【ヘンな食べ物】(11) イモムシ×ハイビスカス

アフリカで困るのは朝食。例えば、中国や東南アジアなら麺類を食べられる。でも、アフリカは長い植民地時代の影響で、パンにスクランブルエッグのみというところが多い。今いるナイジェリア北部もそう。これでは腹持ちが悪くて仕方ない。取材中は、いつ昼飯にありつけるかわからないことが多いから、しっかり食べていきたいのに。しかも、ホテルのレストランで注文すると30分もかかる。「一体、どこへ卵を買いに行ったのか?」と思う。そんな訳で、今朝は取材へ行く途中、どこかで食べようと思ったが、食堂や屋台らしきものが見つからないまま、最初の目的地である某企業のオフィスに着いてしまった。ナイジェリア人のマネージャーという人を訪ねたところ、びっくりしたことに、プラスチックの容器に黒いイモムシをどっさり入れて、齧りながら現れた。「1つどう?」と差し出され、腹が減っていたし、迷わず食べる。ちょっと唐辛子がきつかったが、よく煮込んでいるらしく、臭みは無く、適度な歯応え。蛋白質がギュッと凝縮して、腹持ちがしそう。5つ、6つとボリポリ食ってしまった。しかし、空腹の胃にイモムシだけというのは、ちと落ち着かない。そう思っていたら、今度は支店長という人が紫色のドリンクをバケツごと差し出した。「ハイビスカスジュースだ」という。紫色の花を煮込んで砂糖を入れ、冷蔵庫でよく冷やしたという。朝10時前ながら、既に気温は30℃を軽く超えていた為、とても美味しい。色は鮮やかだし、生姜が効いていた。味に深みがあり、何より酒落ている。表参道や六本木に、このドリンクのスタンドがあれば大繁盛するだろう。イモムシのピリ辛煮と粋なハイビスカスジュース。旅先では、こんなあり得ない組み合わせの朝食にも遭遇することがあるのだ。


高野秀行(たかの・ひでゆき) ノンフィクション作家。1966年、東京都生まれ。早稲田大学第1文学部仏文科卒。『幻獣ムベンベを追え』(集英社文庫)・『アジア未知動物紀行』(講談社文庫)・『世界のシワに夢を見ろ!』(小学館文庫)等著書多数。


キャプチャ  2016年11月3日号掲載
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