過酷なノルマで従業員は半死半生――情報弱者を食い物にしてボロ儲けする『PCデポ』のインチキ商法を暴く!

“安い・安心・便利・親切”をコンセプトに、地域密着型店舗を展開していた筈の『PCデポ』。だが、その実態は認知症の高齢者を食い物にする悪徳企業だった! そんなPCデポのブラック過ぎる手口とは――。 (取材・文/フリージャーナリスト 小石川シンイチ)

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「80過ぎの独居老人である父が、PCデポに毎月1万5千円の高額サポート契約を結ばされてました。解約に行ったら契約解除料10万円を支払わされました。高決算の裏には悪徳セールがあるのですね」――。先月14日、ある『ツイッター』ユーザーの男性が発した怒りのツイートに、インターネット上は忽ち騒然となった。彼の父親は、普段使用しているノートPCでの修理の為にPCデポに出向いたところ、気が付けば毎月1万5000円のサポート契約を結ばされていたという。月額5000円の“ファミリーワイドプラン”というサポートサービスに、様々なオプションサービスが付けられ、月々の支払い料金は約1万5000円になっていた。また、各サービスは何れも36ヵ月単位での申し込みになっており、途中解約すると、利用期間に応じた契約解除料金が発生する仕組みとなっていた。この為、ファミリーワイドプランで6万2081円、オプションコンテンツとして契約していた『日経ビジネス』(月額1200円)3万4800円、『週刊東洋経済』(月額1000円)2万9000円等、合計で約20万円もの契約解除料金を請求されたというのだ。「トラブルは、実は2回目なんです。1回目は、昨年9月に彼の父親がPCデポとサポート契約を結んでいたことが発覚し、認知症を理由に契約を解除していたのです。更に、今年に入って認知症で父親が入院した際に、PCデポと高額のサポート契約を結んでいることが再度発覚したのです。交渉で10万円に減額したものの、高額な契約解除料金を請求され、PCデポ側の対応に不信感を持った男性は自身のツイッターに書き込み、その後のPCデポ側の対応の不手際もあって、PCデポには批判が殺到して炎上することになりました」(新聞記者)。

PCデポは東証1部上場企業。しかし、東証1部上場企業らしからぬ対応を見せて、炎上に油を注ぐ始末だ。「一旦は社長との話し合いを申し入れてきましたが、マスコミが動き出すと即ドタキャン。再びの話し合いは取締役が行うことになったが、態々父親の車椅子を押しながら来店させた男性に対して身分証の提示を求め、『本当に本人かどうかわからない』と笑いながら繰り返すという不手際で、交渉は決裂してしまったのです」(同)。この間、株価は急落。先月15日の炎上騷動以後、僅か3日間で約3割下げたほどだ。同社は事実関係を認め、同17日夜に対策を公表。既存会員はサービスが不要なら無償で契約を解除でき、既に受け取った解約料の返還も申し出があれば相談に応じる。新規に契約した場合は、70歳以上なら加入後3ヵ月以内、75歳以上ならいつでも無償で契約解除できるようになった。しかし、それでも株価は下げ止まず、今月1日には、発行済み株式の1.97%を保有していた第8位の大株主『ケーズホールディングス』がPCデポ株を全て売却していたことが判明し、翌2日は一時、1年9ヵ月ぶりの安値となる657円を付けた。「ケーズHDは、創業当初のPCデポと二人三脚で事業を進めてきた関係。しかし、例の騒動後に“三下り半”を突きつけられた格好で、契約解除料金でのトラブルの火消しに失敗した代償は大きい」(経営ジャーナリスト)。更に、インターネット上では元従業員からの告発も相次ぎ、販売員向けには「iPhone・iPad・iMac・iPodを全部買わせる(平日・土日1件ずつ)」「解約を思い留まらせると得点になる」等のノルマが存在していることがわかった。そして、店長向けには「iPhone・iMac・iPadをセットで売りつける」「『個人情報流出は恐い』という話をして、プラチナパックに入らせる」とした厳しいノルマもあるという。「これは、実質的に社員が当然に行うノルマとして、“トウゼンカード”に書かれているもので、『ノルマは無い』と言っていた社長の嘘が明らかになったのです」(同)。PCデポと言えば、系列やフランチャイズを含め、関東を中心に全国で128店を経営する、パソコンを始めとしたインターネット関連機器の販売・修理業者である。“安い・安心・便利・親切”をコンセプトに、地域密着型店舗を展開していた筈ではなかったのか。“困っているお客様優先”で、“IT格差を無くす”という高邁な理想を持っていたPCデポが、気が付けばノルマ最優先のブラック企業になり果ててしまったのは何故だろうか。

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「社員には、エクセルを送ってこないように指示しているんですよ。使い方がよくわからないから、PDFでなければ駄目」「パソコンやインターネットの設定は難しくてできない。だから、家族の分も含めて、全てPC DEPOTにやってもらっている」――。パソコンの“素人”であることをメディアで公言するのは、PCデポを運営する『ピーシーデポコーポレーション』の野島隆久社長だ。野島社長の父親は、神奈川県相模原市の電器店『野島電気工業社』(後に『野島電気商会』→『ノジマ』に改名)の創業者である。野島社長は、1982年に桜美林大学経済学部を卒業後、同社に入社するが、約10歳ほど歳の離れた兄の野島廣司(現在のノジマ代表執行役社長)がいたことから、1994年に独立し、『ピーシーマーチャンダイズ(神奈川県相模原市、現在のピーシーデポコーポレーション)を設立する。「創業した1994年当時は、パソコンが家庭に入り始めた頃。世帯普及率が5%程度で『伸びしろも大きい』と判断し、未だ珍しかったロードサイド型店舗(路面店)のパソコンショップとして開店。直後にWindows95ブームが起き、その波に乗ることができたのです」(前出の経営ジャーナリスト)。当初はノジマの人脈を活かし、神奈川エリアを中心に出店。また、茨城県エリアを中心とする家電量販チェーンのケーズホールディングスとフランチャイズ契約を結び、ケーズの資本で関東エリアにPCデポを展開することになった。“安い・安心・便利・親切”をコンセプトに、地域密着型店舗を展開。IT格差を無くす為に、“困っているお客様優先”と高邁な理想の下、高齢者や女性への丁寧な説明を売り物にして、1999年には『ジャスダック』上場を果たすまでになる。「当時はIT業界でも、ビットバレーにヒルズ族と称される経営者がボロ儲けをしていましたが、PCデポは徹底した差別化を行った。富裕層の多い山手や神奈川エリアを中心に展開し、ターゲットはIT弱者。大手家電量販店とはパソコン集中で差別化を図った。『他社で購入したパソコンの修理もします』という何でも来いの技術力の高さ、そこまでの戦略は間違っていなかった」(同)。

2006年には売上高459億円、経常利益14億円にまでなるが、そこからは頭打ちになる。全国的なパソコン販売台数の減少が始まるのだ。「iPadやスマホブームもありましたが、利幅が少ない。そこで打ち出したのが、月額利用料を支払った契約者に対し、パソコンの設定・ウイルス対策・データのバックアップ等の保守サービスを定期的に提供する“プレミアムサービス”です。iPadやスマホ等のサービスも一本化することで、ITが苦手な高齢者や女性にも歓迎されました。このサービス分野への注力で、2011年3月期からは再び成長軌道に乗り、2013年3月期には売上高513億円と500億円の大台を突破し、2014年3月期には売上高538億円、経常利益24億円と、経常利益も過去最高を記録し、昨年11月にはジャスダックから東京証券取引所1部に市場変更を果たしたのです」(同)。大型家電に依存した家電量販店が伸び悩む中、大手家電量販チェーン(例えば兄のノジマの売上高は4500億前後)と比較すると未だ10分の1程度と、売上高の規模は小さいものの、デジタル機器の販売が売り上げの6割、技術サポートや月額制の保守サービスを中心としたサービス販売が4割のビジネスモデルを構築。野島社長は、成功したベンチャー起業家となった(6月時点で128店舗を展開)。その夢は大きく膨らみ、あるメディアには「今後の戦略はAmazonとの共存関係だ」と語っている。「店はショールームになっていく。お客さんが買うのは、Amazonやメーカーの直販ストア。顧客の利便性が高いのだから、この流れに抵抗しても駄目だ。リアル店舗にしかできないサービスを追求することで、物販ゼロでも稼げるようにしなければ」「Amazonはお店が無い為、お客さんに使い方を説明することができない。不具合が起こった時のサポートもできない。その部分を補完できるのがPCデポ。物販で稼ぐだけの家電量販店とは全く違う。その強みをAmazonにも理解してもらっている」。この為、これまでのPCデポも、パソコンクリニックや、“プレミアムサービス”に注力した新型店舗『PCデポスマートライフ』店へと巨額の投資をして大改装中だ。しかし、野島社長の構想は聞こえがいいが、現場で働くスタッフからは悲鳴しか聞こえてこない。「抑々、この会社はIT業の技術力を売り物にしていますが、商品を売った人が評価される体育会系の会社です。ノリと勢いで販売できる営業マンタイプだけが稼いでいく。そうした人物が教育も受けずに管理職になるので、従業員のマネジメントができず、ブラック化が加速する。厳しいノルマがある上に、繁忙期となれば1週間休み無し、9時~23時勤務が当たり前。勿論、サービス残業もあります。更に、売上が悪いと、無給のミーティングが深夜まで延々と行われることも。サポート業務が中心で、業務の基本であるクレーム対応で精神が病んでいくスタッフは多い。30代になると、多くのスタッフが転職を考え始めます」(元従業員)。

そんなPCデポの体育会系っぷりが過酷になったのは、パソコンの販売減少が懸念され、“プレミアムサービス”への注力が始まった2006年頃からだ。「サービスを申し込むお客様に対して、SDカード保証等の“なんでも保証”を付けるように指示があります。当初は、基本保障の月額1500円程度からでしたが、スマホやタブレットの普及もあり、『デジタル機器1台なら月額2000円、3台3500円、7台4500円、10台5000円で家族のデバイスもサービスを受けられる』等、保証サービスが高額化&複雑化しています。インターネットデバイス・クラウドサービス・光回線・格安スマホを保証込みでセット販売する為に、その説明には店員でも混乱するほどですよ。しかも、会員の解約を受け付けるとその店のペナルティーになってしまうので、できるだけ解約を諦めさせるようにする」(同)。これまでにもPCデポは、適格消費者団体『埼玉消費者被害をなくす会』から、昨年10月に“スマートフォンのサポートサービス契約における解約金条項”、今年6月には“機種変更時に表示された料金ですべてのサポートサービスが受けられると誤認させる料金表示”が問題だと指摘されている。ここ数年は512億円(昨年3月期)、517億円(今年3月期)と売上高が伸び悩み気味。その一方で、経常利益は32億円(昨年3月期)、43億円(今年3月期)と伸びており、社内への締め付けが厳しいことが推察できる。「ここ数年は増益が続いており、株価も好調でしたが、今回の炎上で株価も下落。経営の実態を見てみると、新株発行等で新型店舗“PCデポスマートライフ”店への大改装を行っており、希釈された株式に対しては、投資家の目も厳しいでしょう」(前出の経営ジャーナリスト)。元従業員からは、「PCデポでは、数少ない女性社員への福利厚生目的として、創立当初から食事や観劇等の女子会の制度があるが、その実態は、女子社員全員が休日に集められて、食事や観劇等、社長と遊ばなければならない仕組みで、浴衣を着てくれば参加無料等、セクハラ的な要素もある」と告発される等散々だ。ブロガーで投資家の山本一郎氏は、先月27日にこんなツイートを流している。
新型店舗『PCデポスマートライフ』店へと大改装をしているが、その裏側はかなりのブラックなのだ。


キャプチャ  2016年11月号掲載

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