【トランプ新政権の課題】(02) IT、革新力保てるか――相次ぐ“敵対”発言に業界警戒、石油は規制緩和期待

20161116 05
“不動産王”ドナルド・トランプ氏(70)のアメリカ大統領選勝利を巡り、明暗が分かれるのがアメリカの産業界だ。重点分野のエネルギー業界では期待が高まる半面、トランプ氏が批判してきたIT(情報技術)企業の経営者の警戒感は強い。“敵”と“味方”を鮮明にする姿勢を産業政策にも持ち込めば、アメリカが世界に誇る技術革新を損ないかねない。「トランプ氏と仕事をできるのが楽しみだ」――。エネルギー業界最大の業界団体『アメリカ石油協会(API)』のジャック・ジェラード最高経営責任者(CEO)は今月10日の声明で、トランプ大統領の誕生を歓迎した。「原油・天然ガス業界は145の規制に直面し、生産が損なわれている」と言うジェラード氏。環境重視を掲げたバラク・オバマ政権下で、大量の水や化学品を使用するシェールの掘削基準等は強化された。温暖化ガス削減へ再生エネルギーの普及に政策が傾いた結果、石炭企業は苦境に陥り、石油業者も危機感を強めた。トランプ氏は、そんな業界の不安を巧みに汲み取った。来年1月の就任後、100日間で進める政策に、エネルギー生産関連の規制緩和策を掲げ、選挙期間中には、温暖化ガスの削減目標を定めた『パリ協定』の破棄も明言した。

「太陽光や風力等、代替エネルギーは姿を消すべきだ」――。トランプ陣営でエネルギー政策顧問を務めるシェール大手『コンチネンタルリソーシズ』のヘラルド・ハムCEOは息巻く。一転して、再生エネルギー業界の先行きを不安が覆い始めた。アメリカのIT業界も、トランプ政権に身構える。オバマ政権は、技術革新で世界の先頭を走るシリコンバレーを積極的に支援し、両者は蜜月関係にあった。ところが、トランプ氏はIT分野の政策を明示せず、選挙期間中から敵対的な言動を繰り返した。トランプ氏は、スマートフォン『iPhone』を中国で生産する『Apple』を名指しで批判。更に、AppleがiPhoneのセキュリティー解除を巡り、『連邦捜査局(FBI)』と対峙した際には、同社製品のボイコット(不買運動)まで呼びかけた。「我々が個人としてどの候補者を支持していたとしても、皆で前進するしかない」。Appleのティム・クックCEOは同9日、全社員にメモでこう呼びかけたものの、シリコンバレーの経営者の懸念は尽きない。例えば、コンピュータープログラミング等専門技術を持つ外国人が、アメリカで働くのに必要なビザ(査証)『H1B』。アメリカ人の優先雇用を求めるトランプ氏は、IT企業の多くが依存するH1Bビザの原則廃止を公約に掲げている。慢性的な技術者不足に悩むIT企業にとっては死活問題だ。同10日のアメリカ株式市場では、石油メジャー等老舗企業で構成されるダウ工業株30種平均は過去最高値を更新。その影で、IT企業中心のナスダック総合株価指数は反落した。オールドエコノミー復活とIT企業の憂鬱。市場は逸早く、トランプ政権下におけるアメリカの産業の趨勢を映し始めている。 (稲井創一・小川義也)


⦿日本経済新聞 2016年11月12日付掲載⦿
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