【JR九州・意地の上場】(05) 乗り遅れた“兄弟”

20161111 12
辺り一面が雪化粧に覆われた北海道北見市郊外の常紋トンネル。『九州旅客鉄道(JR九州)』上場を翌日に控えた先月24日、『北海道旅客鉄道(JR北海道)』社長の島田修(58)は、札幌から300km離れた山中にいた。安全や経営に関し助言する第三者委員会の視察に同行し、補修の状況等を説明する為だ。JR北海道は、2011年に特急列車の脱線火災事故を起こし、その後もデータ改竄等の不祥事が相次ぎ発覚。鉄道事業の赤字を埋める為に国が用意した基金の運用益が減り、安全投資を切り詰めたのも一因とされる。「自分たちには最低レベルの安全を守る姿勢が欠けていた」。島田は、こう振り返る。JR北海道・JR九州・『四国旅客鉄道(JR四国)』の3社を“三島会社”と呼ぶ。本州のJR3社(東日本・東海・西日本)と比べて経営基盤が弱く、固定資産税等の優遇措置がある。1987年の国鉄民営化から約30年。兄弟のように歩んできた3社は、明暗を分けた。

JR四国は高速道路の延伸等で打撃を受け、営業黒字は一度も無い。JR北海道は路線維持すらままならない。石勝線の新夕張-夕張間等の廃止を決め、近く、同社単独では維持できない路線を公表する。国は、将来的にJR北海道とJR四国の完全民営化を目指す姿勢を堅持しているが、国土交通大臣の石井啓一(58)は「上場が可能な段階ではない」という。同8日夜。JR高松駅(香川県高松市)に、13時間の鉄道旅を満喫した40人ほどが帰ってきた。車内で地酒とつまみ各21種を味わいながら四国4県を周遊する異色のツアーだ。JR四国営業部販売促進課の宮前和孝(55)は、「発売1日で完売し、当日も好評だった」と手応えを語る。海の景色と地元食材の食事が魅力の観光列車『伊予灘ものがたり』を2014年に導入し、乗車率9割の看板に育てた。来春には、歴史と渓谷美が売りの観光列車も投入する。観光誘客に舵を切るのは、域内の鉄道需要が先細りすることへの危機感からだ。生き残りへの道は厳しい。『四国運輸局』は、「四国の公共交通需要は10年後、現状より2倍のインバウンド(訪日外国人)を呼び込んでも1割減る」と予測する。目指すのは、2020年度までの自立経営。上場はその先の課題だ。国鉄改革の終着駅は、まだまだ遠い。 《敬称略》 =おわり

              ◇

新井惇太郎・栗本優・木原雄士・宮川克也が担当しました。


⦿日本経済新聞 2016年11月5日付掲載⦿
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