【JR九州・意地の上場】(04) もう墓場じゃない

20161110 04
先月19日、北九州市の若松駅。『九州旅客鉄道(JR九州)』社長の青柳俊彦(63)は、新型列車に乗り込んだ。西日本で初めて走る蓄電池電車『DENCHA(デンチャ)』(右画像)が静かに走り出すと、青柳は「乗り心地が全然違う」と頷いた。九州は、ディーゼル車の維持費が嵩む非電化路線が多い。青柳は、「何とか電車を走らせられないか」と悩んできた。3年かけて開発した蓄電池車は、旧国鉄から継承した古いディーゼル車より点検費用や燃料費を4割減らせる為、「鉄道の赤字体質を変える切り札になる」。下車した青柳は、「もう九州は墓場じゃない」との思いを強めた。“鉄道の墓場”――。上場を控えた9月29日、初代社長の石井幸孝(84)は特急列車『ハイパーサルーン』の写真を眺め、記憶を甦らせていた。旧国鉄では、九州には本州の中古の車両が押しつけられてきた。分割民営化直後の1988年、JRで最も早く新型車両を開発。

先頭車両の前面に大きなガラスを使った展望列車で、“国鉄時代からの決別”を宣言して社員を奮い立たせた当時を懐かしんだ。先月15日、博多駅で出発を待つ豪華寝台列車『ななつ星in九州』に、大勢の人が歓声を上げた。「旧国鉄の時代には戻りたくない」。会長の唐池恒二(63)が陣頭指揮を取って作り上げた列車が、運行から3周年を迎えた。地方創生の象徴として、今や首相の安倍晋三(62)からも評価される存在だが、クルーズトレイン本部次長の仲義雄(41)は、「更に中身を充実しなければ」と危機感を強めていた。8月、仲の意を受けた部下の柳川博信(39)は、家具の産地である福岡県大川市に赴いた。「お客様に直接教える機会を作れませんか?」。釘を使わず、木を組んで紋様を描く大川組子の職人に願い出た。大川組子は、ななつ星の車内装飾にも使われている。「コースターを作ってもらうのはどうか」。報告を受けた仲は、「来年3月に始める日本文化体験の目玉になる」と確信した。JR他社も、来春から豪華寝台列車を走らせる。「ななつ星しかない魅力は何か」。仲は、追われる立場の難しさを痛感する。青柳は、初代の石井から数えて5代目の社長。発足後、一度は低迷した経営を非鉄道事業の強化で立て直した先代の唐池は、鉄道畑ほぼ一筋に歩んだ青柳に上場を託した。今や旧国鉄組は数少なく、危機感も薄れゆく。「緊張感や貪欲さを持ち続けてほしい」。上場の日、青柳は自身のフェイスブックのメッセージで、社員の慢心を戒めた。 《敬称略》


⦿日本経済新聞 2016年11月4日付掲載⦿
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