【JR九州・意地の上場】(03) 子会社にエースが来た

20161109 10
『九州旅客鉄道(JR九州)』が運営するドラッグストア『ドラッグイレブン』の福岡市内の店舗。専務の本郷譲(60)は週1度、店に顔を出す。「随分、客が入るようになったな」。先月も、朝から来店客で賑わう様子を見て、思わず微笑んだ。2006年12月、未だ取締役だった本郷は、ドラッグイレブンの買収に反対した。「多くの従業員を誰が纏めるのか?」。役員が集まる場で、買収を提案した常務(現会長)の唐池恒二(63・右画像)に厳しく迫った。ドラッグイレブンは鹿児島県の発祥で、170店舗を持ち、売上高は400億円に上る。買収が実現すると、グループ会社で最大規模になる。本郷は「身の丈に合わない」と論陣を張ったが、唐池は勝負に出た。事前に都合の良いデータばかりを集めて作らせた資料を配り、「こんなチャンスは無い」と押し切った。唐池は、日韓を結ぶ高速船の就航や外食事業の再建等、分割民営化後の会社人生の大半を鉄道以外で過ごしてきた。

JRでは異端と言える存在だからこそ、「“非鉄道”を伸ばさないと生き残れない」と痛感。ドラッグストアの社長に就く人材がいなければ、自らが行く覚悟だった。だが、既に非鉄道が売上高の過半を占め、全体戦略を担う唐池は出せない。社長(現相談役)の石原進(71)は、本郷に「君が行ってくれ」と告げた。本郷は驚いた。猛反対した立場であり、子会社の経験も無かった。唐池も確信していた。「エースを出せば、子会社は意気に感じる」。非鉄道が稼ぎ始めたとはいえ、「子会社に出された意識が社員にあった」。非鉄道を主流にするには、風土を変えるしかない。本郷は、買収初年度から増収増益で期待に応えた。「人事課長になって1年なのに…」。2014年2月、田中渉(48)は社長の唐池に呼ばれ、農業子会社『JR九州ファーム』の初代社長に命じられた。答えは、「面白いことをやります」だった。唐池は、自らの“右腕”と評する田中に農業を託したが、簡単にはいかない。「害虫が大量発生しています」。今年6月、長崎県の農場へ急行した田中は、アスパラガスの葉が食われた様子を見て愕然とした。生産量は計画の3割と散々だが、周囲を鼓舞した。「失敗してもいい。春にかけて立て直そう」。社員の進路調査で、苦闘するJR九州ファームへの希望者が相次ぐ。唐池は、「優秀な人ほど手を挙げるようになってきた」と喜ぶ。風土は変わった。異端こそ主流なり――。 《敬称略》


⦿日本経済新聞 2016年11月3日付掲載⦿
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