【新聞ビジネス大崩壊】(05) 勝ち組vs負け組…5大紙記者の給与と待遇徹底比較!

30代で年収1000万円――。マスコミは高給というイメージがあるが、5大紙の記者たちの待遇や社風はどうなっているのだろうか。実は、社によって様々な差があった。タイプ別に解説しよう。 (取材・文/元新聞記者・フリージャーナリスト 安藤海南男)

20161109 01
現在、日本では4000万部超の新聞が発行されている。地方紙・ブロック紙・スポーツ紙。あらゆる媒体が犇めき合う業界の中で、全国に取材網を張り、新聞報道を常にリードする存在であり続けてきたのが、全国紙の朝日・読売・毎日・日経・産経である。“5大紙”と呼ばれるこれらの新聞の記者たちは、あらゆる分野で日夜、熾烈なスクープ合戦を繰り広げている。知られざるその生態を紹介しよう。先ず、読売新聞に次いで全国2位の発行部数を誇る朝日新聞。5大紙の中でも“日本を代表するクオリティーペーパー”としての立場を鮮明にしている。当然、そこに集まる記者たちも高学歴のエリートが多く、給与水準も全マスコミの中でトップクラスだ。『週刊東洋経済』が発表した昨年度の企業別年収ランキングによると、平均年収は1299万円(平均年齢43.3歳)で、高給で知られる商社等に次ぐ8位にランクしている。業績悪化に伴う経営の効率化で、来年4月から年収が引き下げられる見通しとはいえ、「1100万円前後は保証される」(朝日新聞関係者)というから、好待遇には変わりない。「朝日の記者の気質は、一言で言うと“官僚的”。5大紙の中で東京大学出身者が特に多いことからも、その体質は推して知るべしだろう」(別の大手紙関係者)。“兵站”の充実ぶりも際立つ。支局や官庁等の記者クラブに配する記者の陣容でも他紙を圧倒。その恵まれた労働環境を求めてやって来る転職組も多い。

20161109 02
「地方紙の他、テレビ局から転身する者もいる。中でも目立つのが産経出身者。中国報道で国際的なジャーナリズム賞を受けた特派員等、各部署でエース級になった産経OBもいる」(前出の朝日新聞関係者)。朝日の有価証券報告書によると、2014年3月期の売上高は4695億円。総資産は5759億円に及び、経常利益169億円を計上している。経営の安定性を示す指標となる自己資本比率は、“優良企業”の目安となる53%を上回る56.24%を記録。強固な経営基盤は崩れていないようにもみえるが、新聞業界全体の退潮は、“天下の朝日”の足下も揺るがしている。昨年11月度の発行部数は663万部で、前年同月比で40万部以上(『日本ABC協会』調べ)の減少となった。部数の落ち込みに拍車をかけたのが、2014年9月、東京電力福島第1原発事故の所謂『吉田調書』と、慰安婦報道における『吉田証言』で謝罪・訂正に追い込まれた件だ。「取材経費に制限がかかるようになり、手間と時間がかかる調査報道がやり難くなった。記者の人数が多い分、元々記者同士の足の引っ張り合いも多かったが、最近はそれがより一層酷くなってきた」(同)。現場からは、こんな不満も漏れ聞こえるようになったという。「訴訟沙汰等のトラブルを避ける為、事件報道を軽視するようになった。先日は、山口組の分裂問題に関するスクープが上層部に黙殺されるなんてこともあった。現場のモチベーションは下がる一方だ」(朝日新聞記者)。

20161109 03
こんな朝日の現状を見て、社内での権力闘争が激しかった時代と照らし合わせ、「朝日は先祖返りした」との声も囁かれているという。その朝日と新聞業界の覇権を争うのが読売である。部数で朝日を凌駕して久しく、給与も「30代で1000万円の大台を超える」(業界関係者)と言われており、朝日と遜色ない。ただ、社風はエリート然とした朝日とは対照的だという。「読売の記者は、軍隊にも譬えられるぐらいの超体育会系。上下関係もはっきりしていて、業界内でも激務であることで有名だ」(他の全国紙記者)。政界に隠然たる影響力を持つ渡邉恒雄主筆というカリスマをトップに載く読売。右派メディアの代表格というイメージが強いが、嘗て、大阪本社で社会部長を務めた黒田清氏(故人)が率いた“黒田軍団”が勇名を馳せたように、事件報道に強みを発揮してきた伝統も併せ持つ。「特に、読売の警視庁記者クラブは強力だ。5大紙の警視庁記者クラブには、毎年、大晦日や正月に特ダネを載せるという慣習があるが、読売はいつも驚くようなスクープを打ってくる」(同)。ただ、そうした華々しい戦果が、記者の自己犠牲によって成り立っているのも確かなようだ。地方支局に勤務する全国紙の若手記者は、「読売の記者は、それこそ地べたを這い蹲るような取材をする。ネタを取ってこれない若手には、デスクがパワハラ寸前の猛烈な追い込みをかける。そんな光景を日常的に見ているから、同僚記者たちは口々に『たとえ給料が高くても読売には行きたくない』と言っている」と苦笑混じりに語った。更に読売には、江戸時代の“士農工商”も真っ青になるほどの咋な“身分制度”もあるという。

20161109 05
「出世の道は、大阪か東京の本社に上がれるかどうかにかかっているのです。支局に出された若手は、そこで何とか成果を出して、上司に引き上げてもらおうと狙っている。但し、採用の段階で“地方記者”として入社すると、事情が変わってくる。余程のことが無い限り、地方の“ドサ回り”をするだけで記者人生が終わってしまうんです」(読売新聞関係者)。読売の記者たちは、過酷な労働と厳しい社内競争に打ち勝つことを義務付けられているという訳である。待遇面で朝日・読売と共に好待遇を享受するのが日経の記者。前出の週刊東洋経済による昨年度の企業別年収ランキングでは、平均年収は1257万円(42.8歳)に及んでいる。ランキングでは、朝日の8位を上回る7位に食い込んでいる。「日経は経済情報に特化する紙面の特性もあって、経済部に戦力を集中させている。逆に言うと、経済部以外の記者は、それほど厳しい競争を強いられないということにもなる。出世コースに乗ろうと思えば、“本流”の経済部で結果を出さなければならない」(日本経済新聞関係者)。他紙では社内で一定の発言力を持つ社会部も、日経では“傍流”とされる。文化部や運動部は言うに及ばないが、その分、「経済部に比べて紙面の自由度は比較的高い」(同)のだという。こうした事情から、経済部では“スクープ至上主義”が徹底されており、些細な企業の人事情報でも他紙に先駆けて報じることが厳命される。経済記事では他紙に勝つのが“当たり前”とされる日経記者が最も恐れるのが“特オチ”だ。「他紙にスクープを抜かれた場合、日経では過酷な制裁が待っている。デスクから厳しい叱責を受けるだけでなく、責任を問われて飛ばされることも珍しくない」(同)。

20161109 04
巷では屡々、全国紙記者の高年収が話題に上がる。しかし、貴族的な身分が保障されるのは、全国紙の“勝ち組”と言われる朝日・読売・日経記者に限られる。“負け組”の毎日・産経の記者は、薄給と激務に耐える日々を送っている。「毎日・産経の年収は、朝日・読売・日経の6~7割程度しかない。取材経費も厳しく制限される為、週刊誌や業界紙等でのアルバイト原稿に精を出す記者が少なくない」(毎日新聞関係者)。潤沢な予算に支えられ、ハイヤーで“夜討ち・朝駆け”をする朝日・読売・日経の記者を尻目に、電車で取材先に駆けつけることも珍しくないという。「記者クラブに所属する朝日の記者に、取材の時にハイヤーに相乗りさせてもらったこともありますよ。うちは人数が少ない分、仕事量も多い。最近はウェブニュース用に出稿する原稿も要求されるので、出稿量は増える一方です。ただ、待遇面で言えば天と地の差ですが、組織が小さい分、記事の制約が少なくて、取材活動の自由度が高いというメリットはあります」(産経新聞社会部記者)。前述した“産経→朝日”が定番コースになっているように、業界内での転職や他業種への転身が目立つのも産経・毎日だという。「産経・毎日の記者が顔を合わせる度に必ず出る話題が、『うちはボーナスがこれだけ下がった』等という自虐ネタです。世の中の新聞離れが加速していく中で、お互いに『どっちが先に潰れるか?』と戦々恐々としているのが実情です」(同)。“勝ち組”と“負け組”の格差が急拡大している全国紙の世界。戦後の半世紀以上変わることが無かった業界の勢力図は、今後、数年のうちに大きく様変わりすることになりそうだ。


キャプチャ  キャプチャ

スポンサーサイト

テーマ : テレビ・マスコミ・報道の問題
ジャンル : ニュース

轮廓

George Clooney

Author:George Clooney

最新文章
档案
分类
计数器
排名

FC2Blog Ranking

广告
搜索
RSS链接
链接
QR码
QR