【トランプ革命】(中) 世界経済、保護主義の影

20161115 03
ダウ平均株価(30種)が1万8807ドル88セントと、終値で史上最高値を更新した今月10日のニューヨーク株式市場。「ドナルド・トランプ次期大統領が、公共投資拡大等で景気回復を加速する」との期待が、相場を押し上げた。その陰で『Apple』や『ナイキ』等、アメリカ国外で商品を生産し、アメリカに輸入している企業の株価は値を下げていた。「輸入を制限する保護貿易主義的な政策が逆風になる」とみられたからだ。トランプ氏は選挙中、中国製品に高い関税をかけることや、カナダやメキシコとの『北米自由貿易協定(NAFTA)』の再交渉を訴えた。『環太平洋経済連携協定(TPP)』についても「アメリカの自動車産業にとって災難」と指摘し、「撤退する」とぶち上げた。海外からの安い製品の流入でアメリカ企業の業績が悪化し、「雇用が奪われる」というのが理由だ。“アメリカの国益最優先”を考えているトランプ氏は、1980年代に日本の半導体製品に100%の関税をかけ、国内産業を保護したロナルド・ウィルソン・レーガン大統領を意識する。アメリカの“内向き志向”は、自由貿易に試練となる。

日本企業にも影響が出る。NAFTAにより、アメリカに関税ゼロで商品を輸出でき、賃金が安いメキシコには、『トヨタ自動車』や『マツダ』等日系4社が生産拠点を構える。『みずほ銀行』産業調査部によると、昨年、メキシコで生産した132万台の内、56万台がアメリカ向けだ。関税がかかるなら、生産拠点の見直しも避けられない。マツダの小飼雅道社長は一昨日、「政策が具体的になってから考えたい」と警戒感を示した。メキシコではアメリカの自動車大手も生産し、アメリカ企業もただでは済まない。TPPが発効すれば、アメリカを含む参加12ヵ国の利益になる。『世界銀行』の試算では、貿易量の拡大で各国の国内総生産(GDP)を押 し上げる。世界的な経済ルール作りを日米が主導し、地域の覇権を目指す中国を牽制する意味合いもある。止めれば、こうした効果を得られない。貿易の縮小で世界経済が停滞すれば、アメリカ経済も打撃を免れない。大統領就任後のトランプ氏がどう舵取りをするかは未知数だ。副大統領になるマイク・ペンス氏は、昨秋の来日時、TPPについて「日米の一層強固な経済関係の基礎として不可欠だ」と主張した。トランプ氏と親しい投資会社運営のウィルバー・ロス氏は、「貿易問題を取り上げてきたのは、支持を広げる為の戦略だ」と話し、「(トランプ氏は)現実的な路線を歩む」とみる。安倍首相は昨日の参議院本会議で、「保護主義は蔓延し易く、各国が自由貿易を推進し続けることによって、食い止めなければならない」と述べた。アメリカが不透期でも、各国が自由貿易推進で結束することが必要となる。


⦿読売新聞 2016年11月12日付掲載⦿
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