部を隠し、隠蔽体質が問われた。改組した動燃は、2005年に旧『日本原子力研究所(原研)』と統合し、原子力機構が発足したが、2012年に約1万点に及ぶ機器の点検漏れが発覚した。田中は、公の場でも怒りに近い感情をぶちまけた。嘗ては旧原研の研究者だった。20年以上もトラブルを繰り返すもんじゅを動かす怖さを熟知していた。更田も旧原研に所属し、伴も旧動燃で働いていた。そんな彼らが引導を渡した。4月下旬、『原子力規制庁』に赴いた文科省幹部が、「燃料を抜き取れば安全では?」と延命策を密かに打診したものの、規制庁は「論理のすり替えだ」と取り合わなかった。『川崎重工業』でもんじゅの研究に携わった自民党議員の森英介(68)らから、「再稼働に向けた審査を簡略化できないか?」等と援護射撃もあったが、田中は「例外は認めない」と撥ね付けた。 《敬称略》


⦿日本経済新聞 2016年10月20日付掲載⦿
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