想定外の快進撃でフロントが大慌て! 『広島東洋カープ』セリーグ制覇でも松田元オーナー“大激怒”の真相

開幕前の下馬評では、決して評価が高くなかった『広島東洋カープ』。プロの解説者たちの予想を覆し、25年ぶりのセリーグ優勝を飾った。しかし、その栄光の陰で苦虫を噛み潰しているのは、あろうことか、カープのフロント陣だ。史上最高と言われるカープの今年のチームオーダーに対して、史上最悪と言われる松田元オーナーとフロント。知られざる“カープの闇”を暴く! (取材・文/フリーライター 操山卓丸)

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25年ぶりにセ・リーグ制覇を果たした『広島東洋カープ』の“赤ヘル旋風”が、ファンの枠を飛び越えて、日本中で巻き起こっている。“カープ女子”・“カープ芸人”・“男気復帰”・“神ってる”等の派手なキャッチコピーの割には“零細市民球団”というイメージが強いカープだが、実は41年の長期間に亘り、連続での黒字経営を達成している優良企業でもある。上場を拒み、必要経費・年俸を極限まで押さえ込み、徹底して黒字を追求する経営方針の所謂“モーレツ企業”が、会社としての広島東洋カープだ。“表の顔”である野球チームとは、雰囲気・イメージ共に真逆の企業である。先ずは、その“裏のカープ”とも言うべき、企業としての広島東洋カープにスポットを当ててみよう。現オーナー・松田元氏(左画像)の祖父である初代オーナーの松田恒次氏は、就任時に「暫くカープの面倒をみるが、決して私物化しない」と言ったが、その言葉に反して、カープオーナーの座は世襲化してしまっているのが現状。因みに、初代オーナーの松田恒次氏は3代目マツダ社長であり、2代目の松田耕平氏は4代目マツダ社長である。その後、マツダの経営陣から松田家は追放されてしまうが、カープオーナーとしては祖父から3代続く世襲リレーの状態である。そのマツダの創業家である松田一族は、第1次オイルショックに端を発する所謂“マツダ危機”によりマツダを追放され、現在は同社の経営に関わっていないものの、㈱広島東洋カープの株式の42.7%を一族で保有する筆頭株主だ(オーナーの元氏が20%、一族の弘氏が12%、元氏の母が10%)。松田家の一族経営と言っていい。対するマツダは、広島東洋カープの株を34.2%持っているが、球団はマツダから宣伝費・赤字補填等の資金援助を受けていない。では、マツダが筆頭株主でありながら直接、球団経営に参画していないのは何故なのか。カープはその黎明期、経営難でジリ貧の時期が長く続いており、株主総会で売却案が出るほど崩壊寸前に陥った過去がある。その時、オーナーに名乗りを上げたのが、旧『東洋工業』(現在の『マツダ』)の松田恒次社長だった。

恒次氏の死後も、息子の耕平氏が同じく、マツダ社長とカープのオーナーを兼任。しかし、社運を賭けて開発したロータリーエンジンがコケてしまい、その経営責任と、それまでの封建的な世襲制を追及されてしまう。更に、再建に乗り出した『フォード』が経営健全化計画の為に振るった大ナタ人事により、松田一族は耕平氏を最後に、マツダの経営から手を引くことに。結果、耕平氏の死後、息子の元氏がカープの3代目オーナーのみを引き継ぐことになった。このようにルーツを辿ると、カープ球団運営に乗り出したのは東洋工業という企業ではなく、松田恒次氏個人の判断によるもので、その恒次氏が偶々東洋工業社長だったというだけのこと。カープオーナーは恒次氏→耕平氏→元氏へと引き継がれたが、マツダと松田家は、ややこしいが一切関係が無くなった。既に東洋工業は存在しない。にも関わらず、何故かチーム名は広島“東洋”カープのままになっている。これは、追放された松田家のマツダに対する私怨の刺青なのかもしれない。このように、表向きには“市民球団”であるカープは、経営の面で見れば“個人球団”。否応にも、オーナーである元氏の意見というのは通り易くなってくる。目立つキャラクター故に、その人となりは誤解されることも多いが、元氏を知る人々のイメージは、“ケチで出しゃばりなお坊っちゃま”という所見でほぼ一致している。カープの運営方針に、積極的に口を出して関与するタイプのサミットフォアマンだ。カープファン歴40年の雑誌編集者が語る。「松田元氏には、ファンとして全く同情できません。今年の優勝は想定外だったのでは? チーム改革を全くせず、監督やコーチはOBに拘り、しかも指導者として能力的に疑問が残る人物ばかり揃えています。初代オーナーである松田恒次氏の時もチームは低迷していたが、監督やコーチはOBに拘っていなかったし、結果、先進的な改革者である根本陸夫監督に繋がったから、未だ同情の余地はありました」。確かにカープは、ここ数年でAクラスを争えるように成長したチームだが、相変わらず投資は貧弱だ。その癖、松田元氏は現場に矢鱈と口を出すという。「元氏はカープに対する思いが強い故、現場に介入し過ぎる点と、現場にはイエスマンしかいない点が問題です」(同)。特に、ここ数年のドラフトは、オーナーである元氏の意見主導で選手選択が行われている為、ピッチャーはパワフルスロー系、バッターは骨太マッシヴ系のパワーヒッタータイプが中心となってしまい、バランスのいいベテラン陣に対して、若手の選手構成が非常に偏ってしまっている。

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「現場に口を挟み過ぎ」「西のプチナベツネ」等々、色々と悪い評判も少なくない元氏だが、世間一般の誤解も多い。例えば、元氏はナベツネの忠犬との言われ方もされるが、交流こそあるものの、そういう事実は無い。更に遡れば、先代オーナーの「先ずは5割をキープし、徐々に貯金を増やしていく」という堅実な考えが、「5割で十分だ。優勝などしなくていい」と歪曲されたことすらあった。「受取手の悪意や曲解により、間違って伝わってしまった情報も少なくない。この部分には、ジャーナリストとして多少同情する部分もあります」(同)。更に注目したいのは、元氏の経営方針。40年以上も球団単独で黒字経営を続けているカープだが、黒字化が“続いている”というより“義務付けられている”のである。つまり、『東北楽天ゴールデンイーグルス』のように、カネが無いチームでは決してないのだ。それにも関わらず、世間に対して恰も“カネが無い球団”というイメージを発信し続けるイメージ戦略の意図とは何なのだろうか? カープの近年の売上高は総額約100億円、年棒は約20億円。最終利益は2~3億円程度と、まるで計算し尽くされたかのようなギリギリの黒字経営で推移している。決算書は非公開の為、推測するしかないが、売上高から必要経費をマイナスして、赤字にならないように年棒総額を決め、各選手と交渉しているようだ。其々の細かい部分の収入・支出を、元氏を頂点とするフロント軍団が、黒田の制球力顔負けのコントロールで厳密に調整している。それこそが黒字経営の実情なのだろう。一方、「カープや関連会社の社員等にとっては、顔ぶれの変わらない元氏とイエスマンフロントは“神”のような存在である」と、『マツダスタジアム』関係者は言う。「以前は、球団フロントに少しでも批判的な記事を書けば、記者を球団に呼びつけるか、報復的なことをすると聞きました。お宅の雑誌は大丈夫ですか?(笑)」。特に広島のメディアは、「天皇批判はできてもカープ批判はできない」という風潮がある。これは、小学校の教科書にさえ登場する“広島カープについて考える授業”の存在からもわかるように、「広島カープ以外の邪教徒を許さない」という地方都市・広島の閉ざされた言論空間を如実に表している。

歴代監督を“教祖”とし、元氏を村長とする通称“カープ村”。今年の流行語大賞になりそうな緒方監督の“神ってる”は、ひょっとすると元氏を揶揄したものなのだろうか? チームとしての広島は、育成にじっくり時間をかけ、1軍選手でさえ、地元の試合後には普通の居酒屋で飲食する姿が屡々目撃される。有名クラブのVIP席を利用しがちな巨人や阪神の選手とは違い、より身近でファンが愛着を持ち易いチームという印象だ。というのも、幅広い客層に楽しんでもらえるようなファンサービスやグッズの企画開発に取り組むに当たって、“清貧な市民球団”というイメージは無くてはならないものだからだ。マイナスイメージのある“貧乏”という言葉だが、身近で愛着が持たれ易いキラーワードとも言える。とはいえ、広島カープは一見すると貧乏球団に見えても、そのバックには一流企業やメガバンク以上の確実な“財布”がある。それは、広島市民の“財布”だ。地元球団を支える名目で基金を募れば、市民がどんどんカネを落としてくれるシステムを構築したのだ。他球団では絶対に真似のできない芸当だろう。更に、元氏主導による黒字経営のもう1つの根幹要素として、徹底したコストカットも有名だ。球団の経営陣にとって一番の頭痛の種なのが主力選手の年俸だが、カープはこれを兎に角低く抑えており、同時に、このケチっぷりもある意味、“広島カープ自虐ネタ”として世に定着している。このイメージが逆に、この球団の特色・魅力となっていると言っていい。だが、経営陣は色々とキナ臭い。オーナーとフロントの顔ぶれが全く変わらず、まるで現在の安倍政権のようなイエスマンフォーメーションだからだ。昔に比べれば、チームの年俸総額こそ年々上昇しているが、「今も球団内には、年俸総額の上限に“20億円”という不文律がある」(球団関係者)という言葉からもわかるように、できる限り人件費を安くする方針に変わりはない。今季開幕時点での支配下登録された選手の年俸総額は、18億9791万円。これは12球団中9番目と、ずっと最下位だった過去と比べると意外な順位かもしれない。しかし、これは“男気復帰”黒田博樹投手の“6億円エマージェンシー年俸”が含まれている為で、1位のソフトバンク(41億7577万円)や2位の巨人(32億9800万円)から比べると、かなり低い数字だ。やはり、球界最低水準であることは間違いない。故に、いくら人気がある主力選手でも、年俸が高騰したら他球団への放出を検討されてしまう。嘗てのエース・前田健太も、最終年俸が2億8000万円にまで跳ね上がり、経営陣が頭を抱える中、偶々多くのメジャー球団からラブコールを送られたことから、放出を即座に決定された。前田が海外FA権を獲得する前に、ポスティングシステムを使ってメジャー移籍を容認することで、カープは譲渡金約20億円を手にできたのだ。

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FAでタダ逃げされるよりも、価値があるうちに売り飛ばす――。ファンの熱い思いとは真逆な、ドライで割り切った考え方を持つ球団でもある広島カープ。しかしその一方で、FA宣言した選手をとことん嫌い、「残留を認めない」という感情的な一面も持っている。全ては、この頑なな松田元オーナーの意思により、カープの方針は決定されるのだ。去年までのカープファンからは、「元氏がチームを私物化し、黒字達成を優先したばかりに投資が抑制され、チームの長期低迷を招いた」という批判がよく聞かれた。しかし、その“補強・強化を怠ってきた”カープが、今年は史上最速ペースでぶっちぎりで優勝してしまった。広島の商店街でも「マジックがこんなに早く減るとは思っていなかったので、優勝セールの準備が間に合わない」と、思いがけない25年ぶりの快進撃に戸惑う人も。しかし、それ以上にドタバタしているのが、元氏を始めとするカープのフロント陣である。2013年以降、売り上げが伸びてきたとはいえ、優勝ともなればチームの年俸総額は倍増必至。球団経営が圧迫されるので、実際のところ、オーナーは優勝を望んでいない。「兎に角、黒字が第一の目標であり、試合に勝利することではない」と言われている。それだけに、元氏やフロント陣にとって、今年の優勝というのは完全に想定外だったようだ。カープファン歴45年を誇るフリーライター兼イラストレーターの呉尾律波氏は、こう指摘する。「心配なのは、クライマックスシリーズや日本シリーズではなく、『一体、誰が“放出”されることになるのか?』ということです。例えば、セ・リーグ打率トップ10に入る3人(鈴木誠也・新井貴浩・菊池涼介)の野手、同リーグ防御率トップ10の3人(ジョンソン・野村祐輔・黒田博樹)のスター投手を抱えながら、総年俸を低く抑えることは、通年の予算枠では無理でしょう。ドケチ球団であることを念頭に、控えめな計算をしてみても、30億は軽く超えてしまいます。何とかやり繰りできても、その分、カープの魅力である若手選手の獲得や育成が疎かになってしまうことを危惧しています」。抑々、広島にカープ以外の球団は無い。しかも、全国的に人気があり、優勝しなくても勝たなくても客は入るという、まさに殿様営業状態。チーム強化よりもカネが大切なのか、将又チームが大切なのか――。今年のストーブリーグでは、広島カープの、ファンに対する真の姿勢が明らかになる筈だ。


キャプチャ  2016年11月号掲載

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