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【日本を動かした昭和のヤクザたち】(03) 暴力団と芸能界…田岡三代目による興行界支配

20191021 08
終戦翌年の1946年6月、『三代目山口組』のトップに就任した田岡一雄組長は、シノギの面で大胆な改革を断行した。嘗てヤクザ組織は、賭場からの上がりが収益の大半を占めていた。だが、非合法故に、警察の取り締まりが入れば急にストップする不安定さがネックだった。そこで、田岡組長は賭場に頼らない合法的な事業を始める。一つは神戸港の荷役業務を一手に担う港湾事業で、もう一つは興行界への進出だった。「山口組にとって興行は、組織を興した山口春吉初代が手がけて以来、初代の実子だった山口登二代目に引き継がれており、既に実績やノウハウのあった分野だ。それだけに田岡組長も自信を持っていたと思う。組織内に山口組典興行部を置いて活動を始めると、渡世で鍛えた胆力や交渉力を武器に、プロモーターとしての手腕を発揮して実績を重ねた。事実、美空ひばり、田端義夫、高田浩吉といった当時の大スターらが、直ぐに田岡組長の傍へ寄ってきた」(当時の様子を知る芸能関係者)。1948年、海軍航空隊出身で甘いマスクの鶴田浩二が『松竹』からスクリーンデビューを果たす。直ぐに人気者となり、翌1949年には主演映画が公開。その後もヒット作を連発した。実は、鶴田の松竹入りには裏で高田が尽力していた経緯もあり、田岡組長も以前から注目していたのだ。鶴田が大スターの仲間入りを果たしていた1952年の秋頃、田岡組長はひばりとの共演リサイタルを鶴田のマネージャーに申し込んだ。しかし、マネージャーには多忙を理由に素気なく断られてしまう。思いがけない対応に、内心ムッとした田岡組長だったが、カタギ相手だからと低姿勢を貫いた。

しかし、同じ年の暮れ、田岡組長の前に、因縁の鶴田のマネージャーがいきなり現れる。正月に大阪で行なわれるリサイタルの挨拶が目的だったのだが、手土産と一緒に現金の入った封筒を田岡組長に渡してきたのだ。これには流石の田岡組長もキレた。「マネージャーは5万円を包んできたそうで、田岡組長は『カネには困っとらん』と突き返した。ところが、カネを渡すのがヤクザへの挨拶のマナーと信じていたマネージャーは、尚もしつこく田岡組長に迫った。遂には、顔を真っ赤にしながら田岡組長は事務所から出て行ってしまったそうだ」(関西の博徒系組織の元幹部)。この様子を間近で見ていたのが梶原清晴若頭だった。組織内に鶴田のマネージャーによる田岡組長への非礼ぶりが、瞬く間に拡散。最も激しく怒ったのは、後に『山健組』を興し、本家若頭を任されるヤマケンこと山本健一だった。“田岡組長の日本一の子分”を自称する山健は、若い衆時代から組織と田岡組長への忠誠心の高さは群を抜いていたという。「田岡組長に恥をかかせたことは断じて許されない」として、報復部隊の一人としてメンバーに加わった。年が明けて1953年1月6日夜、鶴田が泊っている大阪の旅館の前には、鶴田のファンらがサイン目当てに集まっていた。その直ぐ近くに山健ら山口組組員4人の姿もあった。山健らはファンに「サインを貰ってきてあげる」と言い残すと、玄関に上がり、鶴田の部屋を目指した。当時の様子について、旅館の従業員から話を聞いた地元関係者は語る。「部屋には高峰三枝子や水の江滝子といった人気スターもいて、一緒に鶴田は夕食をとっていたようだ。急に不審な男らが入ってきたので、女優陣らは固まってしまったが、鶴田は山健さんの問いかけを無視して食べ続けていた。それに怒った山健さんが、ポケットにあったウイスキーの小瓶を鶴田の頭に振り下ろし、一緒にいた組員も煉瓦で殴ったそうだ」。鶴田は直ぐに救急車で病院に運ばれ、頭と手を11針も縫ったという。後に山健らは逮捕・起訴され、有罪判決が下された。一方、田岡組長は処分保留で釈放されている。田岡組長は自伝で「組員が勝手にやったこと」と話しているが、真相は不明である。但し、大スターの鶴田が襲撃された事件が大きく報道されたことで、関西のローカル組織に過ぎなかった山口組の知名度が全国レベルに跳ね上がった。同時に、「田岡組長の言うことを聞かないと痛い目に遭う」という恐怖心も、芸能界に広く深く浸透させることに成功したのだ。1957年に山口組興行部は『株式会社神戸芸能』と名称を改めて、新たにスタートした。多くのスターを抱え、業界での地位を不動のものとし、その権威は1964年に山口組が指定暴力団に認定されて、警察から厳しい取り締まりを受けるまで続いたのである。古くから“ヤクザと役者は一文字違い”として、明日もわからない不安定な暮らしぶりや、目立ってなんぼの生態が酷似しているとされてきた。ここ数年、芸能界とヤクザ業界との繋がりは、コンプライアンスの観点からタブー視されるようになった。だが、「見え難くなっただけで、今でもしっかりと息衝いている」との声もある。テレビ放送が開始されるずっと以前から親密だった両者の関係が、今頃になって取り沙汰されるのは、双方とも納得し難いものがあるだろう。 《文中一部敬称略》 (取材・文/本誌特別取材班)


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