【働く力再興】第1部・安住の根を絶つ(02) 成長めざし人材大移動…光る才能、使い尽くせ

20161110 05
低賃金で長時間同じ職場に縛り付ける働き方では、労働者が生み出す成果も限られる。手厚い処遇を保証しつつ、成長分野で成果を出すよう駆り立てる。企業に求められているのは、そんな姿だ。7月1日、『三井物産』で季節外れの人事異動が発令された。権益取得を手がけてきたエネルギー部門のエース級を、化学や食料に配置換えしたのだ。有望企業への出資や新たな設備投資が必要となる成長分野で、“稼ぐ力”を発揮してほしいという訳だ。年内に20人、ゆくゆくは100人規模で動かす。最初の配属先が“背番号”としてほぼ定年まで付いて回る商社で、働き盛りの部門間の異動は珍しい。同社は今年3月期に初の最終赤字に陥り、社員の職場を固定する人事にメスを入れた。「会社を変える」。32人抜きで上り詰めた安永竜夫社長(55)に、躊躇いは無い。威圧的に働かせるブラック企業は多くても、働き手の潜在力を上手く引き出せる企業はそう多くない。海外からみると、そこに日本のもどかしさがある。

「働き手の能力を使えていない」。『経済協力開発機構(OECD)』は今年、日本についてこう指摘した。「働き手が持てる力をフルに発揮すれば、生産性は高まり、賃金も増える」とみる。一度は会社を離れても、優秀なら再び呼び戻す。新興企業は貪欲に人材を生かす。ゲームやスポーツが主軸の『DeNA』。ヒューマンリソース本部の対馬誠英部長(37)は、「元社員の動向も追跡し、タイミングを見計らって声をかける」と話す。4月に小中学生を対象とした陸上の選手育成事業を立ち上げた。その責任者が、元社員の蓮尾翔子さん(33)。大手電機メーカーに転職しており、当初は復職する気は無かったが、「子供たちと接点の持てる仕事は面白そうだ」と誘いに応じた。力のある労働者は伸びしろがあり、魅力的な仕事を提供する企業を選ぶ。『ファーストリテイリング』の塚越大介執行役員(37)は、熊本の『ユニクロ』店員を振り出しに、アメリカ法人の経営幹部に抜擢された。今は日本で幹部育成に当たる。年々責任が重くなる分、報酬等の処遇も良くなる。有能な人材に働く場を用意し、成果を踏まえて手厚く報いる。それが人手不足時代の企業のやり方だ。日本では、人材の流動化が中々進まない。労使双方で築いてきた終身雇用・年功序列の雇用慣行には良い面もあるが、成長の足枷になっている面もある。『第一生命経済研究所』主席エコノミストの永浜利広氏(45)は、「雇用の流動性が高い国は、潜在成長率も高めになる」と話す。内に籠った人材を生かすにせよ、外から人材を引っ張ってくるにせよ、企業には個々の能力を見極め、その能力をしっかり引き出す姿勢が求められる。そして、働きに見合う報酬を出す。働き手の能力を最大限に引き出す企業が生き残る。


⦿日本経済新聞 2016年9月1日付掲載⦿
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