【教科書に載らない経済と犯罪の危ない話】(22) ブルネイ王族を訪ねて判明した2大地下組織のバッティング

「イラク戦争は、主として石油の為であった」――。『連邦準備制度理事会(FRB)』第13代議長を務めたアラン・グリーンスパンが、2007年に回顧録で書いた言葉である。当時のジョージ・W・ブッシュ大統領も、この言葉に「驚いた」とコメントしている。しかし、ブッシュが1970年代に設立した石油会社『アルブストエネルギー』に出資していたのが、オサマ・ビンラディンの兄であるサレム・ビンラディンであったという事実から考えると、グリーンスパンの言葉は強ち嘘ではない。マレーシアの国営石油会社『ペトロナス』で「低価格のスポット原油を探せ」と教えられた筆者は、クアラルンプールから空路で約1時間のランカウイ島へ向かった。ペトロナスの役員から、原油収引に協力してくれる人物を紹介されたからだ。その人物は現在、バカンスでランカウイ島に滞在しているらしく、筆者から会いに行くことにした。『ランカウイ国際空港』に到着した時には、激しい雨が降っていた。空港の建物と飛行機を繋ぐボーディングブリッジが無く、雨に打たれながらタラップを降りた。ランカウイ島はアンダマン海に浮かんでおり、日本の淡路島の3分の2ほどの小さな島で、タイとの国境近くに位置する。空港から向かったのは、熱帯雨林に囲まれた『ジ・アンダマン』というホテルだった。着いた時には日も暮れていた。筆者がここランカウイ島まで会いに来た人物は、ボルネオ半島に位置する人口40万程度の小国『ブルネイ王国』の王族だ。ブルネイは石油や天然ガス等の化石燃料資源が豊富で、国民1人当たりGDP(購買力平価)は日本より高く、世界トップレベルである。ブルネイ王室といえば、1990年代に日本のAV女優と派手なパーティーを繰り広げ、スキャンダラスな話題として世界中を騒がせたことがあった。

ランカウイ島に到着した翌日、ホテル近くのマリーナで初めて、その男に会った。未だ30代で、ジーンズ・Tシャツ・サングラス姿の男は、どう見ても“王族”には見えなかったが、100フィート級のクルーザーに20人ほどのスタッフを従えており、只者でないことは確かだった。男の名は“アブドゥラ”。「イスラム諸国では、10人に5人はこの名前なのではないか」――そう思うくらいに多い名前だ。アブドゥラは、意外なほど気さくな男だった。「昨日も日本のヤクザに会ったよ。“スミヨシカイ”というグループだ」。筆者は、彼の口から『住吉会』という名前が出たことにも驚いたが、それよりも先を越されたことがショックだった。だが、その経緯は理解できる。筆者にペトロナスを紹介したのが、元住吉会系の人物だったからだ。やはり、日本の暴力団でもセラーサイド(売り手側)に回る連中がいた。筆者の周辺は、殆どが中国へバイヤーサイド(買い手側)を探しに行っていたから、油断していた。後日、その住吉会系の人間とは、ランカウイ島から程近いパヤール島で顔を合わせた。50フィート級のクルーザーを浮かべ、ダイビングに興じている2人組がそうだった。互いに、何となく同業で、目的も同じと察したけれど、一言も話すことは無かった。「ブルネイの石油会社から、ディスカウントのスポットものは出ない。だから、君にはアロケーションホルダーを紹介しよう」。アブドゥラはそう言って、携帯電話をかけ出した。“アロケーションホルダー”とは、“油田から原油を採掘して販売する権利を持つ者”ということらしい。「直ぐにオマーンへ行け」。日本からクアラルンプール、そしてランカウイ島まで来たというのに、今度は「オマーンに行け」と言う。「本当に原油は買えるのだろうか?」――筆者は不安になった。 (http://twitter.com/nekokumicho


キャプチャ  2016年11月8日・15日号掲載
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