27年連続で販売数1億箱超え!『アサヒスーパードライ』は何故まずいのに売れ続けるのか?

『アサヒスーパードライ』が人気ナンバーワンのビールとなって30年弱。今年の夏も断トツの売れ行きを見せた。しかし、実はスーパードライはクソ不味いビールなのだ。味オンチの消費者の皆さんに、スーパードライが不味い理由を教えてさしあげよう。

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気象庁曰く、「史上最も暑かった」という2016年の夏が終わった。本誌読者にも、居酒屋や自宅等でビールをグビグビ飲んだ人が多いことだろう。ビール大手5社が半期毎に発表するデータによると、今年1~6月期のビールの消費量は、前年同期から0.4%増の9557万ケース。発泡酒は缶チューハイの人気に押されて売り上げを減少させたが、ビールは2年ぶりの増加に転じたのである。この様子なら、7~12月期のビール消費量はもっと伸びる筈だ。中でも、現在のビール人気の牽引役となっているのが、『アサヒビール』の看板商品『スーパードライ』だ。例えば、ビールの銘柄別に見ると、年間の消費量2位の『キリン一番搾り』(『キリン』)が約3200万ケース、3位の『サッポロ黒ラベル』(『サッポロビール』)が約1600万ケースなのに対し、スーパードライは約1億ケースと、まさに桁違いの売れ行きなのである。メーカー別のシェアも、アサヒビールが39.2%と7年連続で首位を独走する一方、キリンビールは32.1%とシェアを落とし、『サントリー』やサッポロビールも其々16.0%、11.9%と低迷している。バブル景気真っ只中の1987年に“日本発の辛口ビール”として登場して以来、アサヒスーパードライは、国内のビール消費量の半分を売り上げてきた驚異的な大ヒット商品なのだ。実際、居酒屋等で30~40代の男性に「一番好きなビールは?」と聞くと、「スーパードライ」と答える人が驚くほど多い。「スッキリ味で飲み易い」「苦味が無くて喉ごしがいい」というのがその理由らしい。中には、「ビールは好きじゃないが、スーパードライは好き」という人までいる。しかし、昔から気になっていたのだが、スーパードライは本当に美味いのか? スッキリ味と言っても、それはコクが無くて水っぽいということ。味覚の1つである“苦み”が無いというのも問題だ。恐らく、人並み以上の味覚がある人なら、絶対に“スーパードライ=美味いビール”とは思わない筈である。

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これは、単なる好き嫌いの主観ではない。スーパードライが全然美味くなく、寧ろクソ不味いビールだということには、ちゃんとした根拠が存在するのだ。抑々、スーパードライが自称している“辛口”や“ドライ”という言葉自体、かなり意味不明だ。ビールの味を表すのは“コク”・“苦み”・“香味”等々。日本酒やワインには辛口があるが、ビールには本来、辛口という概念が無い。スーパードライの宣伝文句の1つは“キレ味さえるビール”だが、“キレ”とは“スッキリ味”・“雑味が無い”こと。簡単に言えば、飲み易いがコクや味わいが無い薄っぺらな中身のビールということだ。日本のビールの原材料は、酒税法という法律によって厳密に定義されている。主原料は麦芽・ホップ・水、そして副原料は米・トウモロコシ・コーリシャン・馬鈴薯・澱粉・糖類等だ。この内、ビールの味わい・旨みに最も影響を及ぼすのが麦芽。普通、ビールのことを“麦酒”というが、本当は“麦芽酒”なのである。麦芽とは、大麦に水と熱を加えて人工的に発芽させたものだ。これにより、大麦の中に澱粉を糖に分解する酵素が生まれ、酵素の働きで大麦の蛋白質がアミノ酸に分解され易くなる。アミノ酸は“旨み”を司る重要な成分で、同時に、発酵時には酵母の主食となるのだ。酵母はアミノ酸や糖を食べて、アルコールや炭酸ガスを生成する。酵母がアミノ酸をよく食べ、働けば働くほど、ビールに芳醇な味わいとコクを与えてくれる。しかし、副原料の米やコーンは麦芽ほど蛋白質は含んでおらず、旨みやコクもあまり無い。スターチは粉末状の澱粉のことで、麦芽に含まれる澱粉の代用品だ。酵素が減るので当然、味わいも薄くなり、その味わいの無さがキレやスッキリ感を生む。つまり、スーパードライとは、副原料の米・コーン・スターチを大量に入れて作った“混ぜものだらけのビール”なのだ。勿論、副原料に米・コーン・スターチを使っているのはスーパードライだけではない。キリンの『ラガー』や一番搾り、サッポロの黒ラベルも同じだ。プレミアムビールを除くスタンダードビールの内、主原料の麦芽とホップしか使っていないのは、サントリーの『モルツ』唯1つしかない。

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とはいえ、スーパードライ以外のビールには、発酵過程でアルコールにならなかった糖類によるコクや、ホップの苦み等がある。それに対し、スーパードライは原材料に占める麦芽の重量を、酒税法の規定ギリギリまで減らして、副原料の比率を高めている為、コクや苦みが全く無い。味わいが無いというよりは最早、「味そのものが無い」と言ったほうが正しい。飲み易いだけで味の無いスカスカな感じは、まるで発泡酒のようなのだ。実際、スーパードライは、“キングオブ底辺”のアメリカンライトビール『バドワイザー』にかなり近い。元来、日本のビール会社が手本としてきたのは、コクと苦みのあるドイツのピルスナーだ。ビール大国のドイツには、16世紀に制定された「麦芽とホップと水しか使用してはならぬ」という『ビール純粋令』があり、表芽100%・副原料無しという伝統的製法が現在も受け継がれている。これに対して、アメリカで主流となっているのは、副原料に米・コーン・スターチを使った混ぜものだらけのビール。世界一の販売量を誇るバドワイザーは、驚くべきことに、副原料が30~40%も入っているという。謂わば、重く複雑な味わいのドイツビールが1つの極を作り、その対極に、軽くてスカスカな中身のアメリカビールがある訳だ。そのペラペラなビールの代表格が、オツムが弱く、デブのアメリカ人がビザを食べながら水のようにガブ飲みするバドワイザーだ。スーパードライは、開発段階を見てもバドワイザーにそっくりなのである。実は、アサヒビールはスーパードライを開発する際、東京と大阪で5000人を対象にした大規模な味覚調査を実施している。その結果わかったのが、多くの日本の消費者が“コクのある重い味”よりも、“苦味の無い軽い味”のビールを求めていることだった。戦後数十年が経ち、日本人の食生活は、アメリカ人のような高蛋白・高カロリー・高脂肪型に変化した。嘗て、乾杯等の食前酒に過ぎなかったビールにも、食事をしながらグビグビ飲める“軽さ”や“薄さ”が求められるようになったのである。そこでアサヒビールが、バドワイザーのような麦芽の割合が少なく、副原料を大量にぶち込んだ味の無いインチキビールを開発。それがスーパードライという大ヒット銘柄になったのだ。

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実際、キリンビールの元技術担当常務で、ビール醸造研究者の橋本直樹氏も、「日本のビールの内、コクのあるドイツのピルスナーに最も近いのがモルツで、アメリカのライトビールに最も近いのがスーパードライである」と定義している。ビールが持つコクや苦みは本来、舌の肥えた大人ならわかる筈の味である。その苦みを“美味い”と感じられないのは、舌がバカになっている証拠。スーパードライというのは、まさに味オンチなバカの為のビールなのだ。では、味オンチとは具体的にどういう人のことを指すのか。典型的なのは、先程言及したバドワイザーが大好きなアメリカ人だ。アメリカのレストランに行くと、必ずメニューにあるのが、ハンバーガー、ピザ、ホットドッグ、フライドチキン等の所謂“ジャンクフード”。レストランだけではなく、アメリカの家庭では、こうしたメニューが日常的に昼食や夕食として食卓に並ぶ。日本のように、野菜を沢山使った健康的なおかず・味噌汁・ご飯が並ぶことなど、先ず無い。殆どのアメリカ人は、野菜が足りていないことなど全く気にせずに、毎日毎日、こうしたジャンクフードばかりを食べている。その為、食べ物の味を感じ取る舌のセンサーが狂ってしまったのだ。この舌のセンサーは“味蕾”と言い、普段から薄味の食事を摂り、繊細な味わいを愉しんだり、味の変化を感じようとすれば、味蕾の感度が上がり、味覚もどんどん鋭敏になっていく。逆に、濃い味つけのものばかりを食べていると、センサーがおかしくなる。例えば、味蕾は本来、体に良いものを「美味しい」と感じるようになっているが、センサーが狂うと、不健康な食べ物を「美味しい」と感じるようになってしまうのである。実際、味覚分析の会社が、日本人100人とアメリカ人やイギリス人等外国人100人を対象に、甘み・塩味・酸味・苦み・旨みを言い当てる味覚力調査を実施したところ、旨みの正答率が日本人71%に対して、外国人はその約半分の34%だったという。昆布・鰹節・緑茶等、日頃から繊細な旨みに慣れ親しんでいる日本人のほうが、味覚が鋭かった訳だ。ところが、日本人の食生活がアメリカナイズされ、食べ物の味つけが濃くなったことにより、今やビールの苦みを「美味い」と感じることのできない味音痴が急増しているのだ。クソ不味いインチキビールのスーパードライが売れ行きナンバーワンとなっているのが、何よりの証拠だろう。そして、日本人の食のジャンク化は今後も益々加速し、味音痴も更に増加していく筈であろう。当然ながら、不味いビールも増える訳だ。本当に迷惑な話としか言い様がない。


キャプチャ  2016年11月号掲載

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